ЯeaL|むき出しの感情で戦い続ける理由

ЯeaLが1stアルバム「19.」(読み:ナインティーン ピリオド)を完成させた。メジャーデビュー曲「秒速エモーション」、テレビアニメ「銀魂.」のオープニングテーマ「カゲロウ」などを含む本作は、バンドを結成した14歳から現在までのメンバーの5年間が凝縮された、濃密な作品に仕上がっている。

音楽ナタリーでは今回、作詞作曲を手がけるバンドの中心人物・Ryoko(Vo, G)の単独インタビューを実施。アルバムのコンセプトやメンバーとの関わり方の変化、将来のビジョンなどについて話を聞いた。

取材・文 / 森朋之

14歳から19歳までの集大成

──1stフルアルバム「19.」が完成しました。本作にはメジャーデビュー後にリリースされたシングルもすべて収められていて、デビューから現在までの集大成と言うべき作品に仕上がっていると思います。

自信作ですね。最高傑作ができたと思ってます!

──アルバムの制作前は、どんなビジョンがあったんですか?

私たちは14歳でバンドを始めたんですけど、この5年間の物語の終わりであると同時に、新たな始まりになるようなアルバムを作りたかったんです。今までやってきたこと、がんばってきたことがすべて詰まった作品にしたかったから、それが叶ったのはうれしいですね。今年の12月で5周年になるので、いい区切りになるなって。

幼い頃から詩を書いていたんです

──Ryokoさんをはじめ、メンバー4人の10代が凝縮された作品ですよね。収録曲を選ぶのは大変ではなかったですか?

けっこうサクッと決まりました。「ナンセンス」は最近書いた曲ですけど、それ以外は全部高校時代に書いた曲なんです。意識したわけではないんですけど、「今までの集大成にしたい」と思って選曲したら、結果的にそうなったというか。「H.O.L.」「チョコレートコスモス」「カタリナ」が高2、「エゴサーチ症候群」「それを恋と呼ぶのなら」が高3、「スタートライン」「ゆらりゆらりゆら」「カゲロウ」がデビュー直前、「仮面ミーハー女子」が野音(2016年3月に大阪・大阪城野外音楽堂で開催されたワンマンライブ)のちょっと前の曲なので。

──学生時代に書いた楽曲がアルバムの軸になっていると。その時点でバンドの方向性はしっかり定まっていた?

ЯeaL

そうですね。楽曲のクオリティは上がってきていると思いますけど、方向性はずっと変わってなくて。高2のときに書いた3曲(「H.O.L.」「チョコレートコスモス」「カタリナ」)は、歌詞もまったく変えてないんです。ほかの曲もメロディとか構成を少し変えたくらいで、基本的には作ったときとまったく同じ。だから私自身、アルバムが完成したときには「楽曲のテーマはまったくブレてないな」って改めて実感しました。聴いてもらえればわかると思うんですけど、愛や孤独、焦燥感みたいなものをずっと歌っていて。それは今も同じなんですけど。

──そういった感情が曲を作る動機につながっている。

はい。あとは「認められたい」という気持ちだったり、人と自分を比べてしまうときに感じる息苦しさだったり、「自分とは?」という問いかけだったり。違う時期に書いたのにテーマが一貫してるってことは、自分自身の根本がそこにあるんだなって。私、歌詞というか、ポエムみたいなものを小さい頃から書いてたんです。

──早熟ですね、文字を覚えてすぐにポエムを書いてたということですか?

小さい頃おばあちゃんと一緒に過ごす時間が長くて、画用紙にヘタクソな絵とポエムを書いていて(笑)。それをホッチキスで止めて、絵本みたいにしてたんですよね。小学校に入ってからは先生と交換日記をしていて、その後、自分1人でノートに言葉を書き始めて。曲を作るようになったのはЯeaLを結成してからなんですけど、作曲はこれまで書いてきた言葉にメロディを付けるような感覚だったんです。

ストレートな感情を出してもいいんだ

──Ryokoさんが幼い頃から紡いできた言葉が、ЯeaLの基礎になったわけですね。初期の曲の中では特に「カタリナ」が心に残りました。まさに周囲と自分との間の違和感や、夢と現実のギャップに苦悩する姿がリアルに伝わってくる曲だなと。

「カタリナ」は自分の心の中の雑草を引っこ抜いて、そのままバン!って出したような曲なんですよ。取りっ放しの感情と言うか、メロディも歌詞もむき出しの状態なので、今は書けない曲だなって思いますね。でもこの曲ができたときのこと、はっきり覚えてます。白いギターを買ってきて、部屋でずっと弾いてるときに「あ、これはいいかも」と思えるメロディが浮かんできて、そこから一気に作って。

──そのときに抱えていた気持ちがダイレクトに曲になった?

