音楽ナタリー Power Push - YALLA FAMILY × PES(RIP SLYME)
飲み友達から始まった2組が届けるアンセム
YALLA FAMILYが約2年ぶりとなる新作アルバム「FEEL」を完成させた。
タイトル通り“感じる”をテーマに作られた今作は、お得意のパーティチューンはもちろん、メンバーのソロ曲も収められた意欲作だ。そしてアルバムにはRIP SLYMEのPESをフィーチャリングゲストに迎えた「胸騒ぎアンセム feat. PES」を収録。2組のコラボは、2011年にPESがリリースした1stソロシングル「女神のKISS」のカップリング曲「この夜は終わらない」以来、2度目となる。
今回音楽ナタリーでは、本作の発売を記念してYALLA FAMILYとPESの対談をセッティング。2組の出会いや「胸騒ぎアンセム」の制作経緯などをたっぷり語り合ってもらった。
取材・文 / 猪又孝 撮影 / 小原啓樹
日常生活では不器用だけど音楽的には器用なYALLA FAMILY
──まずは2組の出会いから教えてください。
PES 最初は赤坂じゃない? 「となり」っていう居酒屋が赤坂にあって。
Haku the Anubiz(MC) そうそう。ウチの事務所の社長とPESくんが仲よくて。それで紹介してもらおうっていうことで飲んだのが最初。
PES その場には人がたくさんいて、みんな酔っ払ってたから、「LAでやってたグループが戻ってきて一緒にやってるんだよ」って紹介されたけど「うえーい」って感じでちゃんと話はしなかったよね(笑)。しばらくは音楽友達っていうよりは飲み友達っていう感じだったんです。
Haku それが2011年の話ですね。
DJ I.O(DJ) そのあとDragon AshのATSUSHIくんが主催したイベント(「DUALISM Presents THE FESTA」)でPESくんに俺らのライブを観てもらって。そこでやっと飲み仲間じゃなくアーティストとして認知されたんです(笑)。
──PESさんは最初にYALLA FAMILYのライブを観たとき、どんな印象を持ちましたか?
PES すっごくいいなと思いました。YALLAって、いわゆる“本場感”みたいなものはそんなに気にしてないと思うんです。「俺ら、LAから帰ってきたぜ!」みたいなのはなくて、日本で売れようっていう気持ちが強い。そういうところが俺は好きでした。
──その後、PESさんは「この夜は終わらない」に、まだデビュー前のYALLA FAMILYを迎えますよね。それはどんな思いからだったんですか?
PES ラップを歌ってもらったら、僕が楽だなって。……嘘です(笑)。
50caliber(MC) いや本心だよ、それ(笑)。
PES とりあえずみんなにYALLAのことを知ってもらいたかったんです。あと日常生活では不器用なところがあるけど(笑)、音楽的には器用だなと思っていたんで、僕が望むものをちゃんとやってくれそうだなと思って。
PESが感じるYALLA FAMILYの魅力
──PESさんが感じるYALLA FAMILYの魅力をもう少し詳しく教えてください。
PES 歌もできて、ラップもできて、ポップなこともできて、ゴリッとしたこともできる。音楽的になんでもやってる人たちだし、ライブでは「どーもー」みたいな感じもありつつ、「お前ら付いてこい!」みたいな感じもあるから、いろんな層に届くグループだと思うんです。そういう振り幅はたぶんRIP SLYMEよりあると思います。
I.O えーっ! マジすか? うれしいなぁ。
PES その振り幅があれば絶対日本で受けるはずだし、4人は国籍も異なるし、いろんなものを見てきた人たちだから、本当に聴き手を選ばないと思うんです。
50 HakuとWEZはモテるしね。
PES うん。そういうセックスアピールも大事。
──WEZさんは醸し出す雰囲気に独特の色気がありますよね。特にミュージックビデオを観るとそう思います。
WEZ(MC) ありがとうございます。
50 モデルをやってるから写り方がうまいんですよね。
PES WEZがソロでやってる音楽も、すごくポップだと思うんですよ。わかりやすいし、キャッチーだし。だからどこかで彼らに引っかかったら、みんなYALLA FAMILYを聴くだろうなと常々思ってます。
“僕たちが何を感じてるか”を込めた「FEEL」
──ニューアルバム「FEEL」は前作から2年ぶりの作品となります。CDデビューした2014年には年に2枚のアルバムを出すほどハイペースだったのに、今回2年というインターバルが空いたのはどうしてなんですか?
50 この2年は“曲貯金”をしていたんです。ボツにした曲を入れると30、40曲作りました。そうやって、作った中からいいものを選ぶという作り方にしたんです。
──じゃあ2年のインターバルはプラン通りだと。
50 そう。ウチら全員、瞬発力はすごいんですよ。だけど、練って作ることも大事だなと思ったので、今回はじっくり選曲するという形で作りました。
──そうやって曲を溜めていきながら、どんなアルバムを目指したんですか?
