ナタリー PowerPush - PUFFY
ベストアルバム「15」に凝縮された PUFFYと個性派作家陣の思い出
記念すべきデビュー15周年を疾走するPUFFYが、その歴史を凝縮した2枚組全39曲収録のベストアルバム「15」をリリースする。「うっかり15年。目標決めてたら3日で解散するタイプだもんね、私たち」とケロッとした表情を見せる彼女たちだが、そこに収められた楽曲からは15年の間で築き上げてきたその稀有な魅力をたっぷりと感じることができる。
今回ナタリーでは、大貫亜美と吉村由美の2人にインタビューを実施。奥田民生、チバユウスケ、椎名林檎、志村正彦などなど、PUFFYが楽曲提供を受けたアーティストごとにスポットを当てて話を訊いていくスタイルで、この輝かしい15年間を楽しく振り返ってもらった。
取材・文 / もりひでゆき
DISC 1は「鉄板」、DISC 2は「太鼓判」
──15年の軌跡やPUFFYの魅力が丸わかりなベストアルバムになりましたね。
吉村由美 今までベスト盤を出したことないわけじゃなかったでしょ。なので、結構いろいろ悩んで、選曲も考えたりして。で、今回はずっと聴いてくださってる方はもちろんだけど「初めてPUFFYのCDを手に取る方に」っていう設定で選んでみたんですよ。今これを聴いておけば、ライブに来ても結構楽しめるよっていう。
大貫亜美 ライブの形態も昔とは変わってきてるので、ライブに来たいと思ってる方にとてもいいんじゃないかなっていう。それが「アミユミチョイス」のDISC 2なんです。
──確かにDISC 2は最近のライブを彷彿させる選曲です。一方のDISC 1はPUFFYの王道的な内容になっていますね。
由美 PUFFYがPUFFYというものを考えて選んだ「パフィーチョイス」ですね。王道っていうか鉄板ですけどね。
亜美 そうそう。鉄板と太鼓判。
スタッフ それぞれのDISCをそういう呼び名にしたかったんですけど、鉄板の「板(パン)」がどうしても「盤」にならないっていうことで……(笑)。
──なるほど。鉄盤(てっぱん)と太鼓盤(たいこばん)にしたかったと。
由美 でも鉄盤って書いたらみんな「てっばん」って読むからねえ、って。
亜美 じゃ、盤に「°」つけたらどうだみたいな。もうわけがわかんない(笑)。
ずっと民生さんの背中を見ていたい
──今回のインタビューでは、このベスト盤をふまえつつ、PUFFYと縁のある人物との関係にスポットを当ててお話を伺おうかなと思っています。PUFFYって本当にさまざまな人たちに愛されていて、たくさんのコラボレートをしながら15年間走ってきたように思うので。
由美 じゃ昔の彼との出会いとか語っちゃえばいいじゃん。
亜美 えーと高校生のときに……。
──アハハ。それでもいいですよ。
亜美 よくないよ!(笑)
──じゃさっそく。まず、一番大きな存在と言えば奥田民生さんですよね。民生さんがいなかったらPUFFYはきっと生まれていなかったはず。
亜美 ほんとにほんとに。今は事務所の顧問になってますけど(笑)、私たちにとってはいつまでも先生ですよ。それほど私たちが尊敬してやまないのは民生さんしかいないと思います。
由美 最近、すごく優しいので首切られんじゃないかと思ってるんですけど(笑)。去年の年末のライブで初めて歌をほめられたんですよ。今までほめられたことなかったのに!
亜美 民生さんが作る曲に関してはどんどんハードルが上がってきてる感じがしますね。私たちもいろんなことを覚えてきたので余裕だなって思いたいんだけど、そのさらに上を行くような技術的な難しさのあるレベルの高い曲がどんどん出てくるんですよね。だから、いつまで経っても追い越せない(笑)。
──PUFFYとして先生を追い越す存在になりたいという思いは常にあるんですか?
由美 いやいや、追い越す気はないですよね。
亜美 そうだね。追い越すっていうよりも、ずっと背中を見ていたいんですよ。
由美 うん。だからお願い、もう一生ほめないでっていう(笑)。
──でもどんどん曲のレベルが上がっているのは、PUFFYの実力を認めているからなのでは?
由美 そうなんですかねえ? でもほんとに難しいんですよ、民生さんの曲って。なのになんでカラオケで歌いやすい曲に挙がるのかがいっつも疑問。みんなすごいなって。
亜美 アハハハ(笑)。確かにそうだよね。
DISC1 収録曲
- 誰かが
- これが私の生きる道
- オリエンタル・ダイヤモンド
- ブギウギNo.5
- SWEET DROPS
- Hi Hi
- boom boom beat
- 赤いブランコ
- ナイスバディ
- 愛のしるし
- MOTHER
- サーキットの娘
- 日和姫
- マイストーリー
- モグラライク
- 渚にまつわるエトセトラ
- All Because Of You
- R.G.W.
- ハッピーバースデイ
- アジアの純真
DISC2 収録曲
- Shall We Dance?
- 君とオートバイ
- Radio Tokyo
- LONG BEACH NIGHTMARE
- すみれ
- ジェット警察
- ハズムリズム
- パフィーのルール
- Security Blanket
- Bring it on
- 欲望
- ウエディング・ベル
- ともだち
- きれいな涙が足りないよ
- 憂(UREI)
- ジェットラブ
- きみがすき
- とくするからだ
- Bye Bye
初回生産限定盤DVD収録内容
- “アジアの純真”~Ami Yumi Emi ver.~ミュージック・ビデオ
PUFFY(ぱふぃー)
大貫亜美、吉村由美の2人からなる女性ボーカルデュオ。1996年に奥田民生プロデュースのシングル「アジアの純真」でデビュー。力の抜けた自然体のスタイルと、ハイクオリティな楽曲で一躍注目を集め、「これが私の生きる道」「サーキットの娘」「渚にまつわるエトセトラ」などヒット曲を連発する。その後も草野正宗、宮藤官九郎、斉藤和義、椎名林檎、志村正彦、チバユウスケ、東京スカパラダイスオーケストラ、トータス松本、細美武士、山中さわおといった国内の著名アーティストや、アヴリル・ラヴィーン、アンディ・スターマー、ブッチ・ウォーカーといった海外アーティストによる楽曲提供を受け、音楽性の幅を広げつつさらなる活躍を続ける。2002年には「Puffy AmiYumi」名義で北米ツアーを敢行。2004年からは2人をモデルにしたアニメ「ハイ!ハイ!パフィー・アミユミ」が全米でブレイク、世界110カ国以上でオンエアされた。011年4月にはデビュー15周年を記念したニューアルバム「Thank You!」をリリースし、全国ツアーを敢行した。同年11月に2枚組のベストアルバム「15」を発売する。