ЯeaL

はい。誤解を恐れずに言えば、メジャーデビュー以降は伝わりやすさを意識して楽曲を作るようになったんですよ。できるだけたくさんの人に当てはまる曲を心がけていたし、自分の中にある卑屈な部分だったり、聴いてる人が違和感を覚えるであろう部分は隠していたというか。でも3rdシングルの「カゲロウ」を出したときに、その意識がちょっと変わったんです。「地を這ってでも生きてやる」っていう歌詞もそうですけど、自分の本音をそのままの形で表現しても、それを「好きだ」と言ってくれる人がたくさんいて。「ストレートな感情を出してもいいんだな」と思えたんですよね。だから「カタリナ」も迷わずこのアルバムに収録できました。

──個人的な思いがリアルに表れている曲のほうが、聞き手にダイレクトに伝わるものがあるのかもしれませんね。

そうなんですよね。そっちのほうが人間らしいと思うし、いろいろな場面で共感してもらえるのかなって。さっき「『19.』は1つの物語の終わりであると同時に、新しいスタートのアルバム」と言いましたけど、もう1つ「すべてのタイミングに寄り添えるようなアルバムにしたい」という思いもあったんです。「失恋したときはこのアーティスト、落ち込んだときはこのアーティスト、盛り上がりたいときはこのアーティスト」という聴き方もあると思うんですけど、「泣きたいときも笑いたいときも恋をしたときもЯeaLを聴きたくなる」って言われるような作品にしたいなと。そのためにも、いろんな感情を歌いたかったんです。闇、光、孤独、愛、叶うこと、叶わないことだったり、私という1人の人間のすべての感情を表現しようと思って。

ЯeaL「19.」
2017年5月10日発売 / SME Records
ЯeaL「19.」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
3500円 / SECL-2155~6

Amazon.co.jp

ЯeaL「19.」通常盤

通常盤 [CD]
3000円 / SECL-2157

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. カゲロウ
  2. ゆらりゆらりゆら
  3. ナンセンス
  4. 仮面ミーハー女子
  5. H.O.L
  6. カタリナ
  7. チョコレートコスモス
  8. エゴサーチ症候群
  9. 秒速エモーション
  10. それを恋と呼ぶのなら
  11. スタートライン
初回限定盤DVD収録内容
  • 秒速エモーション(Music Video)
  • 仮面ミーハー女子(Music Video)
  • 星が見えないこの街で(Music Video)
  • カゲロウ(Music Video)
  • 秒速エモーション(Live / ЯeaL Яock Яevolution vol.5)
  • カゲロウ(Live / ЯeaL Яock Яevolution vol.5)
  • エゴサーチ症候群(Live / ЯeaL Яock Яevolution vol.5)
ワンマンツアー2017“1st Album「19.」Release Tour”
  • 2017年5月27日(土)大阪府 BIGCAT
  • 2017年6月11日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
  • 2017年6月17日(土)福岡県 Queblick
  • 2017年6月25日(日)東京都 TSUTAYA O-WEST
1st Album「19.」リリースイベント

2017年5月13日(土)大阪府 ディスクピア日本橋店 テレビゲーム館2F イベントフロア
START 16:00
内容:ミニライブ&CDジャケットサイン会

2017年5月14日(日)大阪府 タワーレコード難波店 5Fイベントスペース
START 12:00
内容:ミニライブ&CDジャケットサイン会

ЯeaL(リアル)
Ryoko(Vo, G)、Yurika(G, Cho)、Fumiha(B, Cho)、Aika(Dr, Cho)からなるガールズバンド。ЯeaLの“Я”は「やー」「ろしあもじ」「ろしあ」で変換。2012年12月、当時中学3年生だった4人によって結成され、関西圏を中心にライブ活動を開始する。2013年には「eo Music Try」の決勝大会に進出し、2014年7月には大阪・阿倍野ROCKTOWNで行われた初のワンマンライブのチケットを完売させ、12月には初の全国流通盤「Change Your ЯeaL」を発表するなど注目の存在に。また2015年8月にはオーディション「出れんの!?サマソニ!?」を勝ち上がり「SUMMER SONIC 2015」に出演。4人の高校卒業月となる2016年3月、シングル「秒速エモーション」でメジャーデビューを果たす。8月に2ndシングル「仮面ミーハー女子」、2017年3月に3rdシングル「カゲロウ」をリリース。精力的にライブ活動をこなし、5月10日に1stアルバム「19.」を発表する。