ロイ-RöE-|“血まみれ”ドラマOPテーマで示した鋭い美意識

ちゃんと争い合いたい

──今回は作曲とアレンジでFace 2 fAKEと組んでいますね。ピアノなどのきれいな音色と歪ませたドラムのコントラストが印象的です。

自分が作ったアレンジはきれいだったんです。で、Face 2 fAKEのは歪んだ感じ。それをミックスさせて、ちょうどよく不気味な感じになりましたね。何回も何回もやりとりして、スタジオ入ったりもして、「しつこい女」って思われとるかもしれんけど(笑)、楽しかったです。ちゃんと話を聞いてくれるし、向こうも意見を出してくれるし。最初はもっと打ち込みっぽかったんですけど、ドラマのイメージと少し違ったので、また直して。それぞれ違うことを考えていたのを調整した結果で、みんなの考えが同じやったら、こうはならんかったなと思って。ちゃんと争い合いたいんですよ。そこには妥協もあって、勝者がおって敗者がおって、争って初めていいものができあがるんやろうなと思うから。

──冒頭に入っているSEがちょっと警察無線っぽくて効果的ですね。

あれはデモ段階で「いきなり始まるのもアレやし、何か入れとこう」と思ってとりあえず入れてたんです。何回も聴くうちに、ないと不自然に感じるようになってきちゃって。アレンジは狙ってないことが多いですね。「これ入れてみたらどうなるんやろ? お、ええやん」みたいな。やけ、一番時間かかります。理論がわからないから、いちいち試しながらやし。

──歌もちょっと「ウカ*」の3曲とは違うなと思いました。

メロディよりも言葉先行で、サウンドロゴっぽいですよね。歌は自分が火の鳥になった気持ちで歌いました。私、制作中には絶対なんかしら息抜きが必要で、今回はちょうど手塚治虫の「火の鳥」にハマってて。歌詞も火の鳥っぽくないですか?

──「火傷しそうなそんな感じ」とかね(笑)。

そうそう。「火の鳥」ってあんなに重たい話やのに、みんな目がクリッとしてかわいいのが狂気やなーと思います(笑)。自分がやったアレンジがきれいな感じだったのも「火の鳥」の影響なんです。Face 2 fAKEが「ストロベリーナイト・サーガ」に寄せてくれて、調和がとれました。これを聴いたら「ストロベリーナイト・サーガ」を思い出し、「ストロベリーナイト・サーガ」って聞いたら「VIOLATION*」を思い出すくらいになってほしいですね。第1話を試写会で観たときはめっちゃ緊張しました。平常心で観れなくて、ドラマに合っとるか合っとらんかも全然わからん感じで。本放送のときに家でやっと落ち着いて見れて、あぁよかったって思いました。

──ドラマのオープニングにめちゃくちゃハマっている感じですね。

血みどろですよね。自分でも合ってるなって思います。そういう表現なのに、二階堂ふみさんが笑うんですよ、一瞬。そこでキュッとなる。飴と鞭みたいな感じで、ドラマにも合うし、自分にもマッチしてるなって思って。お話をもらったときはめっちゃうれしかったんですよ。絶対譲りたくないし、自分しかできんと思ったし。

ロイ-RöE-

縛られとったほうが自由を感じる

──前にお話を伺ったとき(参照:ロイ-RöE-「ウカ*」インタビュー)、タイアップがあったほうが曲が作りやすいと言っていましたよね。ロイ-RöE-さんはテーマや縛りがあったほうが燃えるタイプなんですか?

これは「ストロベリーナイト・サーガ」がなかったら作れなかった曲だから。自分の中から出すなんていつでもできるし、何個でも作れるじゃないですか。でも、だからこそ作れないんですよ。意外性がないから、全然面白くない。「こういうテーマで作ってみたら」とか言われたほうが、その中で自由になれる気がする。完全に自由よりも、ちょっと縛られとったほうが自由を感じるみたいな。どこに行ってもいいってなったら逆にがんじがらめになる。行きたいとこありすぎて。制限があったほうがやりやすいです。

──「何をしてもいい」と言われると、かえって何もできないものですよね。

何もできん。学校もそうじゃないですか。校則があるから破りたくなる(笑)。なかったらわざわざスカート短くせんかもしれんし。うるさく言われるからやりたくなるんですよね。学生のときはそうやって大人に歯向かうのが楽しかったけど、大人になったら自由だから、どうしていいかわからんくなる。反抗するのが面白いんですよね。

──歌詞が抽象的なのも、そういうところに通じるんですかね。

あんまり自分としては抽象的に書きよるつもりはないんですよ。頭の中にはくっきりと映像があるから。でも言葉がいい意味でヘタなんで(笑)。本を読んで鍛えた結果こうなって、自分としてはちゃんと言ってるつもりなんですけど、周りからしたら「これ、なんて言いよるん?」みたいなことがあるらしくて、抽象的って言われたら納得はします。たぶん性格的に、そのまま素直には書き切らんだけやろなって思います。だけん「もっとわかりやすくしてよ」って言われたら、いつもわからんくなって筆が止まっちゃう。「これが一番わかりやすいのに……」って(笑)。