Haku 1stアルバムのタイトルは「BEGINNING」で僕たちの始まり、2ndアルバムは「DREAMER」で僕たちが目指してるものを歌ったんです。だから、次は「FEEL」で僕たちが何を感じてるかっていうことを表そうと。だから全部が全部パーティチューンなわけじゃなくて。いろんな曲が入っています。
50 俺らの感じたことが、いろんな角度から入ってる。
Haku 例えば「かぞくの唄 ~Family Anthem~」は自分らにとって何が一番大切かっていうことを真面目に歌った曲なんですけど、一方「どうする? ~in the greed city~」は“クラブに行ってかわいい女の子がいたらこういう気分になるよね”っていうことを歌ったクソチャラい内容で。けどどっちもリアルなんですよね。どっちも実際に「感じる」ことだから。
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収録曲
- Intro ~日の出~
- FEEL
- かぞくの唄 ~Family Anthem~
- PISCO
- Want Me?
- 胸騒ぎアンセム feat. PES(RIP SLYME)
- 今日はどこのParty?(Haku the Anubiz)
- どうする? ~in the greed city~
- Summertime(WEZ)
- Chill Out
- YELLOW ~つぼみたちの応援歌~ feat. JiLL
- Y.O.U ~you're one of us~
- The Only One(50caliber)
- 夕焼け
- Outro ~帰り道~
[Bonus Track] FEEL(English Version)
- RIP SLYME ライブBlu-ray / DVD「RIP SLYME Tour of Ten FINAL at BUDOKAN」/ 2016年7月13日発売 / Warner Music Japan
- 「RIP SLYME Tour of Ten FINAL at BUDOKAN」
- Blu-ray / 6264円 / WPXL-90128
- DVD / 5184円 / WPBL-90392~3
収録内容
Tour of Ten(@日本武道館 2016.01.10)
- Powers of Ten
- JUMP with chay
- POPCORN NANCY
- 楽園ベイベー(DJ Fumiya Remix)
- SCAR
- KINGDOM
- メトロポリス
- だいたいQuantize
- Rock it!
- TOKYO STOMP
- STEPPER'S DELIGHT
- AH! YEAH!
- 気持ちいい for Men
- 黄昏サラウンド
- One
- 青空
- いつまでも
- Happy Hour
- ピース
- SLY
- Vibeman feat. 在日ファンク
- JOINT
- 時のひとひら
<アンコール>
- Super Shooter
- 熱帯夜
- この道を行こう
FESTIVAL LIVE FILMS
- 「運命共同体」from ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2001(08.05)
- 「GALAXY」from FM802 MEET THE WORLD BEAT 2004(07.22)
- 「雑念エンタテインメント~Hot chocolate~BLUE BE-BOP~SPEED KING」from COUNTDOWN JAPAN 08/09(12.31)
- 「ジャングルフィーバー」from 京都音楽博覧会 2013(09.22)
ORIGINAL SHORT MOVIE
- SHOCK THE RADIO(TV)
MUSIC VIDEOS
- この道を行こう
- ピース
- POPCORN NANCY
- JUMP with chay
- Special Mix Movie of Making 3 Music Videos
Tour Of Tenオーディオコメンタリー
YALLA FAMILY(ヤラファミリー)
50caliber(MC)、Haku the Anubiz(MC)、WEZ(MC)、DJ I.O(DJ)からなる、音楽とファッションを融合させたエンタテインメントグループ。アメリカ・ロサンゼルスで同じ音楽性、似ている感性、異なる個性を持った4人が出会い、2007年にグループを結成した。結成と同時に共同生活を始め、トーランス、ハリウッド、ダウンタウンを拠点に音楽活動を行う。2008年にはA.I.のLA凱旋公演のオープニングアクトに抜擢されたほか、アメリカのプロデューサー・フィンガズのコンピレーションアルバム「NEXUS」のメインアーティストに起用された。その後、個々の可能性を高めるためソロ活動に徹し、2011年1月に日本で活動を再開させる。東京・DIX AZABUを本拠地とし、レギュラーイベント「YALLA PARTY」をオーガナイズしながら、日本各地でライブ活動を展開。2014年1月に1stフルアルバム「BEGINNING」を、同年11月に2ndアルバム「DREAMER」を発表した。2016年8月に3rdアルバム「FEEL」をリリースした。
RIP SLYME(リップスライム)
RYO-Z、ILMARI、PES、SU、DJ FUMIYAからなる4MC&1DJヒップホップユニット。1994年に結成され、2001年3月にシングル「STEPPER'S DELIGHT」でメジャーデビュー。その後2ndアルバム「TOKYO CLASSIC」がミリオンヒットを記録する。さらに国内のヒップホップユニットとして初めての日本武道館ワンマンライブを行い、日本にヒップホップ文化を広く浸透させた。2010年には、メジャーデビュー10年目を記念しベストアルバム「GOOD TIMES」とカップリングベストアルバム「BAD TIMES」を発表。2015年9月には通算10枚目のオリジナルアルバム「10」をリリースした。2016年3月には映画「珍遊記」のオープニングテーマとエンディングテーマを収録したシングル「Take It Easy」をリリースするなど、絶えず精力的に活動している。