音楽ナタリー Power Push - シクラメン

メジャーデビュー5年を迎える“スルメサウンド”の今

シクラメンが6月8日にニューアルバム「スルメ4」をリリースする。今作は配信リリースされたリード曲「こころ」や、プロバスケットボールチーム・リンク栃木ブレックスの公式応援歌に採用された「ハートビート」などを含む全15トラック入りの作品。タイトルに“スルメ”を冠したシリーズはインディーズ時代の作品を含めると5作目で、この“スルメ”には「聴けば聴くほどに味が出る音楽」を生み出したいという彼らの思いが込められている。

音楽ナタリーでは、「スルメ4」の発売を記念してDEppa、肉だんご、桃紅茶の3人に彼らの地元である東京都大田区の蒲田で取材を実施。地元ならではのリラックスしたムードの写真と共に、彼らが丹精込めて作り上げた新作に対する思いをテキストから感じ取ってほしい。

取材 / 田中和宏 文 / 伊藤雅代 撮影 / 西槇太一

自分たちの音楽を見返すことで大切なものに気が付いた

──皆さんにお話をお伺いするのは、リンク栃木ブレックスの田臥勇太選手との座談会以来ですね(参照:シクラメン×田臥勇太(リンク栃木ブレックス)対談)。

シクラメン

DEppa その節はありがとうございました!

──「スルメ」シリーズは2013年リリースのアルバム「スルメ1」以来、約3年ぶりですね。完成してみての感想を聞かせてください。

肉だんご 僕ららしいアルバムができたなっていう気持ちが強いです。「スルメ1」のあと「シクラメンの夏」(2014年発売)、「こんにちは羽田」(2015年発売)と冒険をしてみて「もう1度“スルメサウンド”を追求したらどうなるんだろう」と思いながら作ったんです。

DEppa 実は「スルメ」シリーズはもうやめたつもりだったんですよ。

──そうなんですか?

DEppa 紆余曲折あって「もういいかな、次のステップに進もうかな」と思ってたんです。でもシクラメン=スルメみたいなイメージが自分たちの中にあったし、1回聴いて終わりではなく、5年10年……できればずっと聴いてもらえる、聴けば聴くほどよさがわかるような作品を作りたいという気持ちもずっとありました。「スルメ」シリーズ以外のアルバムをリリースして自分たちの音楽を見返すことで大切なものに気が付いて、新しい“スルメサウンド”にもう1回挑戦するという思いもあります。

──ちなみに改めてお伺いしたいんですが、“スルメサウンド”を言葉で説明するとどういうものになりますか?

DEppa やっぱり「素朴」というか「田舎臭さ」というか(笑)。

肉だんご そうだね。

DEppa 狙っていたわけじゃないんですけど、新鮮じゃない感じというか……鮮度はないんだけど味は美味い、みたいな。その味わいを出すのはすごく難しくて。今回も自分たちで作った曲をそのままリリースしておしまいにならないように、何度も聴き込んで聴けば聴くほどよくなる曲だけを選びました。

みんなの人生のおつまみになったらいい

──アルバムの制作はいつ頃から始まったんですか?

桃紅茶 2015年の10月くらいから、DEppaを筆頭に制作を進めてきました。

──今回、作品全体のテーマやコンセプトはあったんでしょうか。

DEppa

DEppa 僕らが「スルメ」シリーズの最初の作品をリリースしたとき、CDの裏面に「人生のおつまみに」っていうひと言を添えたんですけど、「スルメ4」も同様で音楽って「なくてもいいかもしれないけど、なかったら世の中がつまんない」と思っていて、シクラメンの音楽も「みんなの人生のおつまみになったらいいな」と考えていて。そういう音楽をもう1度やっていきたい、と思って作りました。

──収録曲がすごくバラエティに富んでますよね。シクラメンらしい応援歌や前向きなメッセージを込めたものもあれば、地元を歌った曲、昔話っぽい曲など。

DEppa そうですね。これを聴いてくれる人がどんなところで聴くかはわからないから……電車の中とか休み時間とか、出勤する車の中とか。あとはライブで聴くこともありますし。「こういうときに聴いてほしい」みたいな思いを持ちつつ、みんなの毎日を想像してそれぞれを作りました。

──桃紅茶さんは曲選びのとき、どんな意見を伝えたんですか?

