ポルノグラフィティ|最新曲で“こうあるべき”を覆す

音のよさが際立つカップリング曲「前夜」

──シングルの2曲目には昭仁さんが作詞作曲を手がけた「前夜」という曲が収録されています。「旅立ちの前夜」がテーマになっていますね。

岡野 曲自体はけっこう前からあって、アルバム「BUTTERFLY EFFECT」の制作段階でオケ録りまで終わっていたんですよ。アルバム曲の候補にも挙がってたんですけど、そのときは入れないことになって。で、今回リリース時期が春ということで、旅立ちを控えている人の背中を押すような曲になればいいかなと思って歌詞を書きました。

──メッセージもサウンドも力強さを感じさせるロックな仕上がりだと思います。

岡野 デモの段階からハチロク(6/8拍子)のギターサウンドでどんどん前へ進んでいくイメージはあったので、そういうのが得意なtasukuくんにアレンジをお願いしました。全体の流れとして絶頂に上がる部分とストンと落とす部分をどうしようかっていう話をしている中で、最初はなかった大サビが途中で生まれたりもしていって。

──あの大サビは効いてますよね。昭仁さんのロングトーンにやられました。

岡野 がんばりました(笑)。僕の声って抜けはいいんだけど、あまりロック向きではないなと自分では思っていて。どう歌ってもポップになってしまうというコンプレックスがあったんですよね。でもポルノのボーカリストとして18年やってきたことで、ロック的なシャウトであったり、自分自身を爆発させるような表現だったりをミックスさせて歌うことが最近は少しできるようになったかなと。それをこの曲ではtasukuくんのアレンジの導きによってうまく出せたんじゃないかなって思います。

──晴一さんはこの曲に関してどんな印象がありますか?

新藤 だいぶ前に録っていたオケを今回改めて聴いてみて、その音のよさにビックリしましたね。商業スタジオに素晴らしいミュージシャンとエンジニアを迎えて録った正しいロックサウンドだなって。今はデスクトップでできることがものすごく多いし、例えば「カメレオン・レンズ」のようにDTMで作ったほうがいい音楽スタイルもある。でも、その一方ではちゃんとしたスタジオで録ることも大切だよなって改めて思ったんですよね。

岡野 この曲はどんどん音数を減らしていって、ギターでガンガン押していけるようなアレンジを目指したんです。そういったサウンドだからこそ、新藤が言うようにスタジオでしっかりレコーディングしたことで1つひとつの楽器の音のよさがより鮮明になってるところはありますよね。

──そういう意味で言うと、僕は「カメレオン・レンズ」の音もすごくいいなと思ったんですよ。音の粒が際立っている印象があって。

岡野 うんうん。確かにいい音ですよね。

新藤 そこはね、2曲それぞれのエンジニアさんの手腕によるところも大きくて。「カメレオン・レンズ」は篤志と一緒に「これしっかりEDMに仕上げないと」みたいなことを話しながら作っていたんだけど、エンジニアのD.O.Iさんにミックスしてもらうと「うわ本物だ!」っていう音になる。今回は曲のタイプも制作のアプローチも違う両極端な2曲ではあるけど、どっちもそれぞれに音のよさを実感できる仕上がりになっているので、そこも楽しんでもらえたらいいなって思います。

──シングルの3曲目には「カゲボウシ」のライブバージョンも。これは昭仁さんの弾き語りによるものですね。

岡野 ツアー(「15thライヴサーキット“BUTTERFLY EFFECT”」)でこんなことやってましたよっていう足跡としてCDに入れようってことになったんですけど……まだツアーが終わってないっていう(※取材は3月下旬に実施)。

