ナタリー PowerPush - REDEMPTION 97

1stアルバム完成インタビュー&Tsuda×安孫子(銀杏BOYZ)ベーシスト対談

ギターはかなり自由に弾かせてもらってます

──REDEMPTION 97のメンバーはどういう経緯で揃ったんですか?

Tsuda まず編成をどうしようかって考えたんですよ。俺ね、鍵盤は絶対に入れたいって。POTSHOTもKEMURIも鍵盤いなかったし今までとは違うことができるんじゃないかと思ったから。でも鍵盤弾ける知り合いが全然いない。他のメンバーは決まったのに鍵盤だけなかなか決まらなくて。で、トロンボーンのShimodaの紹介でやっと決まったんです。

──Ryomaさんはどういう経緯で?

インタビュー写真

Ryoma 僕、仲のいい代々木のライブハウスの人から、2人が新しいバンドをやるって聞いて。KEMURIもPOTSHOTも見てたし、僕も新しいことをやってみたいなって。で、僕、前にやってたバンドでTsudaさんと対バンしてたから、初めてスタジオに行った日にTsudaさんビックリしちゃって(笑)。

Tsuda だってまさか入ってくれるとは思ってなくて。

Ryoma で、音合わせして「やりましょう」って言ってもらえたんです。

──鍵盤とギターとトロンボーン。楽器の絡みによる面白さも出てますよね。

Tsuda そこは面白いです。POTSHOTもKEMURIも2管だったり3管だったりしたけど、トロンボーンだけだと音を隠せないというか、そのまま出るのが面白いですよね。で、オルガンやギターと絡んでいくのがまた面白い。

──スカパンクのギターってカッティングが多いけど、それだけじゃなく弾きまくってたりするし。2曲目の「Stand Up Now」なんか特に。

Ryoma でもこの曲はギターだけじゃなくて、トロンボーン、キーボード、みんなで回して。確かにギターはかなり自由に弾かせてもらってます。スチャスチャ以外は自分のアイデアです(笑)。

Ryoji ここからここまではスチャスチャで弾けと。そこが終わったら好きにやっていいよって言ってるんです。やっぱりスチャスチャは外せないからね(笑)。

ちょっと泥臭くて人間臭いものをやりたい

──あと今作からは、初期パンクやレゲエ、ツートーンといった要素も感じますが、スカパンクを経てそれらを再確認してるということ?

Tsuda ですね。スカパンクは大前提ではあるんです。それに加えてパンクやレゲエやツートーンという、ちょっと泥臭いというか人間臭いというか、そういうものをやってみたかったんですね。だから鍵盤は必要だったし、今でもTHE CLASHやTHE SPECIALSに憧れはあって、それをスカパンクを通した目で自然にやれたらいいなって。

──スカパンクを通してるから、もろにオーセンティックってわけでもないし。そこが個性になってますよね。

Ryoji ホンモノじゃなくていいんですよね。ホンモノじゃないってことをわかりつつ、ホンモノっぽいことをやってみたいっていうか(笑)。それが僕らのリアルなスタンスだと思うんですよ。

Tsuda ホンモノにはなれないし、ホンモノじゃないからやっちゃいけないってもんじゃないし。

──そうやってルーツ的なものにも目が向いたのは、やっぱり今の年代だからこそなんでしょうね。

Ryoji うん。ハジけるとこはハジけて抑えるとこは抑える。歳相応のスカパンクを見つけられればいいなって思ってるんですよ。例えば10年前にKEMURIやPOTSHOTを観にきてた人達にも面白がってもらえるような。もちろん10代の人達にも聴いてもらいたいんだけど。

楽しさと厳しさの両方をスカパンクで表現したい

──たぶんスカパンクを10年前に聴いてた人達って、もっと深いレゲエやルーツミュージックのほうにいってる人も多いかもしれない。「スカパンクは卒業したぜ」って感じで。

