SECRET GUYZが11月8日にニューシングル「TRANS MAGICIAN」をリリースした。
SECRET GUYZはLGBTへの理解を世間に広めるべく活動を展開している、FtM(元女性)の吉原シュート、池田タイキ、諭吉の3人からなるアイドルユニット。彼らにとって8枚目のシングルである今作の表題曲では“恋とマジック”をテーマに、ミステリアスな曲調に乗せて男女の駆け引きが歌われる。
音楽ナタリー初登場となる今回の特集ではグループの成り立ちから新作の話題にいたるまで、SECRET GUYZというグループの魅力を掘り下げるべく、さまざまな質問を3人に投げかけた。アイドル界に“虹色の懸け橋”を架けるべく活動する彼らのにぎやかで熱い言葉を受け取ってほしい。
LGBT……Lesbian(レズビアン・女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bysexual(バイセクシャル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者、性同一性障害を含む事もある)の頭文字を取った単語で、セクシャル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつ。
取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 草場雄介
SECRET GUYZのSECRET大解剖
──音楽ナタリーのPower Pushに登場いただくのは初めてなので、SECRET GUYZの“シークレット”を丸わかりにすべく、グループのお話から聞かせてもらえたらと思います。まず初めに、SECRET GUYZってどんなグループですか?
池田タイキ メンバー3人全員がオネエの逆転バージョンの“オニイ”という、FtMのトランスジェンダーグループです。用語がわかりにくいから、「元女子」っていう表現が一番わかりやすいかも。
諭吉 ねえ、女“子”って言っていいわけ? 女“性”じゃないの?
タイキ いいの、いいの(笑)。
──では、FtMとは?
タイキ 正式な表記はFemale to Male。パスポートに表記されてるF(Female / 女性)とM(Male / 男性)のことですね。でも簡単に言ったほうが伝わるから“元女子”。
吉原シュート つまり、オネエの方はMtFってことですね。
──なるほど。ちなみに、不躾な質問なのですが……。
一同 なんでも聞いてください!
──皆さん外出先でのお手洗いはどうされているんですか?
諭吉 インタビュアーさんは女性ですよね。僕らが女性用トイレにいたらどう思いますか?
──ドキッとします。
一同 ですよね!(笑)
諭吉 男性用お手洗いの個室に行きますね。あと最近は多目的トイレも多く設置されているので、そちらを選ぶことも多いです。女性用トイレを使うことはまったくないですね。
シュート 入ろうと思えば入れるけどね。でも入ることはまずないって感じかな。
“オニイアイドル”として自分たちの存在感をアピールしたい
──次は、SECRET GUYZ結成のきっかけを教えてもらえますか?
シュート もともとは僕が今の事務所で男性俳優として活動していたんですけど、「ほかに何かやらないか」ということになったんです。そこで「“元女子”をもっと表に出していこう」となったんですけど「1人じゃちょっとパンチが弱い」って言われたんですよ。
諭吉 いやいや、FtMって時点ですごいパンチでしょうよ(笑)。
シュート ホントだよね。で、「誰かほかにいないわけ?」って聞かれたときに、諭吉のことが頭に浮かんで。僕が活動し始めたのと同時くらいに諭吉が吉本興業で活動を始めたのを僕は知ってたんです。
諭吉 僕もシュートのことは知ってた。やっぱり世界が狭いからね。
シュート で、「声をかけてみよう」って話になって、彼に声をかけたんです。
諭吉 最初は「何を言ってんだ」って思いました。「事務所違うのになんてこと言うわけ?」って。いつか一緒にお仕事をすることになるだろうなとは考えていたんですけど、まさかグループに誘われるとは思わなかった。だけど、誘われたことを吉本のマネージャーに相談したら「面白いんじゃないですか」って言われたんですよ(笑)。「もし困ったことがあればこっちでうまくやるから、面白いもの作りましょう」って言ってくれて。なので僕も「やります」って返事をしました。
シュート で、タイキとはもともと友達で、僕が芸能界に入るときに「いつか何か将来一緒にできたらいいね」と話をしていたんです。だからすぐに彼の顔が浮かんで、誘ったら「やる」って言ってくれたからこの3人が集まりました。だけど、その時点で何をやるのかは、まったく決まってなかったんです。
タイキ 集まったはいいけど「何する?」ってね。
諭吉 今思うとよく「やります」って答えたなって思うわ(笑)。
シュート 歌やダンスをやるなんて決まってなかったし、やると決まってレッスンが始まっても戸惑うばかりで。SECRET GUYZはそんなところから歩き出しました。
諭吉 練習始めたときなんか、ずっと「マジかよ。ダンスマジかよ」って思ってた。
タイキ 「諭吉くんターン早いな」って思ってたら、回ってなかっただけだったりね(笑)。
諭吉 「もう、全然付いていけなーい!」と思って。「無理無理、絶対無理」って。
──“アイドル”という表現方法を選んだ自分たちのスタイルを、今はどう思っていますか?
