違いはうるさいか、そんなにうるさくないか

──最後にアルバムの話を。POLYSICSとThe Vocodersの2枚同時リリースということで、今の気分はいかがですか。

ハヤシ　ようやくできたな、っていう感じ。まず2枚出そうというフラグを立てて、ここまでやってきたんで。

フミ　曲作りから考えるとけっこう長かったね。もともとは「アルバムのために曲を作り出そうか」というところから始まって、その途中にVocodersが生まれて、こっちでも出そう、だったら2枚同時で……と、途中からどんどんハードルが上がっていった感じ。「あれ？ ということは倍作んなきゃいけないんだよね？」みたいな。

──20周年でナカムラくんが加入したことにも驚いたけど、さらに1つバンドが増えるって、ちょっと唖然としましたね。

フミ　私たちも想像してなかった（笑）。ただ、キツくなったとは思ってなくて。よく「ポリとVocoders同時だと気持ちの切り替えが大変じゃない？」って言われるんだけど、全然そういうのはないかな。

ヤノ　ないっすね。実際に動いてみると。

ナカムラ　うん、違いは、うるさいか、そんなにうるさくないかっていうくらい。

一同　ははは（笑）。

フミ　物理的に「え、衣装どっちだっけ？」みたいな切り替えはあるんだけど。気持ちの切り替えっていうのはないんだよな。でも、みんなから必ず言われる。そんなに差があるように感じられるのかな。

──お互いの特性がはっきり違うから。Vocodersはメロディのよさ、ハーモニーのよさが楽しめるし、その分ポリはアイデアの突飛さ、勢いやテンションが大事なんだって改めて確認できる。その対比は強いですよね。

フミ　ああ、なるほどね。

ハヤシ　まあ普通そう思うよね。でもわりと自分たちの気分はフラット。どっちもナチュラルに作ったものではあったね。

POLYSICSでは行けないところも、Vocodersだったら行ける

──VocodersのほうにはPOLYSICSの曲のリメイクと新曲が入っていますけど、そのバランスはどんなふうに？

ハヤシ　リメイクを半分くらいは入れたくて。

フミ　そもそもVocodersの成り立ちは、ポリの曲のリアレンジをして「こういう楽しみ方もあるよ？」って見せていくものだから。その趣旨を伝えたい1stアルバムでもあったしね。

ハヤシ　あと「Part of me」（2019年4月にPOLYSICSとThe Vocodersが同時配信した楽曲）が最初にうまくいったのがよかったね。Vocodersが始まったときに「まず同じ曲を違うアレンジで出せたらいいよね」なんて言ってたんだけど、Vocodersらしさのポイントみたいなものが難しくて。落ち着きどころがまだ定まってなかった。

フミ　アルバムを作ってみて、そこがなんとなく見えた感じ。

ハヤシ　まだド新人だから、定まりきってないけどね（笑）。

ヤノ　でもVocodersがあることで、すごく広がった感じはする。入り口も広がったし、POLYSICSでは行けない、行かないようなところも、Vocodersだったら行けるっていう。その楽しみが増えた気がしますね。

ハヤシ　ね。そういうのがどんどん発展していけばいいなと思う。それこそポリは知らないけど、Vocodersは好きっていう人が増えてもいいしね。

フミ　うん。ポリとは違う間口が開いた感じはするかな。ちっちゃい子供もVocodersだったらイケるかもっていう。

ハヤシ　それでポリも知ってくれたら、なおうれしいよね。