デビュー10周年
──4つ目のトピックは「10周年」です。デビュー10年目の2010年にはベストアルバムを2種類出しました。10年目を迎えたときは、どんな気持ちでしたか?
PES その前に「熱帯夜」「太陽とビキニ」と夏曲が続いて。そういう2000年代のRIP SLYMEの感じが1回落ち着いた時期だと思います。「MASTERPIECE」ツアーとか「FUNFAIR」ツアーでバンドとのツアーも数回経ていたし、ここからどうやっていこうか?って話してる感じ。
──2010年はオリジナルアルバムも出していないし、ツアーもやっていないんですよね。ライブは年末のクリスマスライブだけ。
PES ちょっと落ち着きたいなと僕は思っていたんですよね。2011年に向けて新しい感じを模索していて、FUMIYAくんも音楽的な方向に舵を切って、「STAIRS」とかで曲調を変えてきたりしてたんですよ。で、「STAR」を2011年3月に発表したんだけど、直後に東日本大震災があって、「STAR」ツアーは半分くらいしかできなくて。震災で自粛ムードもあったし、その頃はちょっと音楽をやりようがなくない?って感じがありました。
SU そもそもスタッフも含めて、5周年とか10周年っていうのは何もやらないスタイルだった気がします。そういうことをいちいち言わないという。
ILMARI それまでにけっこうやり切った感があったかもしれないですね。
PES というか、やりようがなかった。
ILMARI やり切ったと言っても爽快感とかじゃなくて、もう出し尽くしたというか。1回いろいろやったなという気分になってた気がします。
再集結
──最後、5つ目のトピックは「再集結」です。再集結1発目の「どON」をリリースして約3カ月経ちますが、グループ内のテンションは今どんな感じですか?
RYO-Z ライブは「JAPAN JAM 2025」から始まったんですが、そのときはちょっと硬いかなっていう感じだったんです。でも、回を追う毎に少しずつなじんでいってる実感はありますね。
SU こないだの「Mステ」出演を境に、いろんなものを思い出した感じがします。チームワークとか役割とか「Mステ」に出て一気に思い出しました。
──今のSUさんの役割は? ライブ番長に復活ですか?
SU いやいや、ライブ番長はおこがましいですけど。「Mステ」のときに変わらぬ空気感っていうのが存在してたって感じですかね。みんな大人になってるけど。
──今回の再集結で以前と変わったところ、変わってないところは?
PES スタッフとか環境は変わったけど、歳を取って落ち着いただけで、根本は変わってないと思いますね。FUMIYAくんがビートを作って、みんなでパパパッとリリックを書いていくからやってることも変わってないし。あと、まだワンマンにたどり着いてないのでわからないですね。再集結後はフェスで最大50分くらいしかやってないから、お祭りの一助にしかなってないというか。自分たちだけを観に来てくれる人たちと対峙してないからまだわからないところはありますけど、変わってないなっていうほうが強いです。
──FUMIYAさんはベストアルバムに収録した新曲4曲で、どんなRIP SLYMEを打ち出せたと思っていますか?
FUMIYA 5人のうち3人が50代になったので、50代のおじさんのパーティですね(笑)。50代になったRIP SLYMEが詰まってると思います。
──これまでの楽曲と今回の新曲たちで最大の違いは?
FUMIYA ベースです。すごくピンポイントですけど、ベースの音がデカい。昔の曲と比べると圧倒的に低音域の音が出ていて、重心がすごく下にある。例えばトラップに見られる低音域の出し方の感じとか、そういう部分はちゃんと採り入れたので。
──ということは、10月からの「DFM」ツアーでは、これまで以上に迫力のあるサウンドが聴けそうです。
FUMIYA 確かに、そうなりますよね。だから、あまり低音の差が出ないように曲順を考えないといけないなと思ってます。盛り上がってるのになんか体に響かないなあとかならないように。そこも気を付けながらツアーのセットリストを考えます。
──メジャーデビューから25年続けてきたわけですが、今後RIP SLYMEで挑戦してみたいことは?
RYO-Z 来年3月以降のことは何も決めてないからなんとも言えないですけど、3月までの間に「今回はこうでした。ありがとうございました」ってしっかり言えるようにしないとなって。ILMARIが再集結に向けて声をかけてくれたときに話してくれた、5人のRIP SLYMEにちゃんと句点(。)を付けたいという思いに応えられるようにしたいですね。
ILMARI うん。マルはちゃんと付けないと。
──RIP SLYMEでまだやってないなと思うことはありますか?
ILMARI ドームはやってないんですよね。東京ドームはもちろんですけど、地方も含めてドームという場所でやってない。だからどっかドームには立ちたいですよね(笑)。
SU PESは若手を育成してるじゃないですか。プロデュースというか。
ILMARI え? 俺もそういうことがしたいと?
