SiMが両A面シングル「A / The Sound Of Breath」をリリースした。
本作はPlayStation4専用ソフトウェア「龍が如く 極2」のテーマ曲「A」と、エンディング曲「The Sound Of Breath」の2曲を収録したもの。2曲共「龍が如く」シリーズの大ファンであるMAH(Vo)が書き下ろした。そこで音楽ナタリーではこの2曲について、MAHに話を聞いた。
取材・文 / 小林千絵
インタビュー撮影 / 草場雄介 ライブ撮影 / 半田“H.and.A”安政[Showcase]
「龍が如く」の壮大なストーリーに惹かれた
──今作はPlayStation4専用ソフトウェア「龍が如く 極2」のテーマ曲「A」と、エンディング曲「The Sound Of Breath」を収めた両A面シングルです。MAHさんは「龍が如く」シリーズの大ファンだということですが、どんなところが魅力だと思っていますか?
俺、映画にしてもゲームにしてもドンパチしてるだけのものはあんまり好きじゃなくて。「龍が如く」シリーズを初めて買ったのは12年くらい前、1作目が発売されたときなんですけど、ゲームの舞台が東京・新宿の歌舞伎町をモデルにした神室町という街で、実際にある街を舞台にしたというところがいいなあと惹かれて買ったんです。そのときは単純に極道の抗争を描いたゲームだと思ってたんですけど、実際にプレイしてみるとすごく深いストーリーがあって。長いドラマを観たような感じになるんですよね。それ以降、新作が出るたびに買ってはそのストーリーを楽しんでる。アクションとか暴力性ではなくて、ストーリーが魅力のゲームだと思ってます。
──音楽ナタリーの「アウトレイジ」特集のときにも(参照:MAH(SiM)が語る「アウトレイジ 最終章」)「アウトレイジ」の「決してドンパチがメインじゃなく、物語のうえで必要な暴力や殺人が描かれているところに惹かれる」とおっしゃっていましたね。
はい、「龍が如く」も同じで。主人公の桐生一馬はもう極道を辞めている人間なんですけど、極道時代に強すぎたから、跡目争いに巻き込まれちゃうっていうストーリーなんですよ。だから基本的に殴りたくて殴ってるわけじゃない。そこがいいんですよね。
──そんな大好きなゲームのテーマ曲とエンディング曲を託されたと。
今回の「龍が如く 極2」は10年前くらいに発売された「龍が如く2」のリメイク版で。「龍が如く2」ではクレイジーケンバンドさんが主題歌を担当していて、すごく印象的だったんです。だから「龍が如く2」を思い出して「ひょっとしてあのシーンで(曲が)使われるのかな」とか想像しながら書きました。クレイジーケンバンドさんの曲を更新できるかというプレッシャーもあったんですけど、「俺だったらこういうオープニング曲を書くな」と思い描いた通りの、納得いく曲ができたのでよかったです。
「龍が如く」の暴力性とドラマ性を描いた2曲
──「A」「The Sound Of Breath」の2曲は「龍が如く」からどのようなインスピレーションを受けて書き上げたんですか?
ゲームで描かれている暴力性とドラマチックさを表現しようと思って。2曲共暴力性もドラマ性も入ってるんですけど、「A」は暴力性に、「The Sound Of Breath」はドラマ性に焦点を当てています。
──歌詞の内容もゲームを意識して書いたんでしょうか?
そうですね。まず「A」はゲームのキャラクター・堂島大吾について書いています。今作の「極2」は、本来その組の跡を継ぐべき堂島大吾がちょっとやさぐれて街のチンピラになっちゃってて、それを主人公の桐生一馬が更生させる……更生じゃないですけど(笑)、跡を継がせるように道を正すというストーリーなので、無気力だった堂島大吾が立ち直っていくさまを書こうと。イメージとしては疲れて家に帰ってきた男が、鏡に映る疲れた自分の姿を見てゾッとして、そこから自分と戦うというものです。この曲ではイントロにリフが2種類あって、2段階構成みたいになってるんですけど、それは今回ゲームが関東の組である“東の龍”と、関西の組“西の龍”の抗争を描いていることをイメージしています。
──一方の「The Sound Of Breath」はどうでしょうか?
