Rhythmic Toy Worldがバンドの転機を迎えている。
9月6日にリリースとなる3rdフルアルバム「TALENT」は初めてのセルフプロデュース作。音の質感をはじめ、さまざまな側面から進化が伝わる意欲作に仕上がった。
音楽ナタリーでは、リズミックのメンバー全員にインタビューを実施。バンドに訪れた心境の変化、新作の手ごたえなどについて話を聞いた。
取材・文 / 田山雄士 撮影 / 藤川正典
風通しのいいチームに
──ここ最近のRhythmic Toy Worldを見てると、調子がすごく上向きになってきてるんじゃないかと感じます。
内田直孝(Vo, G) 内面のコンディションがいいんですよ。以前はメンバー個々でいっぱいいっぱいになってた時期もあったけど。
──いつ頃の話ですか?
内田 2016年のツアー(「『HEY!』の『HEY!』による『HEY!』の為のツアー」)をやってるあたりです。キャリア最大規模だということもあって、お互いに頼るのを忘れちゃったんでしょうね。甘えればよかったのに甘えられず、「弱さを見せちゃったらみんなの士気が下がる」「自分は自分でやることをがんばらなきゃ! それがバンドのためだ!!」みたくなってました。ただ、その感じが今はほとんどなくなって。
磯村貴宏(Dr) 今年7月にやってたコンセプトワンマンツアー(「ジキルとハイド ~NO RHYTHMIC NO LIFE~」)の打ち上げが大きかったよね。
内田 そこでプロデューサー(川原祥太 / Parking Out)と普通にケンカしたりね。そういうのが今までできてなかったんですよ。
岸明平(G) 我慢しちゃってたもんね。
磯村 その打ち上げで初めて「いや、僕らはこう思うんですよ」って言えたんです。
内田 僕らが傷付かないように守ってくれてたし、偉大な人だと思ってるので、「いろいろ足りてない自分たちが言うのは……」みたいな気持ちがあったけど、4人の中で「でも、それって違うよね?」って話になったのがつい最近で。
磯村 堰を切ったように話してみたら、お互いに「あ、そんなことを思ってたんだ!」ってのがすごく多かったんですよね。
内田 途中からマネージャーは微笑ましそうに見てました。
磯村 ガンガン言い合ったうえでファイナルの新代田FEVER公演(7月31日)を迎えて、ふと「今、バンドの状態が超いいんじゃない?」って思った! チーム間とメンバー間に流れる空気がすごくよくて。後日メンバーだけで飲みに行ったときも、これまで知らなかった思いを曝け出し合えたり。もともと仲はいいんだけど、だからこそ言えなかったことさえ最近は言えるんです。
岸 オープンになったから、ストレスが本当にない。音楽に対して思いっ切り取り組めると言うか。単純に楽しいんですよ!
須藤憲太郎(B) 赤坂BLITZでのワンマン(参照:Rhythmic Toy World、赤坂BLITZワンマンでファンからのサプライズに大泣き)が終わったあとも制作とか目の前のことをひたすらやるしかできなかったけど、チームの風通しがよくなった今はもう1つ先に行けそうな気がしてます。
ニヤニヤした悪ガキっぽいのがリズミックらしい
──そのいいムードが、今作の「フラッシュバック」や「ミュージックマン」といった曲のポジティブさにつながってるんでしょうね。
内田 そうですね。今抱いてる思いを書き表わせたなっていう気持ちが僕の中でも強いので、このあたりの曲は特にリアルタイム感がすごくあって。
──アルバムの1曲目「未来ワンダー」のイントロから、バンドが転機を迎えてるのが伝わってくるんですよね。
岸 これまでのリズミックを聴いてくれてたら、あのイントロはびっくりしますよね(笑)。
内田 「キラキラした曲を作ろう!」的な考えが最初からあってのアレではないんですよ。先にメロディと曲がある程度できてた段階で、ふいに思い付いちゃったというか。「ああいうシンセが入ってたほうが、楽曲自体がもっとよくなるんじゃねえかな」って。で、遊び半分みたいに僕が家で音を作って合わせてきたら、みんなギョッとしてたっけ。
磯村 そのときはね。「やっちゃうの!?」みたいな(笑)。
内田 でも、遊びが欲しかったんですよ。想定内の評価を狙ったアプローチはもうダサいなって思っちゃって。むしろ、どんな反応が返ってくるかわからないことをやるのが挑戦だろうし、やれると期待されてる人たちなんじゃないかな。何やってくるかわかんない感じ。それをニヤニヤしながらやってる悪ガキみたいなのがリズミックらしい。ピシッと真面目な顔して活動するイメージは自分らで描けないんです。
──自分たちらしいスタンスがわかってきた感じですか?
