音楽ナタリー Power Push - SCANDAL

4人4色のYELLOW メンバーソロインタビュー

TOMOMI(B, Vo) / このアルバムを作れたことで、自分たちの未来がちょっと延びたような気がしています

SCANDALの10年を振り返って

体感スピードが本当に速くて、こうしてインタビューを受けて「10周年ですね」って言われると「そうかあ」とやっと実感する感覚です。結成当初は大阪城ホールの前で毎週ストリートライブをしていました。お客さんが0人のところからスタートして、大阪城ホールに向かうお客さんの足をどうにか止めようって4人で話し合って、その日にホールでライブをするアーティストさんのカバーをやってみたり。「いつか自分たちも大阪城ホールの舞台に立ちたい」っていう夢の実現に向かってひたすらやってきて、それが叶ったのが3年前。本当にうれしかったし、ずっと支えてきてくれた皆さんに感謝しました。ただ「ここまでやってこれたんだ」っていう感慨はあったんだけど、達成感は不思議となかったんです。「ここで何回もライブをしたい」と思ったし、去年ワールドツアーに行かせてもらったときには「まだやりたいことがあるな」とも感じた。もうキリがないんですよね(笑)。だから今は「これからだな」と思っているところです。

バンドが大きく前進した転機

みんなが初めて一緒に持った夢で、それを叶えることを目指して活動してきたっていうところで言うと、やっぱり2013年の初めての大阪城ホールワンマンかなって思います。

自分の成長につながった転機

ところどころにあるんですけど、最初に「私勇気出したな」と思ったことは、2ndアルバム「TEMPTATION BOX」の「放課後1H」で初めてメインボーカルを担当したこと。私、自分の声も何もかも、とにかく自信がなかったんです。「どんな反応をされるんだろう?」と思ってたし本当に不安だったんです。でも発表したらリスナーの皆さんに受け入れてもらえて、すごくうれしかった。今作の「YELLOW」でもメインボーカルを担当している曲があるんですけど、こうして今も歌えているのはそのときに勇気を持って前に進めたからかなって思います。

メンバーの変化

HARUNAは自分の意見を言うよりもまずみんなの意見を聞く人だったんですけど、最近は自分の思っていることや意思を伝えてくれるようになりました。年上だしリーダーだしフロントマンだしで、とにかく一番プレッシャーを抱えていたと思うんです。だけど、ちょっとずつ「もっと力抜いてもいいんやな」と思うようになってくれたんじゃないかな。意見を言ってくれるようになったのは本当に最近だと思います。RINAは彼女の中の許容範囲が広がったと思う。RINAって、これまでは「NOなものはNO」っていう子だったんです。海外の環境に慣れなくてごはんが食べられないとか、そういうことがあったんですけど、毎年毎年やれることが増えていった。いろんなものを好きになったほうが人として素敵だと思うから、RINAはホントに素敵な人になったと思います。MAMIとは初期の頃から、2人で「自信がない」って話をずっとしてました(笑)。HARUNAとRINAはエンタテインメントの世界を目指して小さい頃からがんばってきた子たちだけど、私とMAMIは気付いたらここにいた人。くじけそうになったときもあったりはしたんですけど、MAMIは今「自分には作曲が向いてる」ってことに気付いて制作の面で指揮を執ってくれている。最近は「得意な分野を見付けられた」と話をしてくれるんです。そこからはもう人が変わったみたいで、性格も明るくなったなって思います。

4人の中での私の役割

私……本当に自分のことがわからなくて、自分の紹介ってできないんです。だから役割もわからないんです。ごめんなさい(笑)。

TOMOMI(B, Vo)

「YELLOW」制作にあたって意識したこと

今回の作品には「マイナーコードをかき鳴らす」みたいな、いわゆる私たちの王道だと言える曲は入っていないんです。これまでの自分たちのスタンダードとは違うアルバムが作りたかった。聴いてくれた人が「ちょっと楽しいかも」って思ってくれるようなものにしたくて、無条件に楽しめるようなリズムだったり、音色もそうですね……カラっとした、湿度が低めのサウンドを意識しました。

お気に入りの曲

自分で作詞作曲をした「LOVE」にします。私たち、これまでにいくつもラブソングを歌ってきたんですけど、恋の終わりを歌ったものが多かったんですよ。で、今回「YELLOW」というポジティブなアルバムを作ろうとなったときに「じゃあ円満なラブソングを書いてみよう」と思ったのが、この曲ができたきっかけ。恋の途中を描いた、情熱的すぎない曲になったかなと思います。レゲエのリズムを採り入れてみたりと、新しい挑戦もありました。

「YELLOW」の聴きどころ

今回私は機材にこだわりました。そんな中で、自分の手持ちの機材を活用して録った曲が「へブンな気分」です。この曲はグランジを意識して演奏したからギターもすごく歪んでるし、ドラムもボトムを下げてすごくヘビーなサウンドを作ってる。で、ベースもそれに合わせて自分のライブ用エフェクターボードの一番右側に置いてあるサブライム(Fender Sublime Bass Fuzz Pedal)っていうエフェクターを使ったんです。このエフェクター、低音が削られずに歪んでくれて一番のお気に入りなんですけど、演奏曲が100曲あるとしたら2曲くらいしか登場しないんですよ。そのエフェクターをこの曲で使えたっていうのがすごくうれしかったですね。あとこの曲では全体を通してベースがバランスを取っているので、その案配を感じてほしいなって思います。

