さくらしめじ|雅功&彪我の全曲解説!新たな一歩示す初アルバムに“キノコトバ”を添えて

08. でぃすとーしょん

さくらしめじ

雅功 これはもう、完全に今までのさくらしめじにはなかった曲になってます! 現在僕が親に対して“プチ反抗期”でして(笑)。その日常を切り取って、ストレートに歌にした感じです。なんと言うか……反抗期の人たちって、強いことを言ってみるんだけど、心のどこかでは「絶対に自分が悪い」ってわかっているんですよ。そういうむずがゆい感じを出したいなと思って。結局は退散するけど、でも上から目線はやめない、みたいな感じ。この曲を作るにあたって、友達にインタビューをしたんです。「あなたの反抗期はどんな感じですか?」って(笑)。そうしたら、ある友達が「毎日が戦いです」と言っていて「“戦い”っていいな」と思ったので、歌詞にはボクシングや刀で戦うような描写を取り入れてみました。「でぃすとーしょん」というタイトルは歪みっていう意味があって、その歪み感を出せたらなという思いで書きました。

彪我 一人称が「俺」だもんね。

雅功 そう。最初は「僕」で作ってたんだけど、「反抗期なら『俺』だろ!」って。ふはははは(笑)。

彪我 でも、反抗期と言っても雅功らしい反抗期だなって僕は思った。自分でも「“プチ”反抗期」と言っていたけど、僕のイメージだと、反抗期の人って退散も認めないと思うから。「ひとまず退散」するところに、プチ反抗期感が出ていると思う。僕は自分では反抗期だと思ってないんですけど、それでもちょっとしたことでムカッとすることがたまにあるから、そういうときにこの曲を聴くとストレス解消になるなって思います。

雅功 で、聴いてもらったらきっとわかると思うんですけど、この曲は歌い方も今までとは変えているんです。基本は僕中心に歌わせてもらっているんですけど、それよりも彪我が今までにない表情を見せていてすごい!「少し黙ってよ!」の彪我、悪いなあーって思う(笑)。

彪我 だって、この曲は普通に歌っちゃいけないなと思って。「少し黙ってよ!」感をしっかり出そうと思い、レコーディングに臨みました(笑)。

雅功 ちなみに、親にこの曲を聴かせたら「ああ、こないだのことだよね?」って言われました。親的には「衝動的」っていうフレーズが気になったみたいで「やっぱり衝動的な行動なんだね」って、冷静に確認されました(笑)。

「でぃすとーしょん」キノコトバ

ベニテングダケ

ベニテングダケ

さわったら火傷するぜ

09. 朝が来る前に

さくらしめじ

彪我 今までのさくらしめじとは少し違った一面を見せている曲だなと思います。例えば「かぜいろのめろでぃー」では「困ったことがあったら寄り添ってあげるよ」と歌っているんですけど、この曲では「君が暗い顔をして泣きそうな夜は~飛んでいくよ」って、よりヒーロー感が出ていると言うか。レコーディングでも、この歌詞をどうやって表現すればいいのかなってところは悩んだところです。「とっておきの歌を聴かせてあげる」っていうフレーズ、ここだけ見るとすごく明るいメッセージに見えるんですけど、歌詞全体を通して見るとそれだけじゃない描写に感じる。明るさの裏にある悲しみや葛藤を自分の歌で表現できるように。そういったところの表現の仕方は、すごく考えました。

雅功 この曲は夜の出来事をテーマにしているんですけど、夜1人で布団に入ると、みんないろいろ考えることがあると思うんです。その感覚を思い出して、実際に僕が不安な気持ちになったらどういう歌を聴きたくなるかな?って考えて、力強さや頼もしさを感じられるように歌いました。この曲の歌詞、「飛んでいくよ」とか「ずっとずっと歌うよ」とか、断言して伝える頼もしいフレーズがいっぱい出てくるので、今までの僕らよりも一歩先に進んだかなって思いました。それは曲のメッセージだけじゃなくて、自分たちの歌い方や、持っている気持ちの面でもそういうふうに感じます。

「朝が来る前に」キノコトバ

田中雅功

ヒラタケ

より多くの人に届け

10. えそらごと

雅功 この曲、ファンの方からの人気がすごくあって。去年の年末の忘年会イベントでリクエストを募ったときも、すごく多くのリクエストをもらったんです。今回音源化することで「待ってました!」という声がたくさん聞けて、うれしいね。

彪我 うん。「絵空事」っていう言葉には「嘘」とか「ありえないこと」みたいな意味があるんですけど、この曲はそのタイトル通り、妄想をしまくるという内容です。僕はこういう壮大な妄想はあまりしたことがないんですけど、この曲を歌っているとまるで違う世界に入り込んでいるような感覚になれる。

雅功 Bメロが聴きどころと言うか、ポイントだよね。妄想って言うとどこかぼんやりとしたイメージがあるかもしれないけれど、Bメロにはすごく具体的なイメージが表現されているんです。あと、ここの伴奏の音の数々も妄想ストーリーを表現するのにピッタリだと思う。すごくサビを引き立たせているので、注目して聴いてもらえたらと思います!

