ナタリー PowerPush - REDEMPTION 97

1stアルバム完成インタビュー&Tsuda×安孫子(銀杏BOYZ)ベーシスト対談

Power Push後半は、Tsuda(REDEMPTION 97)と安孫子真哉(銀杏BOYZ)によるベーシスト対談を掲載する。ビールを飲みつつ行われた対談は、互いのベースプレイについてのトークから、青春時代に刺激を受けたパンクロックについてまで幅広く展開。世代も音楽性も異なる2人のその熱いプレイの中に、今もパンク魂が脈打っていることが、この対談から感じられるはずだ。

TsudaさんがゴイステのTシャツを着てくれてた

インタビュー写真

──あ、ビールがきましたよ。

安孫子 居酒屋じゃないのに(笑)、事務所なのに。

Tsuda お言葉に甘えて、乾杯!(笑)

──お2人がもともと知り合ったのは?

安孫子 最初はゴイステ(GOING STEADY)の頃、Tsudaさんが僕らのバンドのTシャツを着てくれてるって人から聞いて。それだけでもうれしいのに、KEMURIのPVにも僕らのTシャツで出ていて「まさかまさか」ってすごくうれしかったんです。

Tsuda 俺、普通にそのTシャツ着てたんだよね。ゴイステは好きだったしTシャツのデザインも好きだった。だから宣伝しようって気持ちじゃなく、普通に着てて。

安孫子 それこそうれしいです。あとね、僕らが20代前半の頃に企画イベントやってて。そしたらTsudaさん、よくライブ観にいらしてたんですよね。

Tsuda 西荻WATTSとかね。

──ビックリしちゃいますよね。KEMURIは当時も知られた存在だったし、そのメンバーが普通にライブハウスにいるっていうのは。

安孫子 僕らからしたらすごいビックリですよ。あと一昨年、THE SLITSの来日ライブ観にいって、すげえパンクスの客が来たって思ったらTsudaさんだった(笑)。

歌うようなベースを心掛けている

──お2人ともベーシストってことで。お互いのベースに関してはいかがでしょう。

Tsuda アビちゃんのベースは独特だよね。歌うというか動くというか。いろいろ研究してるの?

安孫子 最近になってちょっとは研究みたいなこともするようになったんですけど。もともとは若気の至りみたいなのが好きなんで、こう衝動的な。聴くのもパンクしか聴かなかったし。ゴイステの頃はただ派手にやったら面白いのかなって。昔は独りよがりでしたよね。ベースを弾くって感覚じゃなく自分を出し切りたい、みたいな。それが美学だと思ってたのかもしれない。でも最近そういうのに美学を感じなくなって。そんなのただのエゴだなって。

インタビュー写真

Tsuda じゃあ銀杏BOYZになってから変化したんだ。

安孫子 そうですね。中村(G)が入ってからかな、違うジャンルの音楽も聴くようになったのは。中村とは弦楽器同士なんでよく話すし、違う視点や違うアプローチがあるって気付いて僕のベースもちょっと変化して。Tsudaさんが弾くようなスカのベースって難しいですよね?

Tsuda 俺も一緒でパンクから入った人間だから、KEMURIに入るまでスカはほとんど知らなかったの。それまでは初期パンクやハードコアばかり弾いてたんで、もうテクニックなんか二の次。ベースの教本も見たことない。とにかく自己流で基礎がなってない。ベースらしいベースっていうか、そういうフレーズが出てこないんですよ。

安孫子 うわ、それでもあんなに弾けるんだ。じゃあKEMURIになってから変化したんですか?

Tsuda 自分ではそんなに変化したとは思ってないんだよね。ベースプレイを追求するというより曲に合うベースを弾いてるだけだから。ただ、スカはハードコアのように速くないから、その分歌うようなベースを心掛けたりはしてるけど。

ニューアルバム『Precious Songs』 / 2009年11月18日発売 / 2625円(税込) / TV-FREAK RECORDS / TV-102

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CD収録曲
  1. Crisis To Exist
  2. Stand Up Now
  3. Precious Thing
  4. Begin To Move
  5. Do The Right Thing
  6. Boots On The Hard Road
  7. Wrong History
  8. Time Killer
  9. Don't Go Back
  10. A Dance & A Beer
  11. Say Thanks
  12. I Won't Fall Down
  13. Good Friends Good Music
REDEMPTION 97
(りでんぷしょんないんてぃせぶん)

Ryoji(Vo / RYOJI & THE LAST CHORDS、ex.POTSHOT)、Tsuda(B / ex.KEMURI)、Ryoma(G / ex.Last Target)、Yuji Shimoda(Tb / ex.KEMURI)、Yoshio Taniguchi(Key)から成る6人組スカパンクバンド。2008年結成。バンド名はスカパンク界の重鎮マイク・パーク(Asian Man Records)が命名。2009年4月に初音源「Good Friends Good Music」、同年11月に待望の1stフルアルバム「Precious Songs」をリリースした。

安孫子真哉(あびこしんや)

1978年山形県生まれ。銀杏BOYZベース担当。2003年にGOING STEADY解散後、銀杏BOYZに加入。これまでにフルアルバム2枚、シングル3枚、ドキュメント映像作品1枚を発表。12月2日には4枚目となる最新シングル「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を発売。現在新作アルバムを制作中。