音楽ナタリー Power Push - SCANDAL
4人4色のYELLOW メンバーソロインタビュー
SCANDALの10年を振り返って
やりたいことをやりながら、気が付けば10年経っていたっていう感じです。1年に1枚のペースでアルバムを作ってきたんですけど、毎年ちゃんとその1年のバンドのムードみたいなものをアルバムで表現してこれたなって、振り返ってみると思いますね。あと、最近は本当に普段着の音楽ができているなっていう実感があるんです。いい意味で気負わずに、ナチュラルな自分たちで音楽がやれていると思います。
バンドが大きく前進した転機
今回のアルバムや前作の「HELLO WORLD」を発表した、最近かなって思います。自分たちは同じダンススクールのメンバーでバンドを結成して、「バンドマンになるんだ」っていう思いをバンドを始めてから持ったんです。バンドとしてデビューしてるのに作曲をしてないって、どういうイメージを持たれるんだろうな?とか、まっすぐ音楽が届かないんじゃないのかなっていう不安があったし。曲を作りたくてもレベルが追いつかないっていう葛藤があったんですけど、作家の皆さんやアレンジャーのサポートを受けながらここまでやってきた。いろいろな音楽の作り方を見てくる中で「自分たちもやりたい」「やれる」と思うようになって、やっと「できた」と思えるところまで来れたんだと思います。
自分の成長につながった転機
海外でライブをやると、自分の機材をすべて持っていけるわけではないからドラムだけ会場ごとにセットが違う。その経験は自分の中ですごく大きいです。どんなセットがあるのか行ってみないとわからないっていう状況を経験するようになって、自分の身1つあればいつでもどんな状況でも同じ音が鳴らせるドラマーにならなきゃと思うようになりました。課題をクリアしていくには、まず「できる」としか思わないこと。あとは限られた時間の中でどれだけベストを追求できるかだと思います。「いいドラマーになりたい」っていう思いは年々強くなっていますね。
メンバーの変化
HARUNAはいろんなことに挑戦するようになったなあと思いますね。自分の声を使って歌や言葉を届けるポジションにいるので、自分以外のメンバーの思いも背負ってる人。どういうふうに歌えばいいんだろう、伝えればいいんだろうって迷ってた時期もあったと思うんですけど、最近は歌声がすごくカラフルになった。以前は「苦手だ」って言っていたのに「ファルセットで歌う曲をやってみたい」って自分から言えたりだとか。ボーカリストとしてすごくたくましくなったと思います。MAMIはソングライティングを多くやってくれていてSCANDALのメロディメーカーだと思ってるんですけど、そこにちゃんと自信を持てるようになった。「HELLO WORLD」のワールドツアーで、MAMIの作った「Departure」が断トツで人気だったんですよ。海外の人にこの曲が好まれて、そこで自信が付いたんだと思います。「自分の役割はこれだ」って、彼女が見付けたような感じがありました。TOMOMIは、音楽の興味の幅がどんどん広がってる。今回のアルバムに、レゲエ調のリズムに挑戦した「LOVE」っていう曲があるんですけど、これはTOMOMIの作った曲。普段聴いてる音楽が変化しないと、こういった新たな表現って出てこないと思うんです。
4人の中での私の役割
ファンとの距離を縮めることかなと思います。文章を書いたりSNSをたくさん更新したりっていうことが好きで得意だから、なるべく思ってることを日々文字にして、みんなに届けることを心がけています。あとはHARUNAが「こういうことが言いたいんだけど言葉を見つけられない」ってなっちゃったときに、助けられる人でありたい。テレビに出るときなんかはHARUNAの隣に私がいることを必須にしていて、困ったらRINAに振れば大丈夫って思ってもらえるようにしてる。HARUNAの安心材料でありたいっていう気持ちはすごくあります。なんと言うか、プレイ以外のことでメンバーの心配事がないようにしておきたいっていう思いがありますね。
「YELLOW」制作にあたって意識したこと
幸せな1枚を作りたい、幸福感のあるアルバムにしたいっていう気持ちが大きなイメージとしてありました。2015年の春頃にアルバム制作に向けて動き始めたんですけど、そのときみんなの中にそういった意識があったんですね。だから、全曲に幸せなムードが染み込んでいるなって思う。自分たちのサニーサイドをちゃんと形にしたいって思いながら作ったアルバムです。
お気に入りの曲
「ヘブンな気分」かな。全体を通してポップなアルバムとはいえ、カッコいい曲もやりたかったので「わかりやすくクールな1曲を作ろう」と思って、自分たちなりのグランジロックっていうものをテーマに書きました。この曲はイスタンブールで感じた空気に影響を受けて完成したんです。ワールドツアーのあとにトルコのイスタンブールの音楽祭に出演させてもらったんですけど、イスタンブールって川を挟んでアジアサイドとヨーロッパサイドに分かれてて、1つの地域に両方の文化が根付いているんです。ライフスタイルも宗教も、いろんなものが混ざり合っていて、音楽も伝統的な民族音楽がまだ生きていたり。すごい不思議な空間で数日間過ごすことができたんです。で、滞在中、NirvanaとかMudhoneyを聴いていたんですよ。そういったムードもひっくるめて、自分の中のお気に入りを曲に閉じ込めることができた気がしていてお気に入りですね。
「YELLOW」の聴きどころ
気軽に楽に聴いてもらえたらなって思います。1曲1曲にしっかり私たちの心は入っているんですけど、アルバムを通して聴いたときに少し心が軽くなるとか、明日からまたがんばれそうだなっていう気分になってもらえたらうれしい。それだけでもう満足です。
SCANDALにとっての「YELLOW」