「えそらごと」キノコトバ

髙田彪我

マッシュルーム

数えきれないほどの妄想

11. おもいでくれよん

彪我 初めて僕らが2人で作詞作曲をした曲です。2015年に47都道府県でフリーライブをする「菌活」というツアーを回ったんですけど、その旅の中で感じたことをこの曲に詰め込みました。この曲に込められた思いって、さくらしめじとして活動していくうえでの根本にある思いだなっていう気がしていて。この思いは曲を書いた当時もこれからもずっと共通しているなって感じるんです。

さくらしめじ

雅功 未来のことってわからなくて、「どんなふうに変わっていくんだろう?」って考えたりするけれど、僕たちは「きっと終わりなんてないさ はじまったばかり僕らの旅」っていう気持ちだけは変わらずにやっていきたいと思っていて。「菌活」が終わったときに書いた曲だけど、「さくらしめじの旅はまだまだ続いていくよ」という気持ちで書いたので、5年後も10年後もこの曲を通して「始まったばかりだから、これからもずっとずっと続いていくぞ」って言ってたいなって思います。

彪我 この曲は、ずっと大切に歌っていきたい曲です。

雅功 初めての作詞作曲はずっとわくわくしっぱなしだったけど、ギターだけで作ったメロディを初めて彪我に聴かせたときは緊張したなあ。「菌活」の旅の途中でね。滋賀だっけ?

彪我 そう、滋賀。

雅功 「彪我、どんな反応するんだろうな?」ってドキドキしてた。

彪我 僕もすごい緊張してたよ、そのとき! 「どんな曲なんだろうな?」って。でも聴いてみたらすごく雅功らしい、さくらしめじらしい曲で。作詞するのがすごく楽しみになった思い出です。

雅功 ちなみに、「ハルシメジ」では曲順で1日の流れを表現しています。「スタートダッシュ」で登校して、学校でいろいろなことが起きての「あやまリズム」があって(笑)、「夕空小道」で家に帰って、「でぃすとーしょん」でちょっと反抗してみて。で、最終的には「おもいでくれよん」の(歌詞にある)“目覚しベルが鳴り響いて”、また新たな1日が始まる。そういった意味でも、「おもいでくれよん」は大事な曲です。

「おもいでくれよん」キノコトバ

松茸

松茸

大きな夢に向かう

最後に

雅功

アルバムが完成して、やっぱり本当にうれしいです。「ついに来たか」って感じがします。アルバムって、「こういうアーティストがいるんだ」って興味を持ったとき、まず初めに手に取る作品だと思うんです。なので、この「ハルシメジ」はさくらしめじの顔となる1枚だと思いますし……アルバムを作れるくらいに「それだけ曲数も増えたんだな」と思います。3年半やってきたことがギュッと詰め込まれている感じだし、さくらしめじの新しい一歩になった作品です。

彪我

アルバム制作の中で新しい挑戦をたくさんしたので、僕らはこのアルバムで新たな一歩を踏み出せたなって思います。まだまださくらしめじの活動は続いていくので、これを機にどんどん成長していきたいです。「ハルシメジ」、それぞれの感じ方で楽しんでもらえたら。そしてこれからのさくらしめじにも期待していてください!

さくらしめじ

撮影に使用したキノコはスタッフがおいしく頂きました。

さくらしめじ「ハルシメジ」
2018年4月4日発売 / SDR
さくらしめじ「ハルシメジ」CD+DVD

[CD+DVD]
3500円 / ZXRC-2030

Amazon.co.jp

さくらしめじ「ハルシメジ」CD

[CD]
2700円 / ZXRC-2031

TOWER RECORDS

さくらしめじ「ハルシメジ」イベント盤

イベント盤 [CD]
2700円 / ZXRC-2032

CD収録曲
  1. スタートダッシュ
  2. あやまリズム
  3. 靴底メモリー
  4. 菌カツ!
  5. かぜだより
  6. ねこの16ビート
  7. 夕空小道
  8. でぃすとーしょん
  9. 朝が来る前に
  10. えそらごと
  11. おもいでくれよん
DVD収録内容
  • 2017.12.9「菌育 in the 家(はうす)スペシャル!」ライブ映像 @マイナビBLITZ赤坂
    • ひだりむね
    • きみでした
    • てぃーけーじー
    • おもいでくれよん
    • みちくさこうしんきょく
  • 「ハルシメジ」制作メイキングムービー
  • 「ねこの16ビート」勝手にMVつくってみた
さくらしめじ「菌育 in the 家(はうす)ファイナル!『真夏の星空ピクニック』in 日比谷野外大音楽堂」
  • 2018年7月28日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
さくらしめじ
さくらしめじ
田中雅功、髙田彪我によるフォークデュオ。2014年6月にガク&ヒョウガとしてユニットを結成し、8月にお披露目ライブを行った。埼玉・大宮駅前でストリートライブを重ねて経験を積み、11月に東京・日本青年館で行われたEBiDAN 39 & KiDSの単独公演に出演。この公演でユニット名が「さくらしめじ」になったことが発表される。また同日にライブ会場限定で1stシングル「いくじなし / きのうのゆめ」の販売がスタート。2015年3月に同作が全国流通盤としてリリースされる。またこの年の夏に全国を回るフリーライブツアー「さくらしめじニッポン列島菌活の旅~広げよう“きのこの輪”~」をスタートさせ、12月には初のワンマンライブを東京・IMA HALLにて開催した。2016年には8月にテレビ東京系ドラマ「こえ恋」のオープニングテーマを表題曲とした4thシングル「ひだりむね」を発表。2017年3月に初のミニアルバム「さくら〆じ」をリリースし、4月にTOKYO DOME CITY HALLにてワンマンライブ「春しめじのeat shun」を開催した。2017年7月には月に1度全国各地のライブハウスでライブを行う自主企画「菌育 in the 家(はうす)」をスタートさせる。8月にはTBS系アニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド~機動救急警察~」のエンディング主題歌を表題曲とするシングル「あやまリズム」を発売した。2018年4月に、初のフルアルバム「ハルシメジ」をリリース。