タイキ 自分たちのやってきたことってお手本になる存在がいないからやっぱり迷いますし、今でも試行錯誤なんです。でもやっていて楽しいのは楽しいね。
シュート うん。逆に縛りがないから、やりたいことを自由にできるし。
諭吉 だから“オニイアイドル”として自分たちの存在感をアピールしたいなっていう気持ちがとても強いです。
──SECRET GUYZはそれぞれの担当も独特ですよね。まずシュートさんは「裸の王子様担当」。これにはどういった意味があるんですか?
シュート はい、僕は裸の王子様担当をやらせてもらっているんですけど……。
諭吉 ほらー! 王子様は内股にはならないよ!(シュートの内股を直す)
シュート 早速出てしまいましたが、こういうところが裸の王子様なんです(笑)。どこか抜けていたり、面白いことが好きだったりとか、どうしてもちょっと王子様らしからぬところが垣間見えてしまう。自分では完璧だと思っているんですけどね……周りから見ると、チョイチョイずれているところがあるみたいです。
──タイキさんは「やんちゃ担当」。
タイキ 僕は永遠の12歳ということで、やんちゃ担当をやっています。最近はファンの子にも親目線で見られているみたいで、高校生の子に「タイキちゃん、ステージの上でこういうことはやっちゃダメだよ」とか言われちゃうの(笑)。
諭吉 「これはやっちゃダメだよ」って周りが言うと逆にやりたくなっちゃったりね。こちらの想像をいつも超えてくるので、もう静止するのに必死です(笑)。
──そんな諭吉さんは「キャワイイ担当」ですが、これにはどんな意味が?
諭吉 どこからどう見てもキャワイイじゃないですかー!(笑) というのは置いておいて。僕はグループの中で“中間地点”の役割をしていると言うか。性別については「FtMです」と答えはするんですけど、自分自身は性別にとらわれていない場所にいる感覚なんです。「諭吉」っていう性別でいたいなって思っている。で、「キャワイイ」については……「キャワイイ」なんて言ってる時点で、すでに腹黒いじゃないですか。だから、裏を返せば腹黒担当ってことですね。たまにいじわるな言い方もしちゃいます(笑)。
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革命起こしたいよね
- SECRET GUYZ「TRANS MAGICIAN」
- 2017年11月8日発売 / SDR
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FUSION盤 [CD]
1000円 / ZXRC-1123 -
SMILE盤 [CD]
1000円 / ZXRC-1124 -
LET'S GO盤 [CD]
1000円 / ZXRC-1125
- FUSION盤収録曲
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- TRANS MAGICIAN
- ∞~My future~
- SMILE盤収録曲
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- TRANS MAGICIAN
- 吠えろ!E☆O!
- LET'S GO盤収録曲
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- TRANS MAGICIAN
- 壱・弐・秘密的男人体操(イーアールシークレットタイソウ)
SECRET GUYZ presents ONEMAN LIVE 2017「TRANS MAGIC SHOW」
- 2017年11月19日(日)東京都 東京キネマ倶楽部
- 2017年11月23日(木・祝)兵庫県 クラブ月世界
- SECRET GUYZ(シークレットガイズ)
- LGBTの理解をもっと世間に広めるべく“新時代アイドル”として活動中の、FtM(元女性)の3人からなるトランスジェンダーグループ。吉原シュート(裸の王子様担当)、池田タイキ(やんちゃ担当)、諭吉(キャワイイ担当)の3人で構成されている。2013年にシングル「HUG×HUG」でデビュー。2014年に2ndシングル「My Monster Lovely」を発表する。2017年5月に初の東名阪ファンミーティングツアーを開催。同じく5月にTBS系アニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察」のエンディングテーマを表題曲とする7thシングル「悩めるヒーロー」をリリースした。11月には8枚目のシングル「TRANS MAGICIAN」を発表。同じく11月に東阪でワンマンライブ「SECRET GUYZ presents ONEMAN LIVE 2017『TRANS MAGIC SHOW』」を実施する。