Tsuda そうそうそう。でもね、スカパンクでありながら、年齢を重ねても聴けるサウンドって、きっとできると思うんですよね。それを探してて。

──うん。歌詞も歳相応というか、今だから言えることもありそうですよね。今作には、社会的なことや世の中のことを直視した歌詞もあるし。

Ryoji 基本は僕が普段思ってることを歌詞にしてるんですが、今回はTsudaさんにもアイデアやイメージを出してもらって、そこから広げていった歌詞も多くて。音楽業界が不景気だったり、年齢を重ねてバンドを続けることの大変さだったり、そういうのも出てるかもしれない。

Tsuda ホント毎日ひどいニュースばかりで、そういうことにもバンドとしてちょっとは触れていきたいって気持ちがあって。僕らが好きな海外のスカパンクバンドも、実は楽しいことだけを歌ってるわけじゃないし。メッセージがちゃんとあるし。

──以前は「みんなで楽しもう」っていう歌詞で自分の気持ちを歌い切れてたけど、今はそれだけじゃない、と。

Ryoji そうですね。今は楽しもうだけじゃ自分の気持ちを歌い切れないなって。でも同時にいろいろ厳しいことがあるからこそ、音楽ぐらいは思い切り楽しもうよって気持ちもある。その両方を表現するにはスカパンクはピッタリなんですよね。

Tsuda スカパンクや初期パンクってそういうものだと思うんですよ。曲はキャッチーなのにしっかりしたメッセージがある。それが斬新だった。やっぱり僕らスカパンクバンドで、パンクって名乗ってるからには少なからずそこを歌うべきだし。

──パンクバンドとしてのマナーというか。

Tsuda うん、そこは踏まえたいですね。まあ、あくまでも自分達の視点でしか歌えませんが。

Ryoji そういうことが、若い頃より自然に出せるようになってきたんですよね。若い頃の歌詞はパーソナルな感じだったけど、年齢重ねると世の中も見ちゃいますしね。それは当たり前なことで。

──なるほど。で、今作の特に最後の2曲はアッパーで、希望と決意にあふれて終わっていくものですね。

Tsuda 人生、希望がなくちゃやってられないし(笑)。俺、40歳過ぎて、やっぱり不安はあるんですよ。30過ぎたらみんなあると思うけど。必死なんですよ(笑)。だから若い人に向けてってのもあるんですが、自分に対してってとこもあるんですよね。

──私も40歳越えてるからすごくわかります(笑)。

Ryoji だからスカパンクは若い人達の音楽って面もあるけど、年齢を重ねたからこそスカパンクのパワーが必要だったり楽しめたりすることもきっとあると思うんですよね。

Tsuda うん。スカパンクのままに、歳相応でやりたいですね。

インタビュー写真

ニューアルバム『Precious Songs』 / 2009年11月18日発売 / 2625円(税込) / TV-FREAK RECORDS / TV-102

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CD収録曲
  1. Crisis To Exist
  2. Stand Up Now
  3. Precious Thing
  4. Begin To Move
  5. Do The Right Thing
  6. Boots On The Hard Road
  7. Wrong History
  8. Time Killer
  9. Don't Go Back
  10. A Dance & A Beer
  11. Say Thanks
  12. I Won't Fall Down
  13. Good Friends Good Music
REDEMPTION 97
(りでんぷしょんないんてぃせぶん)

Ryoji(Vo / RYOJI & THE LAST CHORDS、ex.POTSHOT)、Tsuda(B / ex.KEMURI)、Ryoma(G / ex.Last Target)、Yuji Shimoda(Tb / ex.KEMURI)、Yoshio Taniguchi(Key)から成る6人組スカパンクバンド。2008年結成。バンド名はスカパンク界の重鎮マイク・パーク(Asian Man Records)が命名。2009年4月に初音源「Good Friends Good Music」、同年11月に待望の1stフルアルバム「Precious Songs」をリリースした。