音楽ナタリー Power Push - RIP SLYME

映画「珍遊記」に“気まま”に寄り添う書き下ろし曲

RIP SLYMEの味=4人の声の重なり

──“RIP SLYMEの味”というのは、PESさんかFUMIYAさんが曲を作れば自然と出るものですか?

PES いや、ラップしてればRIP SLYMEっぽくなるんじゃない?

SU 全員の声が乗っかれば。

──半年前、FUMIYAさんもソロインタビュー(参照:RIP SLYME「10」インタビュー)で「4人の声を合わせるとしっくりくる」「ユニゾンで聴くとちょうどいい」とおっしゃってました。

RYO-Z

RYO-Z 確かに。「GOLDEN TIME」を書いたときに(※RYO-Zが単独で作詞を担当)、ユニゾンパートのデモを仮で僕が入れて、そこにみんなが声を乗せていったんですけど、すごくしっくりハマる感覚がありましたね。同時期にアスタラビスタのレコーディングもやってて、アスタラビスタもユニゾンがあるんだけど、しっくりとはちょっと違うんですよね。それはそれでいいものだけど、自分のしっくり感はリップの声の重なりなのかなって。

──そのリップのユニゾンのしっくり感って、得意な音域がうまいことかぶらずバラけているのも要因の1つですよね。

RYO-Z そうですね。そうそう。

──例えばPESさんはその一番上のところを意識して担ってるんでしょうか。

PES FUMIYAの曲だと「PESくん高いとこ」って言われること多いですね。自分の曲のときは低いキーを入れたりしますけど。

RYO-Z 20年でキーも変わってきてるしね。「SURE SHOT」(MELLOW YELLOW feat. RIP Slyme / ※RIP SLYMEの初音源)とか聴くと高いなと思う。最近サブスクリプションサービスでヒップホップ聴いてるとさ、普通にMELLOW YELLOWとか俺らのインディーズアルバムが候補に出てくるの。ほら(スマホで再生)。ILMARIもすごい声高い(笑)。

SU ヒャヒャヒャ!(笑)

PES 配信差し押さえたほうがいいよ。マイナスプロモーションだよ……。

──昔の自分たちの曲、そんなにイヤですか?

RYO-Z イヤですよ!!

SU

──未熟だから?

RYO-Z そう。メジャーデビュー以降のものは平気かなと思ったらそうでもないんだよね。「FIVE」とかも今聴くとウワーッて思う。

SU でも、ほかのアーティストだとやっぱ1stアルバムが好きだなとかあるよね。衝動が伝わるとかさ。

PES 自分たちがイヤなだけで人にとってはいいのかもしれないね。

PES曲、FUMIYA曲それぞれの特徴

──PESさんが今回の2曲を作っていた頃、FUMIYAさんが制作していたのはFC東京のドキュメンタリー映画「BAILE TOKYO」の主題歌「Baile TOKYO」だそうですね(参照:RIP SLYME、FC東京ドキュメンタリー映画に書き下ろし主題歌提供)。こちらはみんなでシンガロングできそうなカーニバル調の曲で。

PES サッカー場で観客の人たちが歌うチャントみたいな感じになるといいねということで、“ちゃんと”作りました。

RYO-Z ふふふふ……(笑)。

──メンバーの皆さんはFUMIYAさんの曲の特徴ってなんだと思いますか?

RYO-Z ドラムじゃないですかね。

PES

PES 今は違う機材で作ってんのに、初期の頃使ってたMPCでやってる感じで作るとこかな。4小節ずつとか8小節ずつブロックで分けて、それをつなげて作ってるような。だから流れをぶった切るっていうか、8小節ずつドカッ、ドカッって変わってく。それはすごいFUMIYAっぽいなって思う。「Baile TOKYO」も、ラップから入るんですけど、ラップ終わったらいきなりブレイクになるんですよ。そんな曲ないでしょ?

RYO-Z あははは(笑)。せっかく勢い付けたのに! こっちはノリノリなのに!