SCANDALにとっての「YELLOW」

このアルバムを作れたことで、自分たちの未来がちょっと延びたような気がしています。「YELLOW」には“どこにでも持ち歩ける曲”がそろったなと思っていて。ライブに行くために予習で聴こうっていうような曲じゃなくて、例えばドライブしながらとか、普段の生活の中でいつでも聴けるアルバムだと思う。そんなアルバムが作れて、本当によかったなと思います。

SCANDALのこれから

ワールドツアーを回ったとき、ガールズバンドって本当に少ないんだなって感じたんです。どこの国に行っても「どうして女の子でバンドをやろうと思ったの?」って質問されたし、世界的にEDMが流行っているから、「EDMが主流だけど、バンドとしてどうやってEDMと戦っていくの?」って聞かれたりもした。でも私たちはダンススクール出身だからルーツにはダンスミュージックがあるし、もちろんダンスミュージックは好きなんです。だから「戦う」っていう考えはないんですよね。それに、今は「自分たちのバンドサウンドにEDMをミックスして、新しいものを作ってみたいね」なんて話が4人の中で出てくるような開放的な気分がある。だからこそ、「YELLOW」っていう風通しのいいアルバムが完成したと思うんです。あとワールドツアーを回ってみて、「世界にはハッピーな音楽って足りてないんじゃないかな?」っていう気がしました。私たちがライブでやり続けている曲ってハッピーなものが多いし、これからもそういう音楽をやっていきたい。だから私たちは“ハッピーロックバンド”であり続けようと思っています。

TOMOMI(B, Vo)
ニューアルバム「YELLOW」/ 2016年3月2日発売 / EPICレコードジャパン
完全生産限定盤 [CD+Tシャツ] / 5200円 / ESCL-4590~1
初回限定盤 [CD+DVD] / 3700円 / ESCL-4592~3
通常盤 [CD] / 3200円 / ESCL-4594
CD収録曲
  1. Room No.7
  2. Stamp!
  3. LOVE ME DO
  4. Morning sun
  5. Sunday Drive
  6. 今夜はピザパーティー
  7. ヘブンな気分
  8. SUKI-SUKI
  9. LOVE
  10. Sisters
  11. Happy Birthday
  12. ちいさなほのお
<ボーナストラック>
  • Your song –English ver.-
初回限定盤DVD収録内容
  1. YELLOW OPENING MOVIE “Room No.7”
  2. YELLOW OPENING MOVIE “Room No.7”
    ~Making Clip~
SCANDAL TOUR 2016「YELLOW」
2016年4月13日(水)宮城県 仙台PIT
2016年4月14日(木)宮城県 仙台PIT
2016年4月16日(土)新潟県 新潟LOTS
2016年4月17日(日)新潟県 新潟LOTS
2016年4月21日(木)福岡県 Zepp Fukuoka
2016年4月23日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
2016年4月24日(日)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
2016年4月30日(土)香川県 高松festhalle
2016年5月1日(日)大阪府 なんばHatch
2016年5月3日(火・祝)愛知県 Zepp Nagoya
2016年5月4日(水・祝)愛知県 Zepp Nagoya
2016年5月8日(日)北海道 Zepp Sapporo
2016年5月11日(水)東京都 Zepp Tokyo
2016年5月13日(金)東京都 Zepp Tokyo
2016年5月14日(土)東京都 Zepp Tokyo
2016年5月19日(木)大阪府 なんばHatch
2016年5月20日(金)大阪府 なんばHatch
2016年6月4日(土)シンガポール The Coliseum
2016年6月9日(木)香港 Star Hall
2016年6月11日(土)台湾 台北 ATT SHOW BOX
2016年6月18日(土)タイ BCC Hall Central Ladprao
SCANDAL 10th ANNIVERSARY FESTIVAL 「2006-2016」
2016年8月21日(日)大阪府 泉大津フェニックス
OPEN 13:00 / START 16:30
SCANDAL(スキャンダル)
SCANDAL

2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo, G)、MAMI(G, Vo)、TOMOMI(B, Vo)、RINA(Dr, Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を獲得する。2008年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たし、2009年末に「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞した。2012年3月に初のベストアルバム「SCANDAL SHOW」を発売。2013年3月にメンバーの念願だった大阪・大阪城ホールにてワンマンライブを開催し、2014年6月に神奈川・横浜アリーナにてガールズバンドとして23年ぶりとなる2DAYSのワンマンライブを成功に収めた。同年12月にニューアルバム「HELLO WORLD」をリリース。2015年1月からはバンド史上最多公演数となる全31公演の国内ホールツアーと、フランス、イギリス、アメリカ、香港、台湾、メキシコ、ドイツ、シンガポールといった国での初単独公演を含むワールドツアーを開催する。同年9月にはメジャー通算22枚目となるニューシングル「Sisters」をリリース。12月から2016年1月にかけて、東京・日本武道館2DAYSを含む東名阪ツアー「SCANDAL ARENA TOUR 2015-2016『PERFECT WORLD』」を実施した。3月2日に7枚目のオリジナルアルバム「YELLOW」を発表。結成10周年記念日となる8月21日には地元大阪で野外ワンマンライブを開催する。