──振替公演が残っていますからね。

岡野 ホントは終わってるはずだったんですけどね。結果、ネタバレになってしまって申し訳ありませんっていう(笑)。振替公演では違う曲をやりますので。

──音源では非常にリラックスした昭仁さんの弾き語りが堪能できます。

岡野 1人で弾き語りをやることになったときは、絶対緊張するだろうし、震え上がるんだろうなって思ってたんですよ。でも、例え間違えたとしてもそれが僕なんだから、そのへんをすべてさらけ出してやろうと思って臨んだところ、ものすごく楽しかったんです。すごくいい経験になった。そんな僕の雰囲気をCDからも感じてもらえたらなと。

ポルノグラフィティ

「ロマンスポルノ」で何を持って帰ってもらうか思案中

──そして先日発表があったように、ポルノグラフィティのデビュー記念日である9月8日と翌9日に、お二人の故郷である広島県・広島県立びんご運動公園にて野外ライブ「しまなみロマンスポルノ'18」の開催が決定しました。

岡野 今、絶賛悩み中ですね(笑)。どんな内容にするんだっていう。僕らの故郷でやる野外ライブっていうことで楽しくならないはずがないので、そこに何をプラスアルファできるのかをしっかり考えたいなと思ってますね。

──20周年イヤーのキックオフを意味する大事なライブでもありますからね。

新藤 20周年イヤーってのもよく意味がわからないですけどね。19歳になった瞬間に、「成人イヤーのスタートだぜ!」とは普通言わないでしょ(笑)。でも楽しみではありますよ。自分らで言っていいことなのかはわからないけど凱旋的な気持ちはありますから。ただ、会場のキャパ的に因島の人だけではまかなえないから、遠くからもたくさんの人に来てもらうことになるわけで。そこでみんなに何を持って帰ってもらうのかをしっかり考えないといけないですよね。それが瀬戸内の景色なのか、夏の名残の風なのかはわからないけど、心に何かを残して帰ってもらえるようなライブにしたいと思います。

岡野 シンプルですけど、とにかくがんばらないとって思います。20周年イヤーにはほかにもいろんな花火を打ち上げる予定なんでね。とにかくがんばる。がんばりますよ!

ポルノグラフィティ「カメレオン・レンズ」
2018年3月21日発売 / SME Records
ポルノグラフィティ「カメレオン・レンズ」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1900円 / SECL-2271~2

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ポルノグラフィティ「カメレオン・レンズ」通常盤

通常盤 [CD]
1300円 / SECL-2273

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CD収録曲
  1. カメレオン・レンズ
  2. 前夜
  3. カゲボウシ
    (Live at NHKホール・2018/01/31)
初回限定盤DVD収録内容
  • カメレオン・レンズ Video Clip
  • Working men blues Video Clip

ライブ情報

ポルノグラフィティ
「しまなみロマンスポルノ'18」
2018年9月8日(土)広島県 広島県立びんご運動公園
2018年9月9日(日)広島県 広島県立びんご運動公園
ポルノグラフィティ
岡野昭仁(Vo)と新藤晴一(G)からなるロックバンド。1999年9月にシングル「アポロ」でメジャーデビューし、2000年7月のシングル「ミュージック・アワー」がポカリスエットCMソングに採用され大ヒットを記録する。続く「サウダージ」は初のミリオンセールスとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。その後も「アゲハ蝶」「メリッサ」「ハネウマライダー」などヒット曲を連発する。2014年9月には結成15周年の集大成となるスタジアムライブ「神戸・横浜ロマンスポルノ'14 ~惑ワ不ノ森~」を開催し、さらに2016年にも横浜スタジアムライブを行い2日間で6万人を動員するなど精力的にライブやリリースを重ねる中、2017年には初の台湾ワンマンLIVEを開催。夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」を始めとするフェスや野外ライブイベントに参加した。同年10月に通算11枚目のオリジナルアルバム「BUTTERFLY EFFECT」をリリースし、11月より「15thライヴサーキット“BUTTERFLY EFFECT”」を開催。2018年3月にシングル「カメレオン・レンズ」を発表した。9月には地元の広島・広島県立びんご運動公園にて野外ライブ「しまなみロマンスポルノ'18」を行う。