ナタリー PowerPush - PUFFY
ベストアルバム「15」に凝縮された PUFFYと個性派作家陣の思い出
海外の方とやってきたのはすごく大きなことだった
──続いてはチバユウスケさん(The Birthday)について。ベスト盤にはチバさんが手がけた「誰かが」と「君とオートバイ」が収録されています。
亜美 チバさんからいただく曲はいっつもカッコよくて、新しいPUFFYを引き出してくれる感じがすごくするんですよね。あ、こういう面もあるんだなって。
由美 そもそも、男の人が聴いてもカッコいいって思ってもらえるような曲をPUFFYとしてもやってみたい、っていうところからチバさんの名前が挙がったんですよ。その頃はちょうど、もっともっといろんなことをやってみたいって思ってた時期だったんで。で、最初にいただいた曲が、まあチバさんらしいもので。デモテープ聴いたときに歌いたくないって思ったもんね。チバさんの歌った仮歌があまりにもカッコよすぎて。「これでいいじゃん」って(笑)。
亜美 「You出しちゃいなよ!」って感じ(笑)。でもその結果、PUFFYの持つ男前度が上がった感じがしましたね。
──チバさんも然りですけど、PUFFYに楽曲を提供する方々って、その方のカラーをバシッとぶつけてきてくれますよね。だからこそ面白いコラボになっている気がします。
由美 PUFFYというものにあんまりキャラがないからじゃないですかね。PUFFYの音楽ってどんなんですかって言われたら、いっぱいありすぎて自分たちでも1つには収められない。だから曲を提供してくださる方々の自由度も増しているような気がしますけどね。
──続いてはアンディ・スターマーさんやブッチ・ウォーカーさんなどの海外勢。外国でも活躍するPUFFYらしい人脈のような気がします。
由美 アンディはPUFFYのポップさを120%引き出してくれた人だと思うんですよ。女の子らしさとかちょっとキュンとする感じとか。
──PUFFYの名付け親でもありますしね。
亜美 そうそう。アンディとの作業でほんとにいろんなことを覚えたよね。彼は自分でも歌えるし、民生さんともやってる人なので、ハンパじゃなく厳しいんですよ。当時は断る術を知らなかったんで、言われるがままにやってました。
由美 いろんな歌い方をとにかく求めてきたので、それですごい勉強になりましたね。
──ブッチさんは?
亜美 アンディで培ったものをブッチがさらにブラッシュアップしてくれた感じですね。頼もしい存在なんですよ。私たち自身にも楽曲にも、すごくキレイな魔法をかけてくれる。やっぱヒットメーカーは違うなっていう話をよくしてたんですけど。
由美 より洋楽っぽい感じはあるよね。
亜美 今のPUFFYにとって、海外の方とやってきたのはすごく大きなことだったなってすごく思いますね。
祥子さんも林檎ちゃんも私たちのことをすごく考えてくれた
──PUFFYは男性の方と曲を作ることがほとんどですが、中には女性とのコラボもあって。「SWEET DROPS」「きれいな涙が足りないよ」の鈴木祥子さんと、「日和姫」の椎名林檎さんとの作業はいかがでしたか?
由美 まず現場が華やかだよね。なんて自分たちは男っぽいんだろうって改めて思う。
亜美 まずいい匂いだもんね、スタジオが。
由美 「あれ、私たちもいちおう同性なんだけどな?」っていう(笑)。
──そもそも男性との作業が多いのはどうしてなんでしょうね?
亜美 男性の曲のほうが、その方のカラーに染まりやすいんですよね。で、自分たちにイメージできないものができあがる。女性だと同じ女性の声だし、その方のイメージが自分たちの中にもすごくあるので、どうしてもそちらに寄ってしまいがちなんです。
──なるほど。でも祥子さんや林檎さんの曲では、その世界観に気持ち良く乗っかっている印象ですよね。
亜美 うん、そうですね。それは多分祥子さんも林檎ちゃんも私たちのことをすごく考えて書いてくれてるからだと思います。2人でユニゾンで歌うのを前提で書いてくれるので、デモもちゃんとダブルで録ってきてくれて、こういうふうに聴こえるよとか。いろんな想定をしてくれてるので、非常にやりやすいし楽しいんですよね。
──現場ではガールズトークが繰り広げられることもあるんですか?
亜美 まあまあ多少はね。普段全くないので楽しいですよ。
由美 普段はさ、サウナ行く?っていう話にすぐなっちゃうもんね。男社会で育ちすぎたんで(笑)。
DISC1 収録曲
- 誰かが
- これが私の生きる道
- オリエンタル・ダイヤモンド
- ブギウギNo.5
- SWEET DROPS
- Hi Hi
- boom boom beat
- 赤いブランコ
- ナイスバディ
- 愛のしるし
- MOTHER
- サーキットの娘
- 日和姫
- マイストーリー
- モグラライク
- 渚にまつわるエトセトラ
- All Because Of You
- R.G.W.
- ハッピーバースデイ
- アジアの純真
DISC2 収録曲
- Shall We Dance?
- 君とオートバイ
- Radio Tokyo
- LONG BEACH NIGHTMARE
- すみれ
- ジェット警察
- ハズムリズム
- パフィーのルール
- Security Blanket
- Bring it on
- 欲望
- ウエディング・ベル
- ともだち
- きれいな涙が足りないよ
- 憂(UREI)
- ジェットラブ
- きみがすき
- とくするからだ
- Bye Bye
初回生産限定盤DVD収録内容
- “アジアの純真”~Ami Yumi Emi ver.~ミュージック・ビデオ
PUFFY(ぱふぃー)
大貫亜美、吉村由美の2人からなる女性ボーカルデュオ。1996年に奥田民生プロデュースのシングル「アジアの純真」でデビュー。力の抜けた自然体のスタイルと、ハイクオリティな楽曲で一躍注目を集め、「これが私の生きる道」「サーキットの娘」「渚にまつわるエトセトラ」などヒット曲を連発する。その後も草野正宗、宮藤官九郎、斉藤和義、椎名林檎、志村正彦、チバユウスケ、東京スカパラダイスオーケストラ、トータス松本、細美武士、山中さわおといった国内の著名アーティストや、アヴリル・ラヴィーン、アンディ・スターマー、ブッチ・ウォーカーといった海外アーティストによる楽曲提供を受け、音楽性の幅を広げつつさらなる活躍を続ける。2002年には「Puffy AmiYumi」名義で北米ツアーを敢行。2004年からは2人をモデルにしたアニメ「ハイ!ハイ!パフィー・アミユミ」が全米でブレイク、世界110カ国以上でオンエアされた。011年4月にはデビュー15周年を記念したニューアルバム「Thank You!」をリリースし、全国ツアーを敢行した。同年11月に2枚組のベストアルバム「15」を発売する。