音楽ナタリー Power Push - SCREEN mode

王道J-POPでアニソンシーンを駆ける2人の“発見の収集”

信頼しているからこそできること

──雅友さんが生み出す楽曲群に対して、勇-YOU-さんはどんな印象を持っていますか?

勇-YOU- とにかく振り幅が広いなあと。いい意味でジャンルを1つに絞らず、いろんな攻め方をしてくれるのが楽しいですよね。それによって歌い方のアプローチの振り幅も広げていけるので。

──楽曲を作る際、勇-YOU-さんの秘めたる歌声を引き出そうとすることもあります?

雅友 それは意識してないです。勇-YOU-は放っといても、そうなる人なんで。歌というのはその人となりが出るものなので、それを大事にしたいなと。だから曲を書くことでそれを試すようなことはしないです。もちろんキーであったりとか、テクニカル的な部分は考えますけどね。

──歌い手の感情を楽曲でコントロールすることはできないと。

雅友 そうそう。やろうとしてできるもんじゃないから、フリー走行してもらってるっていう。

──そう考えると2人の間にある信頼関係が非常に重要になってきますよね。

雅友 その通りだと思う。信頼しているからこそできることではありますから。その信頼関係もこの約2年で築き上げてきたものだと思いますね。

SCREEN modeによる“発見の収集”

──そんなSCREEN modeが満を持してリリースするのが1stアルバム「Discovery Collection」です。これはどのような思いで作り上げた作品ですか?

勇-YOU- まず最初にタイトルを決めようということになって。いろいろな候補がある中、このタイトルにピンと来たんですよね。日本語に訳すと“発見の収集”。要は、今までの活動を通してさまざまなアニメやゲームとの出会いもあったし、さまざまな楽曲を生み出すことができた。ライブではオーディエンスの熱い反応も感じることができた。それによってたくさんの発見があったと思うんですよね。

──そのたくさんの発見の集大成が本作であると。

勇-YOU- と同時に、僕らはもっともっと進化していきたいという気持ちもある。今に飽き足らず、一歩一歩前を向いていろんな変化に立ち向かっていきたいなと。そういう意味をリード曲となる「Brand-new land」に込めたんですよね。だからこのアルバムには、これまでの僕らの姿と、未来への僕らの思いが詰まっているんです。

雅友 僕らの中では集大成とか到達点というよりも、ここが新たなスタート地点っていう気持ちが強いんです。なので、次の扉が開くようなリード曲を作ったし、それ以外の曲もそこを意識して書いていったところはありましたね。

アルバムならではの新基軸

──これまで発表されてきたタイアップ曲を網羅しつつ、アルバム曲では今までに見えていなかったSCREEN modeのカラーがしっかり反映されていますよね。

雅友 シングル曲っていうのは1個1個の存在が点なんですよ。でも、それをアルバムに再コンパイルすると点だったものがつながって線になり、新しい面を生み出す。その際にアルバム曲が非常に重要な役割を果たすことになるんですよね。お汁粉にちょっと入れる塩みたいな(笑)。ちょっと引き算をした曲を入れてみたりとか、インストを入れてみたりとかすることで、今までのシングル曲も違った意味を持つようになるという。

勇-YOU-(Vo)

勇-YOU- レゲエがあったり、ファンクがあったり、アルバム曲はシングルでは見せていないオリジナリティを感じてもらえるものが多いと思います。シングル曲以上に振り幅が広いんで、ボーカルに関してもすごくやりがいがありましたね。先ほどの信頼感っていう話じゃないですけど、どの曲もわりと自由に歌わせてもらって、いい部分を拾っていくっていう録り方をさせてもらえたんですよ。その中で新たに見えた可能性もありましたね。「LOVE and FAKE」なんかは、かなり自由にいろんな要素を詰め込んでみた曲なんですけど。

