音楽ナタリー PowerPush - 佐香智久

「ポケモン」新OPアーティストの語る すべての人に寄り添うための歌

20年近く愛され続ける長寿アニメ「ポケットモンスター」シリーズの最新作「ポケットモンスター XY」。その主題歌として話題沸騰中の「ゲッタバンバン」を歌う佐香智久は生粋の「ポケモン」ファン。作品へのほとばしる思いを見事に楽曲へと昇華させた彼に、これまで歩んできた道のりと今の心境をたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 前田久 撮影 / 小坂茂雄

 
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「見返してやる音楽」が「楽しい音楽」に

──佐香さんって子供の頃はどんなお子さんでした?

けっこう暗い少年でしたね。あまり友達とかもすぐできるタイプでもなく。3人兄弟の真ん中なんですが、そんなに兄弟とも仲がよくなかったんです。

──となると、趣味もインドア派?

かなり。ゲームが好きで、あとはアニメも観てました。

──そんな佐香さんが、音楽を演奏したり、歌ったりするようになったきっかけはなんだったんですか?

佐香智久

もともと僕の家にはCDプレイヤーやコンポもなくて、音楽が流れることがほとんどなかったんですね。でも中学3年生のある日、当時の僕はクラスのイジられキャラで……たぶんやっていた人たちは「イジり」だと思っている一方で、僕自身は「イジり」よりもうちょっとキツいやつだと感じていたんですけど(笑)……とにかくそういうキャラだったので、学校の行事のためにアコースティックギターの弾き語りをしなきゃいけないことになったんです。周りの人たちに「やりなよ」と言われてしまって。それが音楽を始めたきっかけですね。正直、積極的に始めたわけではないんですけど、そういう話になってから1カ月間練習してその行事で弾き語りを披露しました。

──どうでした? そのときの感触は。

初めて人にホメられたんですよ。「意外と歌えるじゃん!」って。それで「やってよかったな」「これからも歌ってみようかな」って思ったんです。

──ちなみに曲は何を?

SMAPの「世界に一つだけの花」と、WaTの「僕のキモチ」です。

──その曲を練習しているときってどんなお気持ちでした? 初めて音楽にちゃんと向き合った、しかもリスナーではなくプレイヤーとして向き合ったわけじゃないですか。何か発見はありました?

そのときはとにかく「こんなことを押し付けてきたヤツらを見返してやる!」という気持ちが大きくて。必死だったので、練習していても、音楽というより、まるでスポーツをしているような感じでした(笑)。でも披露したときは全然違いましたね。初めてマイクを通して返ってくる自分の声を聴いたときの感動だったり、本当に人前で歌えるのか?っていう不安の気持ちだったりは、どれもすごく不思議なものだなと思ったし、歌ってるときは「こんなに楽しいんだ!」とも思っていましたし。特に決意をしたというわけでもなく、ただ単純に楽しいから、これからも音楽を続けたいと自然に思えてましたね。

言葉にできない思いをメロディに乗せて

──そのあとはどういった形で音楽を続けていかれたんですか?

高校に入って、一応バンドも組んだりしたんですけど、1カ月くらいで音楽性の違いで解散して(笑)。もともと人に合わせられるタイプでもなかったので「これはもうバンドはムリだな」「1人でやっていこう」と思って、また淡々と弾き語りの活動を始めました。

──音楽活動を続けていくうちに、目標や憧れになったアーティストはいらっしゃいます?

佐香智久

音楽に意識的に触れるようになってから、すごくステキだなと思ったのは、福山雅治さんです。弾き語りで歌われている姿ももちろんですけど、俳優業などの活動や、ほかの点でも、調べれば調べるほど奥が深い人だなと感じたんです。福山さんの活動に出会って「声とアコギだけで何かを伝えられるようになるにはいろんな人生経験が必要だ」みたいなことを考えるようになりましたし。それが高校1年生のときのことですね。

──佐香さんは曲も書かれますけど、それも福山さんの影響?

いえ。そこは逆で、曲を作ろうと思ったあとに知ったのが福山さんだったんです。思ったことをすぐに口にできる性格ではなかったので、中学校のときにずっと好きだった女の子への思いとか、そういう自分の内側にあるものをしゃべり言葉とは違う形で表現してみようと思って、詞を書いたんですけど、それができあがったら「せっかくだから曲もつけてみようかな」って気になって。どういう雰囲気で歌ったらいいのかとか、作曲の勉強になりそうなアーティストの方を探している過程で見つけたのが福山さんだったんです。

ニューシングル「ゲッタバンバン」2015年4月29日発売 / SME Records
初回生産限定盤 [CD+DVD] 1599円 / SECL-1684~5 / Amazon.co.jp
通常盤 [CD] 1300円 / SECL-1686 / Amazon.co.jp
期間生産限定アニメ盤 [CD+DVD] 1599円 / SECL-1687~8 / Amazon.co.jp
初回生産限定盤 / 通常盤CD収録曲
  1. ゲッタバンバン
  2. キラキラ
  3. everyday
  4. ゲッタバンバン ~Off Vocal~
初回生産限定盤DVD収録内容
  • クリスマスワンマンライブ「ジングルベルが鳴る頃に 2014」オフショットダイジェスト映像
  • 「ゲッタバンバン」Music Video
期間生産限定アニメ盤CD収録曲
  1. ゲッタバンバン
  2. ゲッタバンバン アニメsize ver.
  3. キラキラ
  4. ゲッタバンバン ~Off Vocal~
  5. キラキラ ~Off Vocal~
期間生産限定アニメ盤DVD収録内容
  • TVアニメ「ポケットモンスター XY」ノンクレジットオープニング映像2種
  • 「ゲッタバンバン」Music Video
佐香智久(サコウトモヒサ)

佐香智久

1991年北海道生まれのシンガーソングライター。中学時代に初めてアコースティックギターを手にし、高校入学後、作曲活動を開始。2009年に「少年T」名義で動画共有サイトにオリジナル楽曲の投稿をスタートするとそのジェントルな歌声に「癒やし声の神」などのコメントが集まり、これまでに自身の参加動画の総再生回数1000万オーバーという数字を叩き出す。2012年のシングル「愛言葉」でのメジャーデビュー後は、アニメ「君と僕。2」のオープニングテーマ「ずっと」、「絶園のテンペスト」エンディングテーマ「僕たちの歌」など話題作を続々と発表。また2013年夏には舞台「タンブリングvol.4」で役者デビューも果たしている。そして2015年4月、アニメ「ポケットモンスター XY」のオープニングテーマ「ゲッタバンバン」をリリースした。