音楽ナタリー Power Push - シクラメン

メジャーデビュー5年を迎える“スルメサウンド”の今

東京オリンピックに向けて僕らも進化する

──それぞれの曲についても聞かせてください。まずは1曲目を飾る「kamataッ子5」ですが、「kamataッ子」シリーズも今回「5」ということで。かなり洗練されたサウンドになりましたね。

肉だんご あれを「洗練された」と表現していいのか……(笑)。

DEppa まあ「kamataッ子」たちの中では。

──内輪っぽさから抜け出したようなよさを感じました。

DEppa 僕らのトラックメーカーをずっとやってくれている電球が、初めて「kamataッ子」らしからぬサウンドを持ってきたんですよ。サビを2回にするとか、カッコよくなっていて。

肉だんご

肉だんご だから僕、最初は「kamataッ子」っぽくないって反対したんですよ。でも3人で歌入れしたらちゃんと「kamataッ子」になったので安心しました(笑)。

DEppa 「kamataッ子」の中ではちょっとオシャレだよね。

肉だんご まあ成長した姿を見てもらえればと。東京オリンピックに向けて蒲田が進化してるので、僕らも進化していかないと。

桃紅茶 街並みと共に変わっていく感じで。

──「あまり評判良くないけどw」とか、初めてシクラメンを聴いた人や大田区を知らない人にも「こういうところなんだ」ってわかる歌詞ですよね。

DEppa 僕らは蒲田が大好きなんですけど、あまり評判がよくないんですよ。まず女性があまり訪れない。

肉だんご 僕ら、「打倒渋谷」でやってるのにね。

DEppa やってねえよ! 勝てないよ(笑)。

肉だんご あとはついに歌詞に英語が入ったのも大きな変化ですね。

DEppa 「World wide Ota city!」。東京オリンピックに向けてね(笑)。

親にあと何回会えるんだろう、と思って作った「声」

──「声」もすごく印象的な曲です。この曲を聴いて、親の顔を思い浮かべました。

シクラメン

DEppa ああ、それはうれしいです。7年ぐらい前に「ありがとう」という曲を作ったんですけど、これはなかなか伝えられなかった親への感謝の気持ちを音に乗せて届けてしまおうと考えて作ったんですね。それから時が経ってもう1度こういう曲を作ろうと思ったのは、親がもう65歳とかになって「あと何回会えるんだろう」って考えてしまったのがきっかけで。「ありがとう」を作った頃は実家にいたからいつでも会えていたんですけど、今はもう月に1回ぐらいしか会わなくなって、そうなると1年で12回、2年で24回。もし3年後に亡くなってしまったら、あと30回ぐらいしか会えないじゃないか、もっと親を大事にしないと、と思ったんです。

──「ありがとう」とはまた違う思いですね。

DEppa 今までは「ありがとう」「感謝してるよ」「産んでくれてありがとう」でよかったけど、今回の「声」はその先を考えました。また違う形で感謝を届けたいなと。「俺ががんばるから、とりあえず元気でいてくれよ」というところに思いが向いて。

桃紅茶 DEppaがこの曲を作る前に、さっきと同じようなことを話していて、僕も「そうだな」と思いました。自分も実家を離れて10年ぐらい経つし、「全然家族に会ってないな」って気付いて、それからはちょくちょく会うようにしてます。

──あまり会えない人、という話ですと「手紙」もそういうことを歌った曲ですね。親だけじゃなく友達なんかにも当てはまると思いますが。

肉だんご 僕は帝京高校の野球部出身で、地方から来た友達ばっかりだったので、今なかなか簡単に会えない人が多いのですごくこの曲に共感しました。その友達のことを考えながら聴くと、すっと入ってきますね。

DEppa 自分の友達が遠くに行ってしまったときに思ったことを曲にしたんですが、東京から遠いところに住んでいる僕らのファンに届いてほしいなと考えながら作りましたね。離れていても忘れないでね、大切なんだよっていう思いを届けたいです。

「今日はシクラメンが来たから勝てるぞ!」

──「ハートビート」は冒頭の話にも出た、JBLリンク栃木ブレックスの公式応援ソングになりましたね。

DEppa はい。昨日も試合のハーフタイムで歌わせてもらって、試合も観てきました。

──最初に試合会場でこの曲を歌ったのはいつでしたか?

