緑黄色社会|初のCDシングルに込めた、リスナーと自分へのエール

こんなに深いところまでいけるんだ!

──「Alright!!」の歌詞は、穴見さんと長屋さんの共作になっていますね。

長屋 最初に(穴見)真吾が書いてくれた歌詞に私が手を加える形で作ったんです。真吾の歌詞で一番フックになっていたのがサビの「Always gonna be alright!」だったので、そこを題材にして、2人で擦り合わせていって。緑黄色社会の歌詞は何かを始めようとする瞬間を描くことが多くて、例えば「始まりの歌」は、何かを始めるその瞬間に「大丈夫だよ」とその人の背中を押すようなイメージでした。でも「Alright!!」はそうではなくて、「何かを始めたくて仕方がない!」と浮かれてワクワクしているような、そんな視点で描いてみようと思ったんです。

穴見 僕自身はネガティブな言葉を入れたくて、最初はBメロで落ち込む描写を入れたりもしたんですけど、やっぱりこの曲は終始、天真爛漫でいいんじゃないかということになったんだよね。

長屋 そう。peppeの作る曲のビート感もあるし、やっぱりこの曲は一貫してウキウキしていていいんじゃないかって。

──結果として、この曲もまた緑黄色社会としては新鮮なくらいのポジティビティが発揮された曲ですが、穴見さんは5月にリリースされた「幸せ -EP-」の収録曲「ひとりごと」に続いて作詞をされてみていかがでしたか?

穴見 歌詞のインスピレーションって、「言葉の響きとメロが合わさったときに、どうなるんだろう?」ということを起点に湧いてくることが多いんだなと思いました。今回の歌詞も「Always gonna be alright!」という言葉と音のハマりがすごくよかったから、そこを膨らませてほかの部分を書いていこうということになったんです。そういう意味では、長屋とは歌詞の書き方が全然違うと思います。

長屋 確かに。例えば真吾が通ってきた韻を踏むような音楽を、私は通ってきていないんですよね。その分「この言葉とこの言葉が合わさったら面白いんじゃないか」みたいな、普段はしない言葉の合わせ方や、「この言葉面白いな」という直感を大事にしていて。なので、シンプルな言葉を別角度から投げることを大事にして作詞をしている気がします。

緑黄色社会
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──「sabotage」という言葉のチョイスもそうですよね。あと今回、初回限定盤には「Alice」と「またね」のライブ音源が収録されますが、ライブに対する向き合い方に関して、バンドを始めた頃と今とで変化はありますか?

長屋 技術的にできることも増えたし、だいぶ変わってきたなと思います。きっと4人がそれぞれ感じることややりたいことは違うと思うし、“お客さんを楽しませる”という大きなテーマがあったとしても、どう楽しませるのかはそれぞれ違うことを考えていると思うんですよね。私自身は根が明るいタイプではないし、盛り上げ役に徹することができないし、だから私にできることは歌を届けることだけだとより強く思うようになりました。なので「前を向いて、ひたすら歌うぞ」という気持ちでいるんですけど……みんなはどう?

穴見 うん、一緒だと思うよ。僕が意識しているのも、ベースにどれだけ自分をぶつけることができるかということだから。そのうえで、お客さんがノリノリになってくれたらうれしいし、パフォーマンスがちゃんとエンタメであればいいなと思うし。

──小林さんはどうですか?

小林 お客さんとのコミュニケーションの取り方に関しては、かなり意識が変わりました。僕らのライブに毎回来てくれる人もいれば、誰かに誘われて初めて来たという人もいる。そういうふうに本当にいろんな人が来てくれている中で、その人たちみんなに平等に音楽を伝えなければと思うと、1人ひとりの目を見て演奏しないと伝わらないんじゃないかと。もちろん、会場が広くなればなるほどそれは難しくなるかもしれないんですけど、でもちゃんとお客さんとアイコンタクトを取っていくと、そのとき自分がやらなきゃいけないことがわかる。そういうふうにライブに向き合うようになっていますね。

peppe 私は、最近ライブがどんどん楽しくなってきています。私たちの曲はハイテンポなものからバラードまで本当にいろいろなカラーがあるから、曲ごとに感情を変えられるような感覚があって。ライブ中に楽しいだけじゃない、演奏している自分でも「こんなに深いところまでいけるんだ!」と感情を発見することもあって、すごく楽しいんです。

長屋 バンドに作曲者が4人もいて、歌詞にもそれぞれの気持ちの波がある。一貫した何かを発信しているバンドじゃないからこそ、お客さんにはどこかの部分に染まってもらえるんじゃないかなと思いますね。

G線上のリョクシャカ

──4人それぞれの考えや感情について伺ってみての質問なんですが、緑黄色社会はバンド内でぶつかり合うことはあったりするのでしょうか? それこそ「G線上のあなたと私」では、登場人物の境遇や感情がそれぞれ多様であるがゆえにぶつかり合いが起こるじゃないですか。

長屋 何かしらはあると思うんですけど……でも、それによって仲が悪くなるようなぶつかり方ではないですね。

穴見 そうだね。例えば、緑黄色社会というメーカーのギターがあったとしたら、「そのギターが一番生きるフレーズをみんなで考えよう」という感じの曲の作り方をしているんですよね。だから各々が「俺はこういうことをやりたい!」と主張し合うようなスタンスではないんです。言ってしまえば、僕ら4人は「緑黄色社会としてできる最強なことはなんだろう?」ということを考える研究会のようなものなんです。

長屋 研究会だったんだ、私たち(笑)。

小林 真吾の表現に乗っかるなら、同じ指板の上で4人が意見を出し合っているということですね。“G線上のリョクシャカ”ということです。

長屋 ……今の話、伝わりますか?(笑)。4人それぞれバラバラだし、たまにぶつかることもあるけど、見ている方向は一緒ということです(笑)。

ライブ情報

緑黄色社会ライブツアー「リョクシャ化計画」
  • 2019年11月8日(金)宮城県 仙台Rensa
  • 2019年11月9日(土)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
  • 2019年11月15日(金)香川県 高松MONSTER
  • 2019年11月17日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2019年11月22日(金)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2019年11月24日(日)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2019年11月30日(土)愛知県 名古屋市公会堂 大ホール
  • 2019年12月6日(金)大阪府 NHK大阪ホール
  • 2019年12月8日(日)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
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