曲単位で完結しない“シンクロソング”を

──12曲目には「フラクタル」というバラードが収録されていますが、この曲は既発曲「アンビバレンス」とシンクロした楽曲という意味合いで制作されたそうですね。

雅友　クラシックとかプログレによくある組曲的な感覚ですよね。複数の曲で1つの意味を成すという。最近は曲単位でダウンロードすることが多い世の中になっちゃったんで、そういう手法があんまり成立しないんですけど、だからこそあえてやってみようと。「アンビバレンス」が僕らにとってすごく大切な曲になったから、それと対になる、シンクロする曲があったら、さらに曲への思いが強くなるんじゃないかなっていう狙いもありました。弦のアレンジに苦労しましたけど、比較的スムーズに作れましたね。

勇-YOU-　「“シンクロソング”を作る」というアイデアには僕も大賛成で。「アンビバレンス」に出てくる“君”が「フラクタル」では主人公になっているという視点で歌詞を書きました。離れ離れだけど2人は同じ空でつながっている、だからお互いを目指して歩き出そうっていうメッセージを込めて。2曲をシンクロさせる作詞は初めてでしたけど、面白かったですね。

王道であること

──前回のインタビュー時に、SCREEN modeサウンドには王道感があるというお話をされていて。でも今回のアルバムを聴かせていただくと、王道は守りつつも想像を凌駕するカウンターもしっかり放たれている印象があったんですよね。

雅友　ああ、なるほど。でもね、僕の曲は一貫して王道ですよ、やっぱり。世の中にはすごく前衛的なことをやる人もいれば、最先端の音楽をやる人もいて、多様性があってしかるべきなんですよ。でも、その中で僕ほど恥ずかしげもなく王道なものだけを書き続けてる人って意外と少ないなとも思っていて（笑）。みんなが覚えやすくて、すぐ口ずさめる王道の曲。複雑そうに聞こえるけど実はシンプルな曲。俺が作るのはそれでいいじゃんって思うんですよね、最近。

勇-YOU-　実はその王道感を出すほうが難しかったりもしますからね。ギミックをたくさん入れたりして、振り切ったことをやるほうが簡単だったりするというか。

雅友　そうそう。難しいんですよ、実は。自分で言うのもなんですけど（笑）。だから簡単に僕らをマネすることはできないと思います。

──そこもまた揺らがないSCREEN modeらしさということになるのかもしれないですね。同時に、お2人がシーンに存在する意味にもなっているという。

雅友　そうです。そうなんだと思います、うん。

勇-YOU-　僕らの曲って、いい意味で老若男女に受け入れてもらえる可能性があると思うんですよ。すごくキャッチーだから。おじいちゃん、おばあちゃんにも届いたらいいなって思いますね。

ツアーでは一速上がったSCREEN modeを

──本作で新たなスタートを切るSCREEN modeですけど、秋には東名阪を巡るワンマンツアーも決定していますね。

勇-YOU-　はい。アルバムができて曲数も増えたし、曲のタイプもより幅広くなったので、ライブという空間でもいろんな感情を届けられるんじゃないかなと思います。今度のツアーではね、僕の新たな挑戦もお見せできたら面白いんじゃないかなって思ったりもしてるので、楽しみにしててください。

雅友　このアルバムで僕らの土台がしっかりしてきたと思うので、ここからはギアをもう一段入れて、さらにアクセルを踏み込みたいなと思ってます。ツアーでは一速上がったSCREEN modeのライブをしますよ。

勇-YOU-　うん。現状にとどまってらんないですからね。よりたくさんの人に届くように、僕らの世界を広げていきたいです。