SU スポーツだと現役引退後、コーチとかになるパターンがあるじゃないですか。そういうのをRIP SLYMEで何かやれたらいいなと思いますね。
FUMIYA 一番やらないでしょ、そういうのは(笑)。
RYO-Z 正直、O.T.F(オシャレトラックファクトリー / RYO-ZとDJ FUMIYAによるプロデュースチーム)は最初、SUくんがメンバーにいましたからね。でも、書くリリックがめちゃくちゃだったから、やめてくれって言ったんです。だって中高生に歌わせる歌詞じゃないんだから(笑)。「全然ダメ。もうSUくん、いいです」って。
ILMARI あとは、海外進出っていうのもありますね。
──海外ライブは何度かやってますよね。2002年の「ASIAN CLASSIC TOUR」では香港、上海、台北。あと、北極圏の“ラップランドでラップしよう”ということで2002年はILMARIさんの故郷フィンランドでも2カ所でライブをやりました。
ILMARI それはやってるけど、フィンランドに進出してもしょうがないじゃないですか。
FUMIYA しょうがないってことはないよ(笑)。
──TERIYAKI BOYZも海外でバズったし、HALCALIも海外でバズってるのにRIP SLYMEの海外バズりがないじゃないかと。
ILMARI そうですよ。ロンドンあたりからバズったとか、そういう話を聞いてみたいです。
RYO-Z だったらそこはインドでしょ。世界一の人口だから。14億!
ILMARI ボリウッドで使いたいとか言われたいよね。
RYO-Z たまんないよ。「Wacha Wacha」をぜひ!とか言われたら。
ILMARI 「Wacha Wacha」合うじゃん。インド語バージョン作ればいいんだ。
──映画「RRR」で注目されたナートゥダンスみたいなビートのリミックスとか。
FUMIYA それ、いいですね!
PES 「Wacha Wacha」は中東系も合うかもね。
ILMARI それを来年3月までにナントカね。じゃあ、ワーナーさん、インドに宣伝よろしくお願いしまーす!(笑)
PESが選ぶ“笑える曲”
「ING」
“なんとかING“って言ってるだけっていう(笑)。
FUMIYAが選ぶ“とにかく盛り上がる曲”
「Good Times」
「JUMP with chay」もそうだけど、ライブの反応がわかりやすい。
SUが選ぶ“泣ける曲”
「Tales」
すべてはつながり、ご縁でできている。
ILMARIが選ぶ“スキルフルな曲”
「Super Shooter」
BPMがどんどん変わっていくところに、なんとか乗っかれてるかなと思う。
RYO-Zが選ぶ“ベストに入れたかった曲”
「HOTTER THAN JULY」
取材中に入ってないって気付いた(笑)。この曲が出たときにアワードがあって3冠取ったんですよ。授賞式でPESくんが3回髪型を変えたりしつつ、最後にこの曲を披露したんだけど、自分は前の日に浦和のクラブでフリースタイルでボロボロになって、プレゼンターのZeebraさんも冷たいみたいな感じだったんですよ。にもかかわらず、やるしかねえってこの曲をやったときの気持ちよさ。「誰もついてこれねえだろ」みたいな気持ちでやってたっていうのを思い出す。でも、ベストには入ってないんです。
公演情報
RIP SLYME TOUR 2025 DANCE FLOOR MASSIVE FINAL
- 2025年10月3日(金)神奈川県 KT Zepp Yokohama
- 2025年10月4日(土)神奈川県 KT Zepp Yokohama
- 2025年10月10日(金)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2025年10月11日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2025年10月17日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2025年10月18日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2025年10月23日(木)愛知県 Zepp Nagoya
- 2025年10月24日(金)愛知県 Zepp Nagoya
- 2025年11月3日(月・祝)宮城県 SENDAI GIGS
- 2025年11月9日(日)北海道 Zepp Sapporo
- 2025年11月14日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
- 2025年11月15日(土)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
プロフィール
RIP SLYME(リップスライム)
1994年に結成されたヒップホップユニット。1998年よりRYO-Z、ILMARI、PES、SU、FUMIYAによる4MC&1DJの形態となり、2001年3月にシングル「STEPPER'S DELIGHT」でメジャーデビュー。その後2ndアルバム「TOKYO CLASSIC」がミリオンヒットを記録する。さらに国内のヒップホップユニットとして初めての日本武道館ワンマンライブを行い、日本にヒップホップ文化を広く浸透させた。2018年10月に活動を休止し、2022年4月からはRYO-Z、ILMARI、FUMIYAの3人体制で活動を再開。2025年4月、メジャーデビュー25周年記念日となる2026年3月22日までの約1年間限定で再びPES、SUを加えた5人体制で活動することを発表した。
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