桃紅茶 ライブでできる明るい曲を入れたかったので、それを伝えて。あとは過去にライブで歌っている曲、「八咫烏」や「あとは野となれ山となれ」なんかを入れたいということも伝えましたね。曲順もみんなですごく話し合ったし。

DEppa そうだね。いまだに正解がわかんないです。「この曲とこの曲が逆だったらどうだったのかな」っていうところもあるし。でも一生答えは出ないですからね。

肉だんご 出ない出ない。でも1曲目が「kamataッ子5」なのは動かなかったよね。これは正解だった。

──途中には「苺スッパイナー」や「furusato」といったスキットもあり。

シクラメン

DEppa こんなの入ってましたっけ?(笑)

肉だんご 一生懸命やってるんですよ!

DEppa 箸休めですね(笑)。それは冗談として、次の曲をよりよく聴かせるためには?というのを考えて入れたんですよ。1回落とすっていうのも大事かなと。アルバム全体で1時間近いですし、緩急を付けたいなと。

ニューアルバム「スルメ4」/ 2016年6月8日発売 / 3240円 / TFCC-86558 / TOY'S FACTORY
「スルメ4」
収録曲
  1. kamataッ子5
  2. ハートビート
  3. Believe
  4. 記憶 ~決して忘れない~
  5. あとは野となれ山となれ
  6. 手紙
  7. 苺スッパイナー -skit-
  8. White Dragon
  9. 八咫烏
  10. ふるさと
  11. furusato -skit-
  12. スタート
  13. こころ
  14. またね
「シクラツアー2016夏~輝いて!ゴルーデンサマー!~」
2016年7月5日(火)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
2016年7月9日(土)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
2016年7月17日(日)石川県 Kanazawa AZ
2016年7月24日(日)香川県 DIME
2016年8月6日(土)福岡県 DRUM Be-1
2016年8月7日(日)熊本県 熊本B.9 V2
2016年8月12日(金)広島県 広島CLUB QUATTRO
2016年8月14日(日)北海道 COLONY
2016年8月20日(土)宮城県 Rensa
2016年8月25日(木)愛知県 DIAMOND HALL
2016年8月26日(金)大阪府 BIGCAT
2016年9月3日(土)神奈川県 CLUB CITTA'
シクラメン
シクラメン

2007年に東京都大田区で結成された3MCユニット。メンバーは兄弟のDEppa、肉だんごと、幼なじみの桃紅茶。子供から大人まで幅広い世代に響くストレートな歌詞とポップな楽曲でリスナーを魅了している。2008年の「スルメ」に始まり、インディーズ時代に3枚のアルバムを発表。2011年9月に市原隼人の主演映画「DOG×POLICE~純白の絆~」の主題歌「僕の宝物」をTOY'S FACTORYからシングルリリースし、メジャーデビューを果たした。地元を題材にした楽曲などを多数発表したことから、2012年10月には大田区観光PR特使に就任した。2013年5月にメジャー第1弾アルバム「スルメ1」を発表し、その後もシングルリリースを重ねていく。2015年1月に全米感涙協会より「涙活公認アーティスト第1号」に任命され、2月に5thシングル「キミノナミダ」をリリース。4月には関東地方で開催されたイベント「肉フェス2015」に公式応援歌「みーとフェスティバル」を書き下ろし、6月に羽田空港国際線旅客ターミナル応援ソング「SKYWALKER」を含むミニアルバム「こんにちは羽田」を発表した。2016年6月にニューアルバム「スルメ4」をリリースし、7月より全国ツアーを開催する。