音楽ナタリー PowerPush - 清 竜人25

夫が1人に妻6人 一夫多妻制アイドルそれぞれの思惑

清 竜人 インタビュー

ソロで活動している自分のことが思い出せない

──夫人たちからは思いのほか多くの不満が出てきて興味深かったです。

ぶちまけてましたか。

──不満もナチュラルに話すことが面白いというか、もっと発言すらも統制するようなコンセプチュアルなグループになるんじゃないかと当初は予想していたんですよ。しゃべることすべてに台本が用意されているような。当初の思惑通りの部分、計らずも変わってきた部分とあると思うのですが、どのぐらいまで思惑通りですか?

清 竜人

だいたいは想定内ですね。コンセプトに関してはやっぱり慎重に考えていて。一夫多妻というコンセプト自体にインパクトがあるから、最初のうちは特に丁寧に扱っていかないと、ポピュラリティがなくなるなと思ったので。それこそおっしゃられた通り、Twitterでも指定の発言しかさせないとか、そういう選択肢もあったと思うんですけど、そうやっちゃうとすぐに限界が来るし、大衆性がなくなっちゃうと思うんです。みんながフェイクとわかりながらも楽しめるようなバランスを慎重に考えて、ライブでのパフォーマンスなども含めて「どう転ぶかな」と何通りも構想して始動したので、今のところは思い描いていたものの想定内です。

──夫人を6人にしたのはなぜだったんですか? 初めから6人程度を想定していたのか、オーディションを経て合格としたのが6人だったのか。

オーディションを始めたときから6人と決めてました。最初は多ければ多いほうがいいと思ってたんですけど、いろいろ考えるうちに実際問題そうじゃないなと気付き始めて。結果的に落としどころとして6人が妥当なんじゃないかなって。

──それはビジュアルバランスとして、6人に自分を加えた7人編成が美しいと?

そうですね。

──清 竜人25としての1stシングルを出したあと、清さんが過去の活動に対して「ソロの頃は」と発言していたのがすごく気になったんですよ。清 竜人の活動として地続きなものではなく、これまでの活動とは完全に切り離されたものと考えているのかなと。

ははは(笑)。でもソロで最後に活動したのが一昨年の暮れで、まだ1年ちょっとしか経ってないと言えば経ってないんですけど……まったくソロで活動している自分のことが思い出せないぐらいなんですよ。今は本当に「清 竜人25の」ってモードになってますね。

“アイドルユニット”としてのスタンスとリアクション

──メンバー募集(参照:清竜人、アイドルユニット「清 竜人25」始動でメンバー募集)の段階で「アイドルユニットのメンバーを募集する」という触れ込みでしたけど、この“アイドル”という部分にどの程度まで踏み込もうと考えていたんですか? 完全に現行のアイドルシーンに踏み込んでいくのか、メタ的に“アイドル”の要素を入れていくのか。

ソロでやってきたキャリアもあるので、出演するイベントや露出をする媒体については、たぶん新しく結成したばかりのアイドルユニットは出られなかったり、“アイドルお断り”の場所に出ることも起こりうるなというのは考えていたので、それはそれで利用してアイドルファン以外の層にも認知してもらいたいとは考えてました。でもアイドルと銘打ってやるからには、今のアイドルブームの流れにものっとって、ソロでやってた時期には考えられなかったようなプロモーションやイベントにも絡んでいかないとやる意味はないと思っていたので。クロスオーバーする部分をうまく取り込めたらいいなと思ってましたね。

──アイドルファン、ドルヲタの雰囲気や流儀みたいなものは研究しましたか?

リサーチはまったくしてないですけど、こういうコンセプトでこんな曲を用意して、こういうふうに活動したら受け入れてもらえるかなという自信はありました。ただ意外だったのは、去年の9月にお披露目で自主イベントをやったとき(参照:清竜人と女性27人!DiverCityはハーレム状態)、観客のボルテージが……自分の中ではシングルを2、3枚出したあとアルバムを出したあたりでこのぐらいかな、と予想してたぐらいの熱量だったんですよ。最初からこのぐらいの盛り上がりというのは予想外で、ここまで受け入れてもらえるならもっと幅が広がるなと思って、もっと先にやるはずだったことを前倒しでやるようにはしましたね。

──あのライブの時点で今回の2ndシングル「A・B・Cじゃグッと来ない!!」まで披露してましたよね。今ライブのレパートリーに取り入れている楽曲は、グループとしてこういう音楽をやろうと事前に決め打ちで作っていたものなんですか?

