音楽ナタリー Power Push - ЯeaL
現役女子高生バンドが描く大胆な戦略
最初からオリジナル曲主体だった
──ここまででRyokoさん、Yurikaさん、Fumihaさんの物語はわかったんですけど、AikaさんはなぜЯeaLに?
Fumiha 私と中学が一緒で、ドラムをやってたからっていうのが一応の理由なんですけど、Yurikaと同じ。巻き込まれた感じやな(笑)。
Aika(Dr, Cho) うん(笑)。しかも1度断ってるんですよ。誘われたのが中3の10月っていう受験シーズンまっただ中だったし、当時は普通に「進学校に行こう」「大学に行こう」と思ってましたから。
──じゃあ「メジャーデビューを目標に」っていうバンドにおいそれとは入れませんよね(笑)。
Aika 「バンドって何?」って感じでした(笑)。でもみんなの話を聞いてるうちに「まあいいや」「ノリでやってみよ」っていう気になってしまい……(笑)。
──そしてЯeaL結成、と。中3のガールズバンドってまずはどんな曲をコピーするんですか?
Ryoko いや、最初からオリジナルでした。オーディションのために私が書いた曲があったので。
──それもそれで驚きなんですよ。ギターを持つこと自体、オーディションのときが初めてだったわけですよね。
Ryoko はい。オーディションの前日か前々日に先生に「持ってみれば?」って言われたのがきっかけです(笑)。予選はコピー曲でよかったので、とりあえずサビだけパワーコードで弾けるようにしておいて、Aメロ、Bメロでは突っ立って歌いつつ……。
──サビになったら、やにわにギターを弾き出す、と(笑)。
Ryoko ギターを始めたきっかけ自体がそんな感じだったから「決勝ではオリジナルを」って言われたときもそんなにビックリはしなかったんです。オーディションの前から好きな先輩バンドがいたから、そのバンドのギターの人の指の動きを覚えて、そのフレーズやコードを自分の考えたメロディに適用させるっていう方法で2、3日で「できた!」って感じで書けてました。
Yurika そうは言ってもやっぱり大変は大変で。オリジナル曲を弾くのなんて初めてだから、オープンキャンパスの先生のところに「フレーズを一緒に考えてもらっていいですか?」ってお願いしにいく、みたいなことをずっとしてました(笑)。
Ryoko でまあ、そんな曲がまず1曲ありつつ、あともう1曲、ЯeaLを結成してすぐに作った曲があって、最初からオリジナル曲主体だったんです。
Fumiha 今考えるとヒドいアレンジの曲ですけどね(笑)。ドラムはずーっと……。
Aika むっちゃ速い8ビートだけを叩き続け(笑)。
Ryoko ギターはパワーコードで、ベースはルート弾きだけ(笑)。
Yurika しかもそんなアレンジなのに、先生を頼らないとフレーズを作れないという(笑)。
結成直後に迎えた解散の危機
Ryoko そのうえ、そんな状態なのに2012年の12月の頭に結成して、年末には初ライブが決まっていたという(笑)。
──へっ!?
Yurika オープンキャンパスで先輩バンドを観てからライブハウス三昧の生活を送ってたら、バンドマンの中に仲よくしてくれる人たちが出てきて。ЯeaLを組んだ頃、その人たちから「Yurikaちゃん、バンド始めたんやんな」「12月21日、ライブ出てくれへん?」ってメールが来たんです。
Ryoko で、そのオリジナル2曲とコピー曲3曲を用意して、結成2週間で奈良で初ライブをやってました(笑)。
Yurika しかもメールっていうのがその1通だけじゃなくて、もう1通あって。次の日にも大阪でライブをやってました。初ライブが2DAYS(笑)。
Ryoko そうしたら「中3のバンドがおる!」ってちょっと話題になって、ほかのオファーが来るようになったから、受験生なのに1月もライブをしまくり(笑)。受験が終わった3月なんか……。
Yurika 8本、9本やった気がする。名古屋や豊橋にも行ったし。
Ryoko あとSCANDALさんの城ホール(大阪城ホール)ライブの日に合わせて城天(大阪城公園)でライブをやったりとか。それでまた関西のライブハウスの人を中心に認知してもらえるようになって、高校生になってからもライブに出続けて。でもなかなかお客さんは増えなくて、毎回毎回ゼロで。ノルマを自分たちの財布から払い続け……。それでメンバーそれぞれの親がザワザワしだし……。そういうこともあって高校生になったばっかりの頃に解散の危機を1度迎えました(笑)。
──バンド結成から初ライブまでも早ければ、解散の危機も早い(笑)。
Ryoko それでも高1の6月くらいにまた「一緒にやろう」ってことになって。8月くらいまでいろんなオーディションを受けたりしてデビューのきっかけをつかんだ感じですね。
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- ЯeaL メジャーデビューシングル「秒速エモーション」
- 2016年3月9日発売 / 1300円 / SME Records / SECL-1858
収録曲
- 秒速エモーション
- Outsider
- スタートライン
- 秒速エモーション ~Instrumental~
ЯeaL「“至上最大無謀なデビューレコ発ライブ” at 大阪城野音 ~ゆずれない想いが野音にある!~」
2016年3月27日(日)大阪府 大阪城野外音楽堂
ЯeaL(リアル)
Ryoko(Vo, G)、Yurika(G, Cho)、Fumiha(B, Cho)、Aika(Dr, Cho)からなるガールズバンド。2012年12月8日、当時中学3年生だった4人が結成してまもなく関西圏を中心に積極的にライブ活動を開始する。そして高校1年生となる2013年には「eo Music Try」の決勝大会に進出し、2014年7月には大阪・阿倍野ROCKTOWNで行われた初のワンマンライブをソールドアウト、12月には初の全国流通盤「Change Your ЯeaL」を発表するなど瞬く間にシーンで注目の存在に。また2015年8月には、オーディション「出れんの!? サマソニ!?」を勝ち上がり「SUMMER SONIC 2015」に出演。そして4人の高校卒業月となる2016年3月、シングル「秒速エモーション」でメジャーデビューを果たす。