「極2」では恋愛の要素が入ってくるんです。元極道の桐生一馬と、警察官、しかも桐生の敵である“西の龍”の妹との恋愛。結ばれるのか結ばれないのか、それはわからないけど、いろんな状況に耐えてがんばろうとする、敵対する立場にある2人のことを想像して書いたのが「The Sound Of Breath」です。
──できあがった曲について、ゲーム制作サイドの反応はどうでしたか?
実はテーマ曲として最初に別の曲を作ってたんです。それは歌詞にも音楽性にも、わかりやすく「龍が如く」の要素を入れたもので。そしたらセガの方から「ちょっとやり過ぎです」って言われちゃって(笑)。で、書き直したのが「A」なんです。だから普通に聴いたらSiMの新曲として楽しめると思うし、でも「龍が如く」を知ってる人は「もしかしてこれはあのことかな」って深読みできる、いい塩梅の曲が書けたと思います。テーマがあって曲を書くの好きだし、ダメ出しされたときも納得がいったし、曲作りはすごく楽しかったですね。
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耐えるSiMに共鳴する「A」
- SiM「A / The Sound Of Breath」
- 2017年12月6日発売 / EMI RECORDS
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初回限定盤 [CD+DVD]
1674円 / UPCH-89373 -
通常盤 [CD]
1188円 / UPCH-80486
- CD収録曲
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- A
- The Sound Of Breath
- 初回限定盤DVD収録内容
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SiM LIVE at "DEAD POP FESTiVAL 2017"
-DAY1-
- Blah Blah Blah
- TxHxC
- paint sky blue
- Rum
- KiLLiNG ME
-DAY2-
- GUNSHOTS
- PSYCHO
- Dance In The Dark
- f.a.i.t.h
-EXTRA-「SiMが如く」MAH vs GODRi 炎の3番勝負!
- 「A / The Sound Of Breath」発売記念特別ライヴ ~ONE MAN SHOWS~
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- 2018年3月1日(木)東京都 新木場STUDIO COAST
- 2018年3月9日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- SiM(シム)
- MAH(Vo)、SHOW-HATE(G)、SIN(B)、GODRi(Dr)の4人からなる湘南で結成されたレゲエパンクバンド。2004年11月に結成され、数度のメンバーチェンジを経て2009年に現編成となる。パンク、ハードコア、スクリーモをベースとする轟音サウンドにスカやレゲエのエッセンスを取り込んだ“レゲエパンクサウンド”で頭角を現す。ライブハウスシーンを中心に活動し、2011年「KiLLiNG ME」のMUSIC VIDEOの視聴回数がインディーズバンドとしては異例の再生回数を記録(現在1600万回以上再生)。同曲を収録したアルバム「SEEDS OF HOPE」もスマッシュヒットを記録した。メジャー10社以上が獲得に乗り出す中、ユニバーサル・ミュージックをパートナーに選び、2013年4月に4thシングル「EViLS」、10月に3rdフルアルバム「PANDORA」を発売。その後も着実にリリースを重ね、2015年11月には日本武道館公演も完売させた。2016年4月には4thフルアルバム「THE BEAUTiFUL PEOPLE」を発売。同アルバムのリリースツアーでは全国26公演すべてがソールドアウトとなる。野外開催2年目となる自身主催イベント「DEAD POP FESTiVAL」を大成功に収め、10月にツアーのグランドファイナルとして行った神奈川・横浜アリーナでのワンマンライブも即日の完売となった。2017年3月から4月にかけて実施したワンマンツアー「THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR -season II- "ONEMAN SHOWS 2017”」では全国10カ所で28000人以上を動員した。7月に「DEAD POP FESTiVAL 2017」を主催。9月には兵庫・ワールド記念ホールで対バン企画「THE EYEWALL NiGHT vol.1」を実施した。12月にPlayStation4専用ソフトウェア「龍が如く 極2」のテーマ曲およびエンディング曲を収めた両A面シングル「A / The Sound Of Breath」を発表。