内田 把握できてきた気がしますね。今作では「こんなこともやんの!?」みたくプラスに捉えられるくらい、そのギリギリな距離感を攻めたつもりなんです。
──新しいアーティスト写真も、ですよね。
全員 あはははは!(笑)
内田 そういうことなんですよ。
岸 遊び心だから! 最初は普通に撮ったんだよね。でも、「面白いことしたいよね」「試しにSNOWで撮ってみようか」ってなって。
磯村 岸がちょいちょいSNOW使ってたんで、「OKかわかんないけど、撮ってみるか」って。
内田 サラッと撮ってみて「はっはっはー! ヤバイね」とか言ってたんですけど、「マジでアー写にしちゃったら面白いんじゃないの?」という流れになり(笑)。やっぱり、それをよしとできる空気感がバンド内にあったんだと思います。「こういうことをやっていくんだよね、俺らって」みたいな。まあね、評価はいろいろありましたが。
──面白いものって、賛否両論あってしかるべきだと思いますよ。
内田 本当にその通りですよね! 賛否あるのは注目されてるってことだから。面白がってくれる人もすごく多くて、バンド仲間からは「先にやられた!」って反応もありました。「SNOWとかで何かできないか」みたいなのはわりとみんな思ってたらしくて、「やっときゃよかったー」と言われたりしたので、結果よかったんじゃないかなあ。
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バンドは当たり前にあるものじゃない
- Rhythmic Toy World「TALENT」
- 2017年9月6日発売 / STROKE RECORDS
-
[CD]
2700円 / STR-1045
- 収録曲
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- 未来ワンダー
- JIGOKU
- フラッシュバック
- ミュージックマン
- 大丈夫
- ポエトロジーライド
- バベル
- ドンシンフィー
- メインアクト
- 涙の使い道
- いつか(TALENT Ver.)
- ユメイロ(TALENT Ver.)
- Rhythmic Toy World Release Tour「転生?なにそれ美味しいの?ツアー」
-
- 2017年9月21日(木)千葉県 千葉LOOK
- 2017年9月28日(木)石川県 vanvanV4
- 2017年9月30日(土)富山県 Soul Power
- 2017年10月3日(火)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2017年10月4日(水)岡山県 CRAZY MAMA 2nd Room
- 2017年10月6日(金)福岡県 Queblick
- 2017年10月15日(日)三重県 club chaos
- 2017年10月18日(水)北海道 COLONY
- 2017年10月27日(金)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2017年10月31日(火)香川県 DIME
- 2017年11月2日(木) 名古屋 CLUB QUATTRO
- 2017年11月4日(土) 大阪 Music Club JANUS
- 2017年11月17日(金)群馬県 前橋DYVER
- 2017年11月18日(土)福島県 郡山CLUB #9
- 2017年11月24日(金)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2017年12月7日(木)宮城県 enn 2nd
- 2017年12月15日(金)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2018年1月26日(金)東京都 TSUTAYA O-EAST
- Rhythmic Toy World(リズミックトイワールド)
- 内田直孝(Vo, G)、須藤憲太郎(B)、岸明平(G)、磯村貴宏(Dr)からなる4人組ロックバンド。2009年に結成し、2010年に現在のメンバーとなる。2012年にアマチュアバンドコンテスト「RO69JACK」で入賞し、2013年にはグッドモーニングアメリカが企画するコンピレーションアルバム第3弾「あっ、良い音楽ここにあります。その参」に参加。2013年から2014年にかけて3部作としてミニアルバム「軌道上に不備は無し」「オリンポスノフモトニテ」「XNADIZM」をリリースした。2015年に1月に1stシングル「いろはにほへと」、3月に1stフルアルバム「BUFFeT」を発売。「輝きだす」が森永製菓「DARS」のCMソングに使用されると、知名度はさらに広がる。2016年7月にニューアルバム「『HEY!』」を発表。東京・赤坂BLITZでのワンマン公演を含めたツアー「『HEY!』の『HEY!』による『HEY!』の為のツアー」を大成功に収めた。2017年9月に初めてのセルフプロデュースによるアルバム「TALENT」をリリースする。