ナタリー PowerPush - REDEMPTION 97

1stアルバム完成インタビュー&Tsuda×安孫子(銀杏BOYZ)ベーシスト対談

KEMURIとPOTSHOTの1stアルバムがリリースされたのが1997年。その記念すべき年をバンド名に冠したREDEMPTION 97(リデンプション ナインティセブン)は、Tsuda(ex.KEMURI)とRyoji(RYOJI & THE LAST CHORDS / ex.POTSHOT)を中心に、再びスカパンクの熱気を作り出していこうと集まった6人組だ。

待望の1stアルバム「Precious Songs」はスカパンクが持つ若々しさや楽しさに加え、初期パンクやレゲエ、ツートーンが持つ人間の匂いとでも言えるものが沸き上がってくる、今の彼らだからこその作品となった。結成から現在まで、そして何よりスカパンクに対しての思いを、Tsuda(B)、Ryoji(Vo)、Ryoma(G)に訊く。

なお、インタビュー後半ではTsudaと安孫子真哉(銀杏BOYZ)によるベーシスト同士の対談企画も掲載。こちらもあわせて楽しんでもらいたい。

取材・文/遠藤妙子 インタビュー撮影/中西求

スカパンクに恩返しがしたくなった

──結成のことからお聞きしますが、きっかけは?

Ryoji 2007年のKEMURIの解散ツアーで、僕がライブや打ち上げに遊びに行ったり、THE LAST CHORDS(RYOJI & THE LAST CHORDS)でも対バンさせてもらってたんですね。で、打ち上げで「Tsudaさん、次は何やるんですか?」「パンクとかハードコアやるんですか?」って聞いたら、Tsudaさんは「スカやスカパンクをやりたいんだよね」って。それで盛り上がっちゃって。ま、飲みの席のノリではあったんですが(笑)。それからKEMURIの解散ツアーが終わって、Tsudaさんはハードコアバンドやってるから、あれはやっぱり飲みの席での話だったんだなと。だけどTsudaさん、スカやスカパンクをやりたいっていうの、本気だったんですよね。

Tsuda 本気だったんですよ。でもKEMURI解散後、立て続けにいくつかのバンドから手伝ってくれって話が来て。だからREDEMPTION 97を始めるまでちょっと時間がかかちゃったけど。Ryojiとスカパンクバンドやりたいって気持ちはあったし、地味に曲も作ってたんですよ。

──Tsudaさんの中では、KEMURIは終わったけど、スカやスカパンクは全然終わってなかったっていう。

インタビュー写真

Tsuda そうです。俺はKEMURIの後も、スカやスカパンクをやろうって決めてたんです。KEMURIではやり切れなかったことがきっとあるだろうし、それをやっていきたいし。俺はKEMURIの前はハードコアやってて、スカやスカパンクはKEMURIに入ってから知ったんですね。だからまだまだやりたいことがあるんですよ。

──RyojiさんはPOTSHOTが終わってスカパンクにひと区切りつけたわけですよね。再びスカパンクをやろうと思うまで、気持ちの変化はどんなものだったんでしょう?

Ryoji POTSHOT解散直後は、違うことがやりたいってTHE LAST CHORDSを結成して、THE LAST CHORDSでアルバム2枚出して、方向性が見つかった気がしてるんですね。THE LAST CHORDSはTHE LAST CHORDSでやっていけそうだって。でも、KEMURIが解散するって知ったとき「あ、スカパンク終わっちゃうかも」って思ったんです。

──スカパンクが下火になった時期もありましたしね。

Tsuda ですよね。世界的にもかなり下火になった。

Ryoji でもね、THE LAST CHORDSでツアーに行くと、対バンがスカパンクだったり、打ち上げでも「POTSHOTが好きでバンド始めました」って言ってくれる人がいて。そういう現場を見ると、自分がPOTSHOTをやってこれたのもTHE LAST CHORDSをやってるのも、スカパンクのおかげなんだなって実感できたんです。で、スカパンクは下火になっても、KEMURIがいれば日本のスカパンクは大丈夫だろうって気持ちが僕にはあったんだけど、それが解散するっていうから寂しくなって。なんかスカパンクに恩返しがしたい気持ちが出てきて、Tsudaさんと話したら本気でスカパンクをやりたいと。だったら僕も一緒にやろうと。それこそがスカパンクへの恩返しになるかなと思ったんです。

──じゃあRyojiさんはPOTSHOTの頃とは、スカパンクに対する接し方がちょっと変化した?

インタビュー写真

Ryoji そうですね。そんなに頭で考えなくてもいいかなって。POTSHOTの特に後期には、新しいスカパンクを見つけようって模索したりもがいてたりしたけど、今は構えないで、大きなスカパンクという括りで接してますね。あの、たぶんね、新しいスカパンクなんてないんですよ。誰かがスカパンクを作った時点で完成されてるんですよ。スカとパンクをくっつけようって言った時点で、それ以上はないっていうか。そこから先は違うジャンルになっちゃうから。だから変に難しく考えるのは良くないんです、大らかに接するのがいいんです(笑)。

──スカパンクは、そういう枠があるからこそ面白いってことでしょうか?

Ryoji うん。面白かったりパワーがあったり。

──でもスカやスカパンクが苦手な人は、全部同じ曲に聴こえるってよく言いますよね。

Tsuda かもしれないですよね。でもその中でやる面白さがあるんです。

──ですよね。ちょっとした演奏やアレンジで違いが出せるし。

Tsuda シンプルな分、音に人柄も出やすいですしね。

ニューアルバム『Precious Songs』 / 2009年11月18日発売 / 2625円(税込) / TV-FREAK RECORDS / TV-102

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CD収録曲
  1. Crisis To Exist
  2. Stand Up Now
  3. Precious Thing
  4. Begin To Move
  5. Do The Right Thing
  6. Boots On The Hard Road
  7. Wrong History
  8. Time Killer
  9. Don't Go Back
  10. A Dance & A Beer
  11. Say Thanks
  12. I Won't Fall Down
  13. Good Friends Good Music
REDEMPTION 97
(りでんぷしょんないんてぃせぶん)

Ryoji(Vo / RYOJI & THE LAST CHORDS、ex.POTSHOT)、Tsuda(B / ex.KEMURI)、Ryoma(G / ex.Last Target)、Yuji Shimoda(Tb / ex.KEMURI)、Yoshio Taniguchi(Key)から成る6人組スカパンクバンド。2008年結成。バンド名はスカパンク界の重鎮マイク・パーク(Asian Man Records)が命名。2009年4月に初音源「Good Friends Good Music」、同年11月に待望の1stフルアルバム「Precious Songs」をリリースした。