音楽ナタリー Power Push - SCREEN mode
アニソンシーンの進化を願う、ノンタイアップのむき出しSOUL
非モテ男のラブソングが僕たちの“SOUL”
──今回収録される楽曲の歌詞は恋愛をモチーフとして描かれていますよね。そこも1つのテーマとしていたんですか?
雅友 そうですね。ノンタイアップで何を歌うかを考えたとき、「自分の“SOUL”について歌うのがいいんじゃないかな」って勇-YOU-に言われて。じゃあ今の自分たちの等身大の思いとはなんだろうって考えると、「もっと多くの人に振り向いてほしい」「もっと俺たちの歌を聴いてくれよ」ってことだったんですよ。ただ、それをまんま歌うのはどうかなと思ったので、その思いを恋愛要素に置き換えてみたんです。女性に振り向いてもらえない男の歌をたくさん入れたら、それが僕たちの“SOUL”に重なるんじゃないかなって。2曲目の「WHY NOT!」なんかもう僕らの等身大の叫びですからね。それを非モテ男子が考える西野カナみたいなタッチで描いてるっていう(笑)。そういうダブルミーニングにもなっているので、半笑いで聴いてもらってもいいと思いますけどね(笑)。
──そういうお話を聞くとまたアルバムの印象が変わってきそうですけど(笑)、僕は全7曲を通して1つの恋愛のストーリーとして聴いたんですよ。
雅友 あ、そこはけっこう考えて狙いましたね。最後までうまくいかずに終わるけど(笑)。
勇-YOU- 満たされた曲が1つもないっていう(笑)。
──あれ、でも途中でいい雰囲気になる曲もありますよね。
雅友 5、6曲目は確かにそういう感じはありますよね。でも重要なのは、全部が主人公視点でしか描かれてないってことで。例えば5曲目の「True Sweet Heart」はデートの曲ですけど、相手の発言の描写がないから、全部が妄想の可能性もあるっていう(笑)。
勇-YOU- 恐ろしい歌だ(笑)。すげえ痛いやつなのかもしれない。
──そんな(笑)。その前の「Interlude(Why do I love you so much?)」は勇-YOU-さんが女性と電話しているという内容になってるじゃないですか。明日のデートの前に声が聞きたくなってしまったっていう。
雅友 でもこれ、電話が誰かにつながってるとも限らないですからね。相手の声が実際に聞こえてるかどうかわからない(笑)。
勇-YOU- ヤベえ(笑)。「声が聞きたくなって」って1人で言ってるっていう。
雅友 「元気ないんじゃない? 心配だよ」って妄想で(笑)。ただね、ミッドナイトな雰囲気が漂う6曲目の「Never say never end」に関しては、うまくいってる可能性もある。もうちょっとうまくいってない描写をした歌詞もあったんですけど、最終的にはけっこううやむやな内容にしてもらったんで。
試行錯誤の末完成したディスコチューン「WHY NOT!」
──メンバー自らが「ヤベえ男の妄想炸裂なアルバム」という印象に持っていこうとしているのはどうかと思いますけど(笑)、聴き手それぞれ自由に楽しんでもらえばいいわけですよね。
雅友 うん、もちろん。それぞれのストーリーを生み出していただければ。で、このアルバムはぜひ1枚通して流れで聴いてほしいですね。1曲目、勇-YOU-の叫びから始まるとこからもう“SOUL”全開なんで。
──あのオープニングはインパクトありますよね。
勇-YOU- あの叫びは一発で録りました。ある程度のメロディは雅友さんに決めてもらったんですけど、あとは思いのまま叫ぶようなフェイクをアカペラで歌いました。こういうのは何回も録るもんじゃないなと思ってたので思い切ってやったところ、1発目に納得のいく叫びが出せたのでよかったなって思います。
──そこからアルバムのリード曲となるディスコチューン「WHY NOT!」へ。いきなりテンションを上げてもらえる流れが最高だなと。
雅友 この曲はね……記憶を消し去りたくなるくらい何度も作り直したんですよ。ディスコ曲って繰り返しで高揚感を生むジャンルだから、最初はそうやって作ってたんです。でもそれがちょっと単調に思えたから、コードやメロディを変えたり、それに合わせて歌詞を変えたりということを本当に何度もして。そのたび勇-YOU-に歌ってもらったしね。今の形にたどり着くまでは大変でした。
勇-YOU- 確かに何度も歌うしんどさはあったけど、そのたびにいろいろ自分なりの歌い方をトライできたのがよかったですね。最終的にすごくいいメロディに着地したし。もともとアース(Earth Wind & Fire)とかも好きだったんで、楽しく歌えました。
──この曲でミュージックビデオも撮られたんですよね。
勇-YOU- そうなんですよ。今までのMVはわりとロックテイストでシンプルにカッコいい見せ方でしたけど、今回は高嶺の花である美女になかなか振り向いてもらえない男性が主人公なので、人間としてのユーモアも出してみたんですよね。そういう部分を表現できたことは自分にとっていい経験になったし、今後のSCREEN modeの可能性も広がったんじゃないかなって思います。
「オレはATMじゃない」
──今回、いろいろな作詞家が参加しているのも狙いだったんですか?