DEppa 去年の11月ですね。それまでは試合会場にアーティストが応援歌を歌いに来るってことがなかったみたいで、お客さんたちも「なんだこれは」っていう反応だったんですけど、何度も応援に行くうちに覚えてくれて、声をかけてもらったりハイタッチしてもらったりしてます。

──それはうれしいですね。

シクラメン

DEppa もう10回ぐらいホーム戦で歌わせてもらったんですけど、7勝3敗くらいで僕らが行った日の勝率がよくて。お客さんからも「今日はシクラメンが来たから勝てるぞ!」みたいに言ってもらえたり(笑)。田臥さんも話しかけてくれますし。

肉だんご 感動するよね。

桃紅茶 バスケ界のレジェンドなのに、僕らみたいな人間に気を遣ってくれるんだもんね。

──ブレックスというチームや田臥さんと「ハートビート」の歌詞がリンクする部分はありますか?

DEppa ありますあります、選手の皆さん1人ひとりがめっちゃ負けず嫌いで。「他人には決められたくない自分の限界を」っていう歌詞は田臥さんと話したときに思い付いて入れたんですけど、皆さんそうですね。それにハートで戦っている選手が多いので、僕らもすっごい好きになって。今は完全にブレックスファンです。

ニューアルバム「スルメ4」/ 2016年6月8日発売 / 3240円 / TFCC-86558 / TOY'S FACTORY
「スルメ4」
収録曲
  1. kamataッ子5
  2. ハートビート
  3. Believe
  4. 記憶 ~決して忘れない~
  5. あとは野となれ山となれ
  6. 手紙
  7. 苺スッパイナー -skit-
  8. White Dragon
  9. 八咫烏
  10. ふるさと
  11. furusato -skit-
  12. スタート
  13. こころ
  14. またね
「シクラツアー2016夏~輝いて!ゴルーデンサマー!~」
2016年7月5日(火)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
2016年7月9日(土)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
2016年7月17日(日)石川県 Kanazawa AZ
2016年7月24日(日)香川県 DIME
2016年8月6日(土)福岡県 DRUM Be-1
2016年8月7日(日)熊本県 熊本B.9 V2
2016年8月12日(金)広島県 広島CLUB QUATTRO
2016年8月14日(日)北海道 COLONY
2016年8月20日(土)宮城県 Rensa
2016年8月25日(木)愛知県 DIAMOND HALL
2016年8月26日(金)大阪府 BIGCAT
2016年9月3日(土)神奈川県 CLUB CITTA'
シクラメン
シクラメン

2007年に東京都大田区で結成された3MCユニット。メンバーは兄弟のDEppa、肉だんごと、幼なじみの桃紅茶。子供から大人まで幅広い世代に響くストレートな歌詞とポップな楽曲でリスナーを魅了している。2008年の「スルメ」に始まり、インディーズ時代に3枚のアルバムを発表。2011年9月に市原隼人の主演映画「DOG×POLICE~純白の絆~」の主題歌「僕の宝物」をTOY'S FACTORYからシングルリリースし、メジャーデビューを果たした。地元を題材にした楽曲などを多数発表したことから、2012年10月には大田区観光PR特使に就任した。2013年5月にメジャー第1弾アルバム「スルメ1」を発表し、その後もシングルリリースを重ねていく。2015年1月に全米感涙協会より「涙活公認アーティスト第1号」に任命され、2月に5thシングル「キミノナミダ」をリリース。4月には関東地方で開催されたイベント「肉フェス2015」に公式応援歌「みーとフェスティバル」を書き下ろし、6月に羽田空港国際線旅客ターミナル応援ソング「SKYWALKER」を含むミニアルバム「こんにちは羽田」を発表した。2016年6月にニューアルバム「スルメ4」をリリースし、7月より全国ツアーを開催する。