実話を元にした恋愛ソング
──「今更だって僕は言うかな」「film」など、切ない恋愛ソングも印象的でした。
石原 恋愛の歌の比率は、作品ごとに変えてるんですよ。「カントリーロード」(2017年5月発売の1stミニアルバム)は恋愛の曲が多めで、「サラダデイズ」(2018年5月発売の2ndミニアルバム)、「ブルーピリオド」(2019年10月発売の3rdミニアルバム)は少なくて。
せと 「カントリーロード」は、ほぼ恋愛の歌じゃない?
石原 そうだね(笑)。
せと 「カントリーロード」を出したあと、“失恋ソング系バンド”みたいに言われることがあって。慎ちゃんとしては「それだけじゃない」という気持ちがあったみたいですけど、ずっと「いい曲なんだから、別に気にしなくていいんちゃう?」って話したんですよ。お客さんも求めてくれてるし、自然に出てくるものをやろうよって。
石原 諭されました(笑)。でも、ホントにその通りで。恋愛の曲でもバンドとしてカッコいいところは表現できるし、変なプライドは要らないなと。
──「テイクミー」に収録されているラブソングも素晴らしいですからね。すごくリアリティがあって、聴き手も自分のことのように感じられる曲ばかりで。
石原 恋愛の曲は、ほぼ実話なんですよ。実際に経験したことが元になってるから、リアリティを感じてもらえるのかも。出演回数が多い人も、1回しか出てこない人もいるんですけどね(笑)。
──1回の失恋で何曲も書ける、と。
秋澤 今回のミニアルバム、3曲は同じ人のことを歌ってるやん。
石原 確かに(笑)。
秋澤 しかもその人、「ブルーピリオド」にも登場していて。
せと 全部で5曲。
石原 ……この話、やめない?
──ははは(笑)。せとさん、秋澤さんは、歌詞を読めば「これはあの彼女のことだな」ってわかるんですね。
せと わかりますね。楽曲制作とは関係なく、普段の世間話で聞いてるので。
秋澤 そうやな(笑)。
──プライベートの話も普通にできる関係だと。
石原 そうですね。全員同い年なのもよかったと思います。聴いてきた音楽もだいたい近いし……和貴はちょっと違うけど。
秋澤 僕は洋楽が多いですからね。
石原 でも同い年だと「中学生のときにあの曲が流行ってた」みたいな話はできるじゃないですか。それはけっこう大事だと思う。ドラマの話とか。
──「あのドラマ、観てた?」みたいな。
石原 そうそう。俺、「流星ワゴン」が好きだった。あとは「最高の離婚」。
せと 両方とも観てない(笑)。私は「ブラッディ・マンデイ」かな。「1リットルの涙」も好きだった。毎週泣いてました……これ、なんの話?(笑)
生きながら死んでる状態だった
──先ほども話に出ていた「猫の背」についても聞かせてください。「繰り返すだけの毎日なら 要らない 変わりたい」という歌詞もありますが、実際、こういう感情を持っていた時期があった?
石原 ありましたね。ずっと下を見ながら歩いていて……もともと周りの目が気になるタイプなんですけど、その頃は人の視線がすごく嫌で。誰かが悪口を言ってると、自分のことかなと思ってしまったり。当時の自分に対して、今の自分が「もっといけるよ」「大丈夫」と背中を押すつもりで書いたのが「猫の背」なんですよ。うちの親父がよく「死ぬ間際に後悔するような人生は送ってほしくない」と言うんですが、その頃の自分は生きながら死んでる状態だったんですよね。
──一番しんどかったのは、いつ頃だったんですか?
