音楽ナタリー Power Push - ЯeaL
現役女子高生バンドが描く大胆な戦略
大阪在住の高校3年生4人からなるガールズバンド・ЯeaL(リアル)が3月9日にシングル「秒速エモーション」でメジャーデビューを果たす。
2012年冬の結成以来、2013年にはKANA-BOONらを輩出した「eo Music Try」の決勝大会に進出し、2015年には「SUMMER SONIC」に出演するなど、目覚ましい活動を続けてきた彼女たち。逆向きのアール“Я”を取り入れた、文字変換に苦戦するSNS泣かせなバンド名も注目を集めている。そのデビュー曲はRyoko(Vo, G)曰く「切なくて、踊れて、お客さんがタオルを回すこともできる、『桜』がテーマ」のナンバー。そうした“欲張り”なテーマ設定のもと作り上げられた、J-POP由来の耳心地のよい歌詞とメロディ、キュートなルックスとは裏腹なテクニカルでタフなプレイとアレンジが絡み合う“欲張り”な1曲に仕上がっている。
今回音楽ナタリーではメジャーデビューを記念して4人のロングインタビューを実施。結成からの4年について語ってもらった。
取材・文 / 成松哲
メジャーデビューを目指すガチで売れるバンド
──現在皆さんは高校3年生で、結成は4年前の2012年。中学……。
Ryoko(Vo, G) 3年生の12月ですね。メンバーは全員14歳か15歳。
──その頃、なぜロックバンドを組もうと?
Ryoko 話が3バージョンあるんですけど……。
──へっ!?
Ryoko フルとミディアムとショートが。
Fumiha(B, Cho) オススメはショートバージョンです(笑)。フルはホントに長いので。
──あはははは(笑)。でも、せっかくなのでじっくりお聞かせください。
Ryoko じゃあフルバージョンで(笑)。私が今通ってる高校にはダンスとかボーカルのクラスがあって、中学の頃からそこに通いたかったので中3のときにオープンキャンパスに行ってたんです。で、そこに声優志望のYurikaも通ってて、仲よくしていたっていうのがそもそものきっかけで。
──あっ、いろんな表現系のクラスがある学校なんですか。
Yurika(G, Cho) そうですそうです。幼稚園の頃に、「もののけ姫」のサン(石田ゆり子が声優を務めた)の声にすごく惹かれて。声優や俳優になりたくて今の高校のオープンキャンパスに行ったんですけど、なぜかギターを弾くことに……。
Ryoko 私に巻き込まれたことにより(笑)。
──巻き込んじゃいましたか(笑)。
Ryoko たぶん(笑)。中3の夏頃、オープンキャンパスでバンドボーカルのオーディションみたいなイベントがあって。その決勝大会に残ると10月になんばHatchに出られるっていう話だったので、ギターを持つことすら初めてだったんですけど出てみることにしたんです。そしたら決勝大会に残りまして。
──おっ!
Ryoko でも予選のときは高校の先輩にサポートをしてもらうバンド形態で出ればよかったんですけど、「なんばHatchには、全パートじゃなくてもいいから自分で集めたメンバーと出てほしい」って言われたんですね。それで、Yurikaがギターを持ってることを知ってたので「やってくれへん?」って誘いつつ、オリジナル曲を書いてなんばHatchに立ったら「ちゃんとバンドをしたい」っていう気持ちになったっていう感じですね。
Yurika ただ、私もその頃バンドをやってみたいとは思ってて。オープンキャンパスに通い始めたばっかりの頃、先輩バンドのライブを観て全身に電撃が走ったような衝撃を受けたんです。特にリードギターの人にすごく憧れてたうえに、中学の同級生の子らと遊びで「バンドやろうや」って話になってギターも買ってたから、その日からオープンキャンパスには必ずギターを持って行くようになってたんです。
──そしてその様子を見ていたRyokoさんに声をかけられた、と。
Yurika 「今度決勝大会があるから」って言われて、2~3カ月後にはなんばHatchに立ってました(笑)。ただ、そのときは完全にバンドのことをナメてたんですよ。絶対にRyokoちゃんのバンドで勝てると思ってたし、私自身ギターがうまいと思ってて。でもだからこそ勝てなかったのがメッチャ悔しかったし、あとなんばHatchのステージから見た光景が忘れられなかったから、決勝大会の日にはもうリズム隊をやってくれたサポートの男の子たちをほったらかして……。
Ryoko 2人でファストフードのお店で泣きながら「バンドやろう!」って(笑)。その帰り道には「実は知り合いにベースおんねん」って、Fumihaにバーッてメールしてました。
──RyokoさんとFumihaさんは同じ中学校だったんですか?
Fumiha いや、中学は違ったんですけどネットの音楽系コミュみたいなのをきっかけにつながってて。そこでやり取りしてるときに、文化祭のためにバンドを組んでベースを弾いてる話をしてたんです。
Ryoko だから速攻でやたらと熱量が高くて威圧感のあるメールを送ったら「OK!」って返事をくれて(笑)。「ガチのバンドなんで」「メジャーデビューを目標に」「売れます!」くらいのことを書いてたし、私だったらあのメール見たら断ってたと思う(笑)。
Fumiha でも私も文化祭でバンドをやってから「もっとマジメにバンドしたいな」って思ってたんですよね。
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- ЯeaL メジャーデビューシングル「秒速エモーション」
- 2016年3月9日発売 / 1300円 / SME Records / SECL-1858
収録曲
- 秒速エモーション
- Outsider
- スタートライン
- 秒速エモーション ~Instrumental~
ЯeaL「“至上最大無謀なデビューレコ発ライブ” at 大阪城野音 ~ゆずれない想いが野音にある!~」
2016年3月27日(日)大阪府 大阪城野外音楽堂
ЯeaL(リアル)
Ryoko(Vo, G)、Yurika(G, Cho)、Fumiha(B, Cho)、Aika(Dr, Cho)からなるガールズバンド。2012年12月8日、当時中学3年生だった4人が結成してまもなく関西圏を中心に積極的にライブ活動を開始する。そして高校1年生となる2013年には「eo Music Try」の決勝大会に進出し、2014年7月には大阪・阿倍野ROCKTOWNで行われた初のワンマンライブをソールドアウト、12月には初の全国流通盤「Change Your ЯeaL」を発表するなど瞬く間にシーンで注目の存在に。また2015年8月には、オーディション「出れんの!? サマソニ!?」を勝ち上がり「SUMMER SONIC 2015」に出演。そして4人の高校卒業月となる2016年3月、シングル「秒速エモーション」でメジャーデビューを果たす。