音楽ナタリー Power Push - ЯeaL

現役女子高生バンドが描く大胆な戦略

ライブハウスでは居場所がなかった

──お話を伺うに解散の危機を迎えこそすれ、すごくトントン拍子で活動してますよね。

Yurika 事実だけ並べてみると快進撃って感じですよね(笑)。

──でもその口ぶりもそうだし、あと去年末の城天でのライブ(参照:ЯeaL、城天ライブでメジャーデビューを改めてファンに報告)でのMCやデビューシングル「秒速エモーション」のカップリング曲「Outsider」を聴いていてもそうなんですけど、当時のバンドのありようについてイラ立ちを隠していない。

Ryoko ライブハウスでは居場所がなかったですから(笑)。私たちが楽屋に入ると一瞬空気が止まるんですよ。

Yurika 対バンのお兄さん、お姉さんらにしてみたら「あっ、なんかガキが来た」みたいな感じだったんだと思います。

Ryoko 当時は特に演奏がうまいわけでもないのに名前だけが知られててスケジュールは埋まってく、みたいな感じやったので、嫌われることもありました。

Fumiha(B, Cho)

Fumiha 「大人に組まされたに違いない」みたいなことも言われてましたし。

Ryoko ただ4人ともそれを「しょうがないや」で済ませられるタイプじゃない。「そういう人たちからも愛されたい」っていう気持ちの強い4人だから、自分たちの状態にイラ立つし、活動を続けてくることができたのかな、とは思ってます。

──ただ、このたびメジャーデビューを果たしている通り、もはや皆さんは界隈からナメられるような存在ではなくなった。ターニングポイントってあったりしたんですか?

Ryoko 4つくらいある気がします。

Fumiha 城天とか?

Ryoko うん。SCANDALさんの城ホールの日の城天ライブあたりから名前が広がり始めて、2013年に「eo Music Try」っていうコンテストの決勝大会に出たり、「反対言葉」って曲のMVを作ったりしたことで「あっ、単なるアイドルバンドじゃないんだ」って見られ方をするようになって。あとは高1の終わりの3月に阿倍野ROCKTOWNで初の自主企画をやったんですけど、Twitterをフォローしてくれている人にDMを送りまくって、ソールドアウトさせまして。そのあたりで私たち自身の意識も変わった感じですね。

A&R・Ryokoの立てる年間スケジュール

──その4つのターニングポイントって降って湧いた話じゃないですよね。「SCANDALのライブの日の大阪城公演にはガールズバンドファンが多いはず」という予測のもと城天ライブをやったんだろうし……。

Ryoko 常に戦略は立てているし、プロモーションも積極的に仕掛けるようにしています。いい曲を書いたり、楽器がうまくなることはもちろん大切なんですけど、楽器ってそんなにすぐにうまくはならないじゃないですか。

──はい。

Ryoko でも戦略はすぐに立てられるし、結果も見えやすいですから。だからバンドを組んだときから「いつまでに何曲書いて、いつまでに何本ライブをやって……」っていう年間スケジュールを立ててはメンバーに相談してましたし、それは今でも続けてます。

Yurika レコード会社のA&Rみたいなんですよ(笑)。

Aika ただ、そのスケジュールの相談っていうのがいつも急すぎて困るんですけどね(笑)。

Yurika しかも相談じゃなくてほとんど事後報告だから(笑)。高1の夏に東名阪を回ったんですけど、そのときも「東名阪行かへん?」じゃなくて「この日が名古屋で、この日が東京で」って決定事項を伝えてきたし(笑)。

Ryoko なので初めは理解されなかったですね。

Aika いつも「待って。なんでもう決まっちゃってるの?」ってなってました。

Yurika でもRyokoちゃんが立ててきたスケジュールがナシになったことは1回もないという。

Fumiha どんだけ反論してもムダだったから(笑)。一応言ってはいたんですよ。「遠征の費用どうするの?」とか(笑)。

Aika 「その日はテストです」とか(笑)。

──でも今の4人の雰囲気から察するにRyokoさんのワンマンバンドというわけではなさそうですよね。

Ryoko 私もヒマだから東名阪に行きたいとか言い出したわけではないですから。そのタイミングで音源を作ったり、東名阪ライブをしたりすることがЯeaLとしていいことだと思ったから、提案していただけなので。

Fumiha で、その話に乗ったら、いいことがあるのはわかってるからな。

Yurika うん。1度、Ryokoちゃん vs ウチら3人っていう感じで「ちょっとそれどういうこと?」ってなったことがあったんですけど、そのときRyokoちゃんが年表を出してきたんですよね。「いついつこれやって、次の月にはこれやって、その次には……」ってダーッて……。

Ryoko 「それ、どんだけ先の話やねん?」みたいなところまで書いてあるやつを(笑)。

Yurika でも「わっ、そんな先のことまで真剣に考えてるんだ」と思って、話に乗ってみたら、本当に書いてた通りのことが起きたんですよ。「あれっ? 確かにサマソニに出れてる」って感じで。だから今は多少強引なスケジュールでも乗れるんです。

ЯeaL メジャーデビューシングル「秒速エモーション」
2016年3月9日発売 / 1300円 / SME Records / SECL-1858
収録曲
  1. 秒速エモーション
  2. Outsider
  3. スタートライン
  4. 秒速エモーション ~Instrumental~

ЯeaL「“至上最大無謀なデビューレコ発ライブ” at 大阪城野音 ~ゆずれない想いが野音にある!~」

2016年3月27日(日)大阪府 大阪城野外音楽堂

ЯeaL(リアル)
ЯeaL

Ryoko(Vo, G)、Yurika(G, Cho)、Fumiha(B, Cho)、Aika(Dr, Cho)からなるガールズバンド。2012年12月8日、当時中学3年生だった4人が結成してまもなく関西圏を中心に積極的にライブ活動を開始する。そして高校1年生となる2013年には「eo Music Try」の決勝大会に進出し、2014年7月には大阪・阿倍野ROCKTOWNで行われた初のワンマンライブをソールドアウト、12月には初の全国流通盤「Change Your ЯeaL」を発表するなど瞬く間にシーンで注目の存在に。また2015年8月には、オーディション「出れんの!? サマソニ!?」を勝ち上がり「SUMMER SONIC 2015」に出演。そして4人の高校卒業月となる2016年3月、シングル「秒速エモーション」でメジャーデビューを果たす。