一生大事に思えるアルバムだと思います。「アルバムの全曲を自分たちで作れるようになりたい」っていう思いは、公言してはいなかったけど4人の中にずっとある目標だった。もし、この作品を聴いて音楽を好きになってくれるが人いたら、もっと自分たちの音楽に自信を持てると思うし……本当に、バンドの運命が左右されるくらいの1枚だと思っています。でも、楽しくいろんな人に広がっていけばいいな。
SCANDALのこれから
ワールドツアーを回ったとき、いろんな国の人が私たちを受け入れてくれた感覚があったけど、「まだまだ振り向かせられる」って感覚もあったんです。イギリスでライブをしたときは、周りが盛り上がってる中、バーカウンターでお酒を飲んで会場を出て行く人もいた。数年前はこれをプラスに考えられなかったなって思うんですけど「あ、面白いな」って思えたんです。そのときに、10年目にしてまだこういった感覚を味わえる喜びを感じました。だから、これからもまた長い時間をかけて、いろんな人にSCANDALのことを好きになってもらいたい。急いでいろんな夢に手を伸ばすのではなくて、ずっと続いていけるバンドを目指したい。今、ギネスブックに載っているガールズバンドの最長の活動年数って、ZELDAの17年なんです。まずはそこを目指してやっていきたいなと思います。
- ニューアルバム「YELLOW」/ 2016年3月2日発売 / EPICレコードジャパン
- 完全生産限定盤 [CD+Tシャツ] / 5200円 / ESCL-4590~1
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3700円 / ESCL-4592~3
- 通常盤 [CD] / 3200円 / ESCL-4594
CD収録曲
- Room No.7
- Stamp!
- LOVE ME DO
- Morning sun
- Sunday Drive
- 今夜はピザパーティー
- ヘブンな気分
- SUKI-SUKI
- LOVE
- Sisters
- Happy Birthday
- ちいさなほのお
- Your song –English ver.-
初回限定盤DVD収録内容
- YELLOW OPENING MOVIE “Room No.7”
- YELLOW OPENING MOVIE “Room No.7”
~Making Clip~
- SCANDAL TOUR 2016「YELLOW」
- 2016年4月13日(水)宮城県 仙台PIT
- 2016年4月14日(木)宮城県 仙台PIT
- 2016年4月16日(土)新潟県 新潟LOTS
- 2016年4月17日(日)新潟県 新潟LOTS
- 2016年4月21日(木)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2016年4月23日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
- 2016年4月24日(日)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
- 2016年4月30日(土)香川県 高松festhalle
- 2016年5月1日(日)大阪府 なんばHatch
- 2016年5月3日(火・祝)愛知県 Zepp Nagoya
- 2016年5月4日(水・祝)愛知県 Zepp Nagoya
- 2016年5月8日(日)北海道 Zepp Sapporo
- 2016年5月11日(水)東京都 Zepp Tokyo
- 2016年5月13日(金)東京都 Zepp Tokyo
- 2016年5月14日(土)東京都 Zepp Tokyo
- 2016年5月19日(木)大阪府 なんばHatch
- 2016年5月20日(金)大阪府 なんばHatch
- 2016年6月4日(土)シンガポール The Coliseum
- 2016年6月9日(木)香港 Star Hall
- 2016年6月11日(土)台湾 台北 ATT SHOW BOX
- 2016年6月18日(土)タイ BCC Hall Central Ladprao
- SCANDAL 10th ANNIVERSARY FESTIVAL 「2006-2016」
- 2016年8月21日(日)大阪府 泉大津フェニックス
OPEN 13:00 / START 16:30
SCANDAL(スキャンダル)
2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo, G)、MAMI(G, Vo)、TOMOMI(B, Vo)、RINA(Dr, Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を獲得する。2008年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たし、2009年末に「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞した。2012年3月に初のベストアルバム「SCANDAL SHOW」を発売。2013年3月にメンバーの念願だった大阪・大阪城ホールにてワンマンライブを開催し、2014年6月に神奈川・横浜アリーナにてガールズバンドとして23年ぶりとなる2DAYSのワンマンライブを成功に収めた。同年12月にニューアルバム「HELLO WORLD」をリリース。2015年1月からはバンド史上最多公演数となる全31公演の国内ホールツアーと、フランス、イギリス、アメリカ、香港、台湾、メキシコ、ドイツ、シンガポールといった国での初単独公演を含むワールドツアーを開催する。同年9月にはメジャー通算22枚目となるニューシングル「Sisters」をリリース。12月から2016年1月にかけて、東京・日本武道館2DAYSを含む東名阪ツアー「SCANDAL ARENA TOUR 2015-2016『PERFECT WORLD』」を実施した。3月2日に7枚目のオリジナルアルバム「YELLOW」を発表。結成10周年記念日となる8月21日には地元大阪で野外ワンマンライブを開催する。