SU なんで止めるのっていう(笑)。

PES そういうとこすっごいFUMIYAっぽいよね。

RYO-Z あとメロディもね。「Baile TOKYO」は「ラーララー」っていうメロディの抑揚感がすごくFUMIYAっぽいなあって思う。みんなで歌おうっていう用途の曲なのにすげえ複雑に作ってくるなーって(笑)。

PES きっとSっ気が出てるんだよ。特徴はSってことかもしれない。

RYO-Z 「このトラックでラップできるもんならしてみろ」っていう感じあるね、確かに。

──一方、PESさんの曲の特徴は?

SU 全体的に言うと柔らかい。丸い。

RYO-Z おっぱい?

SU おっぱい好きが出ちゃってる。

PES (笑)。

RYO-Z あと、ギターで作るからちゃんとコード感がある。FUMIYAはどっちかっていうとループで作ってるのが多い。そこは如実に分かれてるね。PESくんは展開から考えて作ってる感じがするけど、FUMIYAはドラムブレイクから連想していく感じ。ヒップホップの人って感じだよね。

PES FUMIYAの作り方をマネしようとしてるんだけど、できないんだよね。ドラムから作っても、ギターとか上モノ入れたときに弾き方が合ってないからって言ってドラムをギターに合わせて直すと、結局メインがギター寄りになる。難しいんだよね。

2016年はライブで行動的に

──最近のRIP SLYMEのチーム全体のムードはいかがですか?

左からPES、SU、RYO-Z。

PES どうですかねえー。ツアー終わってからダラダラダラダラしてるんで……。

──相変わらず5人で飲みに行ったりは?

RYO-Z 最近集まってないねえ。

PES FUMIYAに「最近何してんの?」って聞いたら「毎日散歩してる」って言ってたな。「ちょっとずつ距離が伸びていく」って。あははは(笑)。

SU どこ伸ばそうとしてんだよ(笑)。

PES 5人のグループLINEでも「衣装どうする?」とか話してるけど、マメに返してくれるのRYO-Zくんだけだからね。

SU ILMARIって全然返さないね!

PES SUさんもちょこっと返すけど、返答の文がマジ変なんだよなあ。

SU でも、そのうちまたガーッて会いますからね。

──お、2016年のRIP SLYMEはどうなりそうですか?

左からPES、SU、RYO-Z。

RYO-Z ライブ中心でいくと思いますよ。そのライブの中で新しい曲を試すこともあると思う。春フェス、夏フェスと出て、俺たちのツアーも展開していければいいなと思ってますから。基本はライブで非常に行動的に。

──この1月までツアーをやっていたのにすごいですね。

PES その前は2年ぐらい制作してましたからね。ずっと企画書練ってるだけじゃ精神的にキツイから、具体的に動くって大事だよね。

ニューシングル「Take It Easy」 / 2016年3月2日発売 / unBORDE
完全生産限定盤 [CD+グッズ] / 1800円 / WPCL-12346
通常盤 [CD] / 1000円 / WPCL-12347
CD収録曲
  1. Take It Easy
  2. Drop!
完全生産限定盤

「デザイナーズ ミニうんちタオル」付き

通常盤初回プレス分

「お目目うんちステッカー」付き

配信限定シングル「Baile TOKYO」配信中 ※映画「BAILE TOKYO」主題歌&FC東京公認2016年応援ソング
配信限定シングル「Baile TOKYO」
RIP SLYME(リップスライム)
RIP SLYME

RYO-Z、ILMARI、PES、SU、DJ FUMIYAからなる4MC&1DJヒップホップユニット。1994年に結成され、2001年3月にシングル「STEPPER'S DELIGHT」でメジャーデビュー。その後2ndアルバム「TOKYO CLASSIC」がミリオンヒットを記録する。さらに国内のヒップホップユニットとして初めての日本武道館ワンマンライブを行い、日本にヒップホップ文化を広く浸透させた。2010年には、メジャーデビュー10年目を記念しベストアルバム「GOOD TIMES」とカップリングベストアルバム「BAD TIMES」を発表。2015年9月には通算10枚目のオリジナルアルバム「10」をリリースした。翌年3月には映画「珍遊記」のオープニングテーマとエンディングテーマを収録したシングル「Take It Easy」をリリースするなど、絶えず精力的に活動している。