ナタリー PowerPush - 真空ホロウ

思春期の苛立ちを爆発させた 濃厚ジレンマソング

真空ホロウがメジャー1stシングル「虹」を2月19日にリリースする。

アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のエンディングテーマに採用された今作は、思春期の少年少女が抱く苛立ちを爆発させたロックナンバー。これまで「小さな世界」「少年A」というミニアルバム2作品を発表してきた彼らが初のシングルで伝えたい思いとはなんなのか。カップリングに収録される「バタフライスクールエフェクト」「スノーホワイト」の話も聞きながら、“真空ホロウらしさ”に迫った。

取材・文 / 丸澤嘉明 撮影 / 石川信介(Sketch)

 
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過去の自分を見直すところから制作

左から大貫朋也(Dr)、松本明人(Vo, G)、村田智史(B)。

──「虹」はテレビ東京系「NARUTO-ナルト-疾風伝」の新エンディングテーマとしてオンエアされていますが、タイアップの話があって書き下ろしたんですか?

松本明人(Vo, G) もともとあった曲なんですが、このお話をいただいてから今ある最終形に仕上げました。

──じゃあもともとあった曲がエンディングテーマに採用された?

松本 はい。

──そうだったんですね。では「虹」の制作の経緯から教えてください。

松本 メジャーデビューしてから出会う人が増えて、人との会話も増えたことで、自分を見つめ直すようになって……。僕は今までは他人のせいにすることが多かったんですけど、「なんであのとき自分はあんな行動をしたんだろう」とか「なんであんなことを言ったんだろう」とか、これまでを振り返りながら作りました。

──具体的なエピソードはありますか?

松本 18歳の頃、20歳のときには音楽活動で忙しくなっていて成人式には出席できないっていうのが理想だったんです。その頃まだバンドは組んでいなかったんですけど、歌は歌っていたので。でも……行けたんです。

──音楽活動がそこまで忙しくなっていなかったと。

松本 結局、会場の前まで行って帰ってきたんですけど。そこからバンドが始まって、自分の中でこの時期にはこうなっていたいっていう思いが芽生えてきて。もっと早く言葉に出したり、行動に移したりしていればっていうのはあとになってわかるんですよね。

──2人はこの曲を聴いて、どういう印象を持ちました?

村田智史(B) デモを聴かせてもらった段階で完成型がなんとなく見えていたからすぐまとまると思ったんですけど、案外そうでもなくて。

──それはなぜ?

村田 この曲には“感情の爆発”があると思うんですけど、それはすぐに沸点に達するんじゃなくて、ちょっとずつ温度が上がっていって爆発するタイプだと思うんです。それをサウンドでどう表現するかを考えていたら時間がかかりましたね。詞とサウンドがどれだけリンクできるかっていうのが俺らのテーマでもあるんで、そういうところはこだわって。

手前から松本明人(Vo, G)、村田智史(B)大貫朋也(Dr)。

大貫朋也(Dr) 引くところは引いて、出すところは出すっていうメリハリはすごく意識しましたね。

松本 僕たちの作品で「アナフィラキシーショック」っていう曲があって、それは勢い重視で20分くらいで作ったんです。でもこの曲はもっと落ち着いた状態で歌詞やメロディを考えたし、アレンジもみんなでディスカッションしながら大事に構成していきました。

──サビからはバイオリンも入って、よりドラマチックになっていきますよね。

松本 「ミラードール」でも弾いていただいた佐藤帆乃佳さんに、「こういう曲があるんですけど」って持っていって、アレンジはお任せしました。

村田 間奏の部分だけ「鬼気迫る感じで」ってお願いして。想像以上のものを持ってきてくれたので感動しました。作品の不安定さとかも出てると思います。

思春期の不安感や劣等感がテーマ

──サビの「解ってんだよ」というフレーズがすごく印象的でした。解っているけどできない。できないけど理想はある。そのジレンマや葛藤を象徴していますよね。

松本 この曲は文句を言っているだけじゃないというか。“陰”のモードに入っちゃうと、曲を作っていてもただ文句を言って終わりになっちゃうんですよね……。“問いかけ”じゃなくて“投げつけ”て終わり。でもこの曲は作っているときから“問いかけ”ができそうと感じていて。

──思春期の少年少女が共感しそうなメッセージになっていますが、松本さんはそういう人たちに向けて届けたいという思いは強いですか?

松本明人(Vo, G)

松本 それはあると思います。

──具体的に意識し始めたのはいつ頃なんでしょう?

松本 1stミニアルバムに「The Small world」という曲があって、それが僕の過去の話を描いた作品なんです。そのあと、2ndの「少年A」を全部作り終わって、新しい作品を作ろうってなったときに自分の作品を見直してたら……。

──思春期の不安感や劣等感を歌っている歌が多かった?

松本 はい。もしかしたらそうなんじゃないかなって。ちょうどみんなも俯瞰して僕のことを見てくれていて。青山裕企さんが撮ってくれたジャケットも女子高生がモチーフだったし……。

──確かにこれまでの3作品すべてのジャケットに女子高生が登場していますね。

松本 僕、いつまでも少年のときの気持ちを忘れたくないっていう思いがあって……大人になりきれてないだけなのかもしれないですけど。そういう気持ちがなくなるまで、ずっと歌っていくんだと思います。

ニューシングル「虹」2014年2月19日発売 / 1000円 / ツクモガミ / ESCL-4150
収録曲
  1. バタフライスクールエフェクト
  2. スノーホワイト
真空ホロウ(しんくうほろう)
真空ホロウ

松本明人(Vo, G)、村田智史(B)、大貫朋也(Dr)による茨城県出身の3ピースロックバンド。日常の違和感を冷徹な視線ですくい上げる歌詞と、ストレートでキャッチーなバンドサウンドが特徴。2006年に結成し、メンバーチェンジを経て現在の編成に。2009年に「RO69JACK 2009」を勝ち抜き、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2009」に出演。その後「contradiction of the green forest」「ストレンジャー」という2枚のミニアルバムを発売した。2012年10月にミニアルバム「小さな世界」でEPICレコードジャパンよりメジャーデビュー。2013年5月8日に2ndミニアルバム「少年A」をリリース。2014年2月19日にアニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のエンディングテーマに採用されたメジャー1stシングル「虹」を発表。