ナタリー PowerPush - School Food Punishment
徹底的な意識改革を経て生まれた こだわりの新作「Prog-Roid」
ビジュアルにもっと一貫性を持たせたいと思った
──シングルの「RPG」からバンドのロゴとかデザインが変わってますよね。それはビジュアルも含めての意思表示という感じもしたんですけれど、そういう意識はありました?
内村 そうですね。意識改革の話をしたときに、ビジュアルとかアートワークについてもっと一貫性を持たせたいと思ったし、メンバー、スタッフ間の打ち出していきたいテーマやイメージがバラけないように、立て直したいと思った。で、今回は初めて、視覚的なイメージのトータルなプロデュースに、TLGFの河原さんという方に入ってもらったんです。その人をヘッドに置いて、その人がカッコいいと思うSchool Food Punishmentをいうものを教えてください、どう思いますか? という話をして。バンドがどうであったらいいか? ということを一緒に話していったんです。
──デザインはどういうふうに決まっていったんですか?
内村 ロゴもシングル「RPG」やアルバムのジャケットも、河原さんが考える“School Food Punishmentにとってカッコいいと思うもの”を表現してもらいました。オフィシャルサイトをリニューアルしたんですけれど、そのときの仕掛けもそうです。その見せ方も印象的でしたね。
「Prog-Roid」はSchool Food Punishmentの音楽そのものを表す言葉
──実際、アルバムを聞くと、デジタルとアナログの融合というだけじゃなくて、相当難度の高いチャレンジがなされていると思うんです。キャッチーなメロディと複雑なアレンジの妙味を融合させている。たとえば「≠」のコード進行とか。そういうことは、曲を作った最初から意識していました?
内村 いえ、最初は違いました。私たちの曲はどの曲も、最初に作っていたガイドから最後に作り終わる完成形まで、すごく変化しながら出来上がっていくんです。ちなみに、このアルバムを聴いて、生っぽいと感じました?
──僕の印象で言うと、生っぽいところとデジタルなところがあって、そのどっち側にもいかない感じがするというか。最後の「Y/N」を聴き終わるまで、それがどちらか言いきれないような感覚があったんですけれど。
内村 さっき言った「デジタル感とアナログ感の融合」とか「相反するものが共存している感じ」って、まさにそういうことなんです。例えば生っぽいのに機械的な感じもするし、その一方で人肌を感じるようなところもあって。コード進行を捉えると複雑だし、リズムも複雑なのに、パッと聴いたらすごく聴きやすいもの。小難しいようでキャッチーになっている。そういうものが、School Food Punishmentというものの魅力になっていくといいなと思っていて。だから「どちらにもいかない」って感じてもらえたのは、すごくうれしいですね。まさにそうだなって思うから。
比田井 単純にデジタルとアナログの融合だけじゃなくて、生演奏とプログラミングも融合しているし、バランスをとってるんです。一見デジタルっぽい音を生で演奏していたり、ピアノをプログラミングで作っていたりする。そういうサウンドに、聴きやすいメロディを乗せる。ただ、難しい曲とか複雑な曲を作るつもりはなくて、単純にカッコいい曲を作りたくてやっているという。誰にでも聴いてほしい、わかりやすく伝えたいという思いはあるので。
──ちなみに「Prog-Roid」というタイトルは、どういう意味合いを託したものなんですか?
内村 これはプログレッシブと、プログラミングと、アンドロイドの造語なんです。このアルバムを表現するのに一番いい言葉は何だろうということで、できたのがそのキーワードなんですね。アンドロイドって、ロボットよりもどこか人間っぽい感じがあるじゃないですか。そのニュアンスも込めたし。プログレッシブという言葉は、進化していこうという気持ちがあるし。そのタイトルを決めた後でふと考えてみたら、そもそも前のアルバム以前の自分たちの音楽も「Prog-Roid」だと思ったんです。
比田井 School Food Punishmentの音楽そのものを表す言葉ともとれるなと思って。
──なるほど。それで言うなら、前のアルバムのタイトルの「amp-reflection」という言葉は、バンドの本質よりもデビューしたという状況を表した言葉だったんですよね。
比田井 そうそう、まさにそうですね。あのときのマインドにつけたタイトルでした。
CD収録曲
- free quiet
- RPG
- in bloom
- ウツロウ、サンガツ
- ≠
- are
- Ura Omote
- ハレーション
- flashback trip syndrome
- 光
- Y/N
DVD収録曲
- RPG
- Slide show
- in bloom
School Food Punishment(すくーるふーどぱにっしゅめんと)
2004年10月に結成された、内村友美(Vo)、蓮尾理之(Syn)、山崎英明(B)、比田井修(Dr)からなる4人組ロックバンド。2007年4月に1stミニアルバム「school food is good food」を発表し、音源制作と並行して、ワンマンライブや全国ツアーなどライブ活動も精力的に行う。2008年12月に発売した3rdミニアルバム「Riff-rain」はタワーレコードインディーズウィークリーチャートで1位を記録した。2009年3月に発表されたJUDY AND MARYのトリビュートアルバムでは「Brand New Wave Upper Ground」をカバ—し話題となった。 同年5月にシングル「futuristic imagination」でメジャーデビューを果たす。「futuristic imagination」や「light prayer」「future nova」「after laughter」といったシングル曲はアニメ「東のエデン」のテーマ曲に選ばれ、大きな注目を集めた。2011年5月には約1年ぶりの音源となるシングル「RPG」を発売。7月に2ndアルバム「Prog-Roid」をリリースする。