石原 大阪から東京に出てきた頃ですね。なかなか曲が書けなかったし、将来、どうなるかもすごく不安で。もう3人で活動し始めてたんですけど、その頃はだいぶ落ちてました。
せと みんなヤバかったよ、あの頃は。
秋澤 ……そうだった? あんまり記憶がない。
──前向きなメンバーも必要ですから(笑)。
せと そうですね(笑)。でも、メンバー同士もギスギスしてたんですよ。お互いに信用できなかったというか。で、私がしびれを切らして「まずは挨拶をちゃんとしよう」って言って。
石原 挨拶してなかった? そこはずっと気を付けてたんだけど。
せと 雰囲気が暗かったんじゃない? 朝、会ったときのテンションが暗いとスタジオもずっと暗いから、「元気に『おはよう!』って言おう」って。それだけでスタートの雰囲気がちょっとマシになったし。
──せとさん、しっかり意見を言うんですね。
せと はい。「それは絶対違う」と思ったら絶対に言うし、バンドに関わることはしっかり言おうと。
秋澤 前に比べると、みんないいところを褒めるようになりましたね。昔は悪いところを指摘することが多かったけど、最近は「いいな」と思ったら言うようになった。
石原 指摘するにしても、言い方とかニュアンスも大事だよね。テンション低めで「それはよくないと思う」って言うんじゃなくて、明るく「そこは〇〇ちゃう?」って言ったほうが和むし。
──メンバー同士の関係がよくなることで、作品やライブのクオリティも向上している?
石原 そうだと思います。人間ですからね、そこは。無駄なケンカが減ったことで、しっかり曲を詰められるようになったし、クオリティも上がってきて。そう言えばこの前、和貴とごはんに行って、友達みたいな感じで遊んだんですよ。バッティングセンターとか行って。あんなの初めてだったかも。
胸を張って「バンドをやってるんだよ」と言える
──最後に今後の活動について。まずはなんと言っても、初の東京・日本武道館公演が決定しました。
石原 ありがとうございます! 2021年2月5日です!
せと すごく楽しみです。
石原 武道館ライブタイトルの「send for you」は、ゆいかが考えてくれました。ようやく大きい会場で自分たちの状況を伝えられる機会をもらえたんだから、感謝を伝える1日にしようって。
せと 自分たちにとって武道館は通過点ではなくて、親やお世話になった人たちに「こういうバンドをやってます。ここまで来れました」と伝えたいんですよね。友達にも胸を張って「バンドをやってるんだよ」と言えるし、支えてくれる人がいたから、ここまで来れたって伝えられる場所だと思うので。
石原 親も呼びたいんですよね。今まで1回しかライブに来てくれたことがないので、武道館には来てほしくて。LINEで連絡したら「行けたら行く」って返信が来たんですけどね(笑)。
──それはきっと照れ隠しですね(笑)。秋澤さんはどんな気持ちですか?
秋澤 すごく感慨深いですね。僕もメンバーと同じ気持ちだし、今年の後半はさらにレベルアップしたいと思います。
──まずは9、10月に行われるワンマンツアー「Saucy Dog One-man tour 2020『We will take you』」ですね。
せと はい。さっきも言いましたけど、今はライブができること、目の前に聴いてくれる人がいること自体がうれしくて。
石原 そうやな。
せと 「テイクミー」の曲を演奏できるのも楽しみです。曲はライブでやらないと育たないし、特にSaucy Dogはそういう傾向が強いバンドだと思うので。
秋澤 去年のワンマンツアーもすごく楽しかったんですよ。前は打ち上げが終わったら別行動だったんだけど、去年は一緒に飲みに行ったり、ほかのバンドと合流したり。今回もめちゃくちゃ楽しみです。
石原 ひさびさのツアーだからね。絶対楽しくなりますよ!
ライブ情報
- Saucy Dog One-man tour 2020「We will take you」
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- 2020年9月22日(火・祝)神奈川県 KT Zepp Yokohama
- 2020年10月3日(土)北海道 Zepp Sapporo
- 2020年10月8日(木)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
- 2020年10月10日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2020年10月11日(日)香川県 高松festhalle
- 2020年10月16日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2020年10月17日(土)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
- 2020年10月22日(木)愛知県 Zepp Nagoya
- 2020年10月23日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- Saucy Dog one man live「send for you」
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- 2021年2月5日(金)東京都 日本武道館
- Saucy Dog 対バンイベント「リベンジエピソード」at 日本武道館
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- 2021年2月6日(土)東京都 日本武道館
<出演者> Saucy Dog / and more
- 2021年2月6日(土)東京都 日本武道館
- Saucy Dog 対バンイベント「リベンジエピソード」at なんばHatch
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- 2021年3月31日(水)大阪府 なんばHatch
<出演者> Saucy Dog / and more
- 2021年3月31日(水)大阪府 なんばHatch
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