雅友 そうですね。曲調によっていろんな人とやらせていただこうっていう狙いはありました。3曲目の「Liar」はもともと勇-YOU-が書いていたんだけど、もうちょっと歌詞にドラマ性を持たせるために女性の視点を入れたほうがいいなと思ったんですね。なので結城アイラさんにお願いして共作してもらったんです。
勇-YOU- そういう作業は楽しかったですよ。結城さんから出てきた「オレはATMじゃない」というフレーズは最高だなって思いましたね(笑)。強がってるけど確実に転がされてるじゃんっていう。
雅友 「よく聞き取れなかった / 『サヨナラ』と言ったのか?」ってとこもね、都合の悪いことは聞こえてないっていう(笑)。かなり傑作。勇-YOU-が歌うとカッコいいんだけど、歌詞をよく読むと笑える。そのなんとも言えない甘じょっぱい感じが俺は超好きっすね。
──「Never say never end」の歌詞は松井五郎さんが手がけていますね。
雅友 松井五郎さんはずっとSCREEN modeの歌詞を書きたいって言ってくれていたんですよ。なので今回、バラードでぜひお願いしようと。安全地帯の歌詞を書かれたりしている方が生み出す言葉を勇-YOU-に歌ってもらうことでいいシナジーが起きるんじゃないかなと思ったので。サウンド的には最初、フランク・シナトラみたいなジャズにしようと思ってたんですけど、勇-YOU-からのリクエストでR&Bにしました。
勇-YOU- ちょっと懐かしい感じがするR&Bですね。
雅友 ジョーとかアッシャーみたいな1990年代のR&Bを、あえて今風にすることなくそのままお届けした感じです。
次のページ » 生演奏には予算とアレンジ能力が必要
CD収録曲
- SOUL
[作曲:太田雅友] - WHY NOT!
[作詞:松井洋平 / 作・編曲:太田雅友] - Liar
[作詞:結城アイラ、林勇 / 作・編曲:太田雅友] - Interlude(Why do I love you so much?)
[作詞:結城アイラ、林勇 / 作曲:太田雅友 / 編曲:太田雅友、EFFY] - True Sweet Heart
[作詞:松井洋平 / 作・編曲:太田雅友] - Never say never end
[作詞:松井五郎 / 作曲:太田雅友 / 編曲:太田雅友、EFFY] - Last Train
[作詞:村野直球 / 作曲:太田雅友 / 編曲:太田雅友、EFFY]
DVD収録内容
- 「WHY NOT!」Music Video
- 「WHY NOT!」Music Video -演奏 Ver.-
SCREEN mode LIVE 2016 Spring「Live Naked」LIVE映像
- 極限Dreamer
- Naked Dive
- アンビバレンス
- LφVEST
- アメイジング ザ ワールド
- Bloody Rain
- RED AND BLACK
- 君と僕の願いのまま
- START LINE
- LOVE and FAKE
- ワナガナCHANGE!
- Distance ~風の先へ~
- Crystal Kiss
- Brand-new land
- アメイジング ザ ワールド
- Happiness!
- Hello HALO
- STAR PARK
公演情報
SCREEN mode Concept Mini Album「SOUL」発売記念イベント
- 2017年4月2日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- OPEN 18:30 / START 19:00
内容:ミニライブ&ハイタッチ会
SCREEN mode「SCREEN mode LIVE TOUR 2017 Spring "SOUL"」
- 2017年4月15日(土)愛知県 SPADE BOX
- 2017年4月16日(日)大阪府 OSAKA MUSE
- 2017年4月30日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
SCREEN mode(スクリーンモード)
洋画吹替やアニメ、ゲームの声優として活躍する勇-YOU-(林勇)と、サウンドプロデューサー・雅友(太田雅友)によるバンドとして2013年に結成。SCREEN modeというバンド名は「音の『SCREEN=映像』を、さまざまな『mode』に変化させながらリスナーの心に焼き付けていきたい」という思いから名付けられた。2013年11月にシングル「月光STORY」でメジャーデビュー。以降はアニメソングを中心に、コンスタントに作品を発表している。2017年2月にミニアルバム「SOUL」をリリース。4月には東名阪3都市を回るライブツアー「SCREEN mode LIVE TOUR 2017 Spring "SOUL"」を行う。