今のレパートリーは全部始動前に準備していたものですね。プロジェクトが動き出してから、ライブを何本かやってみて「ああ、だったらこんな感じで反映させよう」という要素が入るとしたら今後出てくる新曲ですね。

──今回のシングルまではすべて、始動前に清さん自身が想定した「清 竜人がメンバーとして在籍するアイドルユニットの楽曲」だったと。

はい。一夫多妻制というスタイルで、自分の引き出しの中からこんな感じで5、6曲、バランスよく並べば魅力が伝わるんじゃないかなというものを総合的に考えて作ったのが、今あるレパートリーです。

男女混声&7人でのパフォーマンスを念頭に置いた曲作り

──作曲者の視点で考えたとき、自身のみが歌う男性ボーカル曲や、これまでに堀江由衣さんやでんぱ組.incに提供していたような女性ボーカルの曲と、清 竜人25の男女混声ボーカルは、キー設定などの面でも大きく違うと思うのですが。

清 竜人

ああ、そうですね。自分が一番きれいに出るところとほかのメンバーにとって一番いいキーが違う以上、うまく共存させないといけないから、必然的に普段作っているメロディとはちょっと変わってきます。

──アルバム「MUSIC」(2012年5月に発売された清 竜人の4thフルアルバム。参照:清 竜人「MUSIC」インタビュー)にも男女混声の楽曲がありましたが、清 竜人25では男女混声が前提の曲作りになると。

プラスアルファ、ステージ上のパフォーマンスも考えて作っているので、作り始めてから録音するまでの時間は今まで以上にかかってますね。

──「MUSIC」を作ったことは清 竜人25を始める上で大きかった?

大きかったかもしれないですね。何が一番大きかったかって、いろんなアレンジャーと一緒に仕事をしたことで。あのアルバムで一緒にやった人と今回もやっていたりしますし。

──「A・B・Cじゃグッと来ない!!」のアレンジはアニメソングなどで活躍しているTom-H@ckさんですが、1stシングルの2曲を手がけたダンス☆マン、今作のカップリング曲「鬼の目にもナ♡ミ♡ダ♡」を手がけた高橋諭一さんという名前の並びに、初期のモーニング娘。などハロー!プロジェクトの楽曲を連想するアイドルファンは多いと思うんですよ。それって意識しましたか?

もちろんハロプロを匂わせたいという狙いはないです。1stの2曲は特に、時代感を今のアイドルポップスとはズラしたくて。今のデジタルポップスみたいな音像だとちょっと面白くないだろうし食い付きも悪いと思ったんです。僕が思春期の頃に聴いた、あの頃のダンス☆マンさんや高橋さんのサウンドを25でやると面白いんじゃないかなと。2ndに関しては、ここで「ああ、そういうグループなのね」と定義付けされちゃうところが大きいと思ったので、音やバックボーンに一貫性を持たせようとしてるわけではないですよという意味を含めて、むしろ現代的なアイドルポップスやアニソンのような情報量の多い音像にしたくて、Tom-H@ckさんにお願いしました。

第1~6夫人 インタビュー
清 竜人 インタビュー
2ndシングル「A・B・Cじゃグッと来ない!!」 / 2015年2月18日発売 / 完全生産限定盤 / [CD+DVD] 1620円 / TOY'S FACTORY / TFCC-89532
2ndシングル「A・B・Cじゃグッと来ない!!」
CD収録曲
  1. A・B・Cじゃグッと来ない!!
  2. 鬼の目にもナ♡ミ♡ダ♡
  3. A・B・Cじゃグッと来ない!!(Instrumental)
  4. 鬼の目にもナ♡ミ♡ダ♡(Instrumental)
DVD収録内容
  • 「A・B・Cじゃグッと来ない!!」Music Video
  • 「A・B・Cじゃグッと来ない!!」Music Video dance shot ver.
  • 「A・B・Cじゃグッと来ない!!」Music Video メイキング映像
  • 「A・B・Cじゃグッと来ない!!」ライブ映像(清 竜人ハーレム♡フェスタ2014 Vol.2)
  • ハーレムクッキング大会

ナタリーストア 清 竜人25「夫婦の協同作業」企画グッズ

清 竜人25(キヨシリュウジントゥウェンティファイブ)

清 竜人25

ソロアーティストとして活動していた清 竜人が、2014年9月に立ち上げたアイドルユニット。プロデューサー兼メンバーの清 竜人に、その妻である清 咲乃、清 桃花、清 亜美、清 美咲、清 菜月、清 可恩を加えた7人からなる。2014年11月にデビューシングル「Will♡You♡Marry♡Me?」、2015年2月に2ndシングル「A・B・Cじゃグッと来ない!!」をリリース。2014年9月より自主企画ライブイベント「清 竜人ハーレム♡フェスタ2015」を継続的に行いながら、アイドルイベントを中心にさまざまなライブイベント、音楽フェスなどに参加している。