──ちょっとセクシャルな歌詞が衝撃的なファンクチューンですよね。

勇-YOU- だいぶおちゃらけてますよね(笑)。フェイクもたくさん入れたし、セリフっぽいところがあったりもするし。

雅友 ライブの打ち上げで飲んでるときに、この曲の間奏に吐息を入れるアイデアが出てきて。実際やってみることにしたんだけど、そのレコーディングはかなり面白かったよね。勇-YOU-が照れちゃって、「Oh, yeah」とか言い出して(笑)。そっか、この人洋画の吹き替えやってるんだった、とか思ったりして。

勇-YOU- いやあ、やっぱり照れますよ。できればお酒かっくらってやりたかったですけどね(笑)。

──女性ファンにとってはかなり刺激的なんじゃないでしょうか。

勇-YOU- ね。今までのSCREEN modeにはなかったタイプの曲なので楽しんでもらえたらうれしいです。この曲がアルバムの3曲目に入ってるっていうのもポイントだと思うんですよ。序盤で1回心拍数を上げといて(笑)。

──で、インストの「~prelude~」で落ち着かせ。

勇-YOU- そうそう。そこからまた違う世界観に引き込んでいくっていう。いい流れが作れたんじゃないかなと思いますね。

──8曲目にはレゲエテイストの「ハジマルメロディ」が。先ほどの雅友さんのお話にあったように、さまざまな曲が詰め込まれたアルバムにおいては、まったく違和感なく、SCREEN modeの1つのカラーとして楽しめます。

雅友 個人的にレゲエがめっちゃ好きかというとそうではないんですけど(笑)、現代のポップスの一つのエレメントとして重要ですからね。しかも、いわゆるアニソン系のシーンでここまでガッツリしたレゲエをやってる人はいないと思うんで、僕ららしさの際立つ曲になったのかなと。

──ライブでのいいムードが想像できますよね。

勇-YOU- そうですよね。ピースフルな雰囲気になると思います。

雅友 普通レゲエだとエレキギターを使うんですけど、この曲はガットギターで柔らかい感じを出したんですよ。前向きで、ちょっとかわいい雰囲気のある曲なので。歌に関してもここでは突き抜ける感じではなく、好きな子の耳元で歌ってあげるような感じでやってみてよってリクエストはしましたね。

勇-YOU- うん。わりとささやくような感じで歌いました。ファルセットも多用して。気持ちよく聴いてもらえるんじゃないかな。

雅友 アルバムの中でも、ライブでもここでちょっとチルアウトしてもらえたらと。基本、圧の強い曲が多いので(笑)。

1stフルアルバム「Discovery Collection」 / 2015年7月22日発売 / 3240円 / Lantis / LACA-15488
1stフルアルバム「Discovery Collection」
2015年7月22日 iTunes Store配信開始

※7月15日より予約受付開始(リードトラック「Brand-new land」先行配信)

収録曲
  1. Brand-new land
  2. STAR PARK
  3. LOVE and FAKE
  4. ~prelude~
  5. marionette
  6. Bloody Rain
  7. 月光STORY
  8. ハジマルメロディ
  9. LφVEST
  10. アメイジング ザ ワールド
  11. アンビバレンス
  12. フラクタル
  13. 極限Dreamer
  14. ~postlude~
SCREEN mode(スクリーンモード)

サウンドプロデューサー・雅友(太田雅友)と、洋画吹替やアニメ、ゲームの声優として活躍する勇-YOU-(林勇)によるユニットとして2013年に結成。SCREEN modeというユニット名は「音の『SCREEN=映像』を、さまざまな『mode』に変化させながらリスナーの心に焼き付けていきたい」という思いから名付けられた。2013年11月にシングル「月光STORY」でメジャーデビューして以来、アニメソングを数多く手がけ、コンスタントにシングルを発表。2014年10月には1stミニアルバム「NATURAL HIGH DREAMER」をリリースし、同年11月には東京・渋谷CLUB CRAWLで初のワンマンライブを開催した。2015年4月に通算5枚目となるシングル「アンビバレンス」、7月に1stフルアルバム「Discovery Collection」をリリース。11月には初のワンマンライブツアー「SCREEN mode LIVE TOUR 2015 ~Discovery Collection~」を行う。