「REDLINE ALL THE BEST 2019 ~10th Anniversary~」特集 鈴木健太郎(JMS)×渡辺旭(THE NINTH APOLLO)対談|インディーズシーンから音楽業界に物申す! 打ち上げまで気合いの入った“異種格闘技”イベント

打ち上げまで気合い十分

渡辺 確かに「REDLINE」の歴代出演アーティストを見返すと、わけがわからないですね(笑)。すごいなと思うし、もはやうさん臭い(参照:HISTORY | REDLINE ALL THE BEST 2019 ~10th Anniversary~Supported by Sammy)。今見たらうさん臭いけど、当時は今ほど注目されていないバンドばかりで。そう考えるとやっぱりすごい。

Fear, and Loathing in Las Vegas

鈴木 デビュー前のバンドも多かったですね。例えばFear, and Loathing in Las Vegasやtricotは、全国流通する前に出てもらっているんですよ。このイベントを企画した当初から、「このバンドをたくさんの人に観てほしい」という思いでブッキングしていて。「REDLINE」は、“境界線がない”や“異種格闘技”をテーマにやっていて、正直動員はキツいときもあるんです。ヒップホップとギターロックの組み合わせは難しいのかなと感じることもあった。けどとにかくやり続けて、ここまでやって来ました。

渡辺 アイデアがすごいですよね。でも打ち上げはがんばりが足りない。

鈴木 「REDLINE ALL THE BEST 2019 ~10th Anniversary~」は会場が幕張メッセなので……。

渡辺 打ち上げないやろ。

鈴木 いえ、やりますよ! だいたいこの規模だと打ち上げをせず、主催者に挨拶して帰るというのが定番じゃないですか。でもやります。

渡辺 どこでやるの?

鈴木 某ライブハウスを貸し切ってやります。お金の無駄遣いです。

渡辺 やばいね。みんな帰ったらどうする?

鈴木 絶対に帰らないでください。

渡辺 へそ出しの子がいて、当時のみるくみたいな打ち上げをしてくれるんやったら行きます。でも現実問題、けっこうみんな帰りそうじゃない?

鈴木 いや、もうみんなが絶対帰れないようにある仕込みをしているので大丈夫です。旭さんのためには、最悪俺がへそ出します(笑)。

マッチングアプリとナンパの違い

──JMSやTHE NINTH APOLLO、small indie tableの所属アーティストのどんなところに魅力を感じますか?

鈴木 十人十色という部分はありつつも、ライブの中で泣けるポイントがあるバンドは好きです。ストーリー性があるというか。それはジャンルとか限らずそうですね。

渡辺 打ち上げが楽しいバンドは魅力的ですね。あと最近思ったのが、メジャーレーベルの方って「いいバンドおらんかな」という気持ちでライブハウスに行く方が多いと思うんです。僕はフラーっとライブハウス行く。そこの感覚は違うと思いますね。立場上「このバンドいいからライブ観て!」と薦められることも多いんですけど、その時点で少し色眼鏡をかけているからか観ていて面白くなくなってしまう。フラットな目線でライブを観てすごいなと思ったバンドが、すでにレーベルに所属しているということも多いですけどね。逆にそう感じたバンドに自分が最初に出会えたときはうれしい。

KOTORI

鈴木 その点でいうと、僕はメジャーレーベル思考の人間なのかもしれないです。KOTORIがsmall indies tableに所属することになったきっかけは、僕がYouTubeでたまたま「19歳」というMVを観たことですし。

渡辺 うん。健太郎はちゃんと落としどころを見つけてきてるとは思うけどね。ただ俺はいいバンドを探そうと思ってライブや動画を観ない。要はマッチングアプリをやってるタイプと町でナンパするタイプです。

鈴木 僕と旭さんは、バランスがいいんですよ(笑)。

渡辺 健太郎とは、やり方は違うけど着地点が近いので仕事はやりやすいですね。

ライブを観ないと営業できない

──渡辺さんの「REDLINE」の印象を教えていただけますか?

渡辺 チャラい。

鈴木健太郎(JMS)

鈴木 マッチングアプリなので、はい(笑)。

渡辺 でもバンド同士のマッチングアプリって考えたらすごい。僕はその趣旨ではやらないから。だって「REDLINE」に出たバンドが、次の年に売れて大きくなっていってるのが当たり前のようにずっと続いてる。

鈴木 バンドが大きくなる1つのきっかけになっているかもしれないのはうれしいですね。バンドに「REDLINE」を利用してもらうというのも目的の1つなので。

渡辺 打ち上げは全部やってるの?

鈴木 全部やってます。

渡辺 現場には全部行ってる?

鈴木 全部行ってます。

渡辺 たまに現場に行かへん主催者っておるやん。

鈴木 いますね。うちのバンドもあるイベントに出させてもらったとき、会場に行ったら主催者が誰もいなかったことがあって「誰にご挨拶して帰ればいいのかな?」と思いましたね。僕らはライブバンドを抱えてるので、ライブを観ないと営業もできないんですよね。上っ面の言葉だけでは伝わらない。そのアーティストのライブの魅力をどう自分の言葉で伝えるかというところが大事なので。

次のページ »
大トリは“同志”SiM