OSHIKIKEIGOと加藤清史郎が語る、ドラマ「君が死刑になる前に」の主題歌「ReTake」に見出す希望 (4/4)

「やり直す」より「撮り直す」のほうが近い

──加藤さんもおっしゃっていましたが、タイトルの「ReTake」、あるいは歌詞に出てくる「リテイク」という言葉には、この曲が抱く希望が表れているように感じます。OSHIKIさんご自身としては、どんな思いを込めましたか?

ドラマの主人公である琥太郎は、もともとドキュメンタリーを撮ることが好きなんですけど、大学生の頃に映画祭に作品を投稿した際にヤラセを疑われ、周りから強い非難を浴びて、その道を閉ざしてしまった人なんですよね。ただ、それから時が経って、友達に誘われてもう一度、ドキュメンタリーを撮り始める。それが「君が死刑になる前に」のスタート地点なんです。「リテイク」という言葉は、単純にもう一度カメラを持って「撮り直す」という琥太郎の動きとリンクすると思ったし、琥太郎にとって「撮り直す」ことは「やり直す」ことなんですよね。しかも、撮るからには、そこには被写体がいる。そして、その被写体こそが「信じたい」と思うあなたである、という。

OSHIKIKEIGO

──「やり直す」ということ自体が、今の時代に対しても優しいメッセージになっていると思います。

個人的には「やり直す」よりは「撮り直す」のほうがニュアンスは近いんですよね。これは僕の個人的な感覚ですけど、「やり直す」だと、過去を悪いものとして捉えすぎているように感じるんです。

──なるほど。

でも「撮り直す」なら、間違えたテイクも自分で消そうと思わない限りはフォルダに残っている。だから、もしこの曲のタイトルを日本語に置き換えるなら、「撮り直す」が僕には合っていますね。

OSHIKIKEIGO

“宇宙人”の出会いがもたらしたもの

──2026年に入ってからは、2月に配信シングルとしてリリースされた「インスタントナイト」も多くの人に聴かれていますし(参照:OSHIKIKEIGOが見つめて、見つめて、見つめた先にあるものは新曲 「インスタントナイト」)、Spotifyが注目の次世代アーティストを紹介する「RADAR: Early Noise 2026」にも選出されました。状況の変化は感じていますか?

ずっと孤独に生きてきたので(笑)、「Early Noise」に選んでいただいたことで、ほかのアーティストと交流する機会が生まれたのは大きいです。「自分以外に宇宙人っているのかな?」と思っていたら「本当にいた!」っていう、そんな気分になりました。僕と同じように、自分の手の中に生み出したいものがある人たち。それはテレビの画面の中にはいましたけど、実際に出会ったことはなかった。でも、「Early Noise」のおかげで出会えました。

──確かに、これまでのOSHIKIさんのインタビューでは憧れの人たちの名前が出てくることが多かったけど、横並びで同じ時代を生きている“宇宙人たち”と出会えたことはすごく大きなことかもしれないですね。

そうですね。すごく面白いことだと思う。

──楽曲が広がっていくことについてはどうですか?

うーん……それによって僕自身のスタンスはそんなに変わらない気もするんですよね。曲をいろんな人に聴いていただけるのはうれしいですけど、それによって一喜一憂することは、僕にはそんなに必要がないかな。大事なのは、曲の感想をもらってどう生かすか?ということなので。

──世代の近いアーティストとの交流が生まれたことで、より「自分は音楽で何をしたいのか?」という部分が明確になったりはしませんか?

「音楽で何をしたいのか」って、難しいですね。僕は「音楽をやりたい」ので。もちろん、その中に細かくいろいろとやりたいことはありますけど、それは刹那的なものというか。僕がよく言っている「現代のDTMと生楽器の融合」というのも、自分のアイデンティティであり大事な部分ですけど、それを永遠にやるために音楽をやっているわけではない。それは最終目標ではなく、手前にある目標なんです。あくまでも、最終目標は「音楽をやること」。そこにそれ以上の深い理由を追い求めるのは難しいし、野暮なのかもしれないなと思います。

OSHIKIKEIGO

プロフィール

OSHIKIKEIGO(オシキケイゴ)

ソングライティング、トラックメイクなどセルフプロデュースで楽曲制作を行うソロアーティスト。2024年にSNSで楽曲投稿を開始し、ユーザーから大きな反響を呼ぶ。2025年4月にユニバーサルミュージックから「モナリザ」でメジャーデビューし、各音楽ストリーミングサービスの主要プレイリストに多数選出される。2025年10月、テレビアニメ「フェルマーの料理」のオープニング主題歌「メイラード」などを収録したミニアルバム「BOARDING PASS」を配信リリース。2026年1月にSpotifyが注目の次世代アーティストを紹介するプログラム「RADAR: Early Noise 2026」に選出された。最新シングルは2026年4月配信リリースの「ReTake」。加藤清史郎の主演ドラマ「君が死刑になる前に」の主題歌としても話題となっている。

加藤清史郎(カトウセイシロウ)

1歳の時に子役デビュー。数々の作品に出演している。2009年、NHK大河ドラマ「天地人」で直江兼続の幼少期を演じ人気に。映画「座頭市 THE LAST」「桜田門外ノ変」「はたらく細胞」やドラマ「ドラゴン桜」「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」「放送局占拠」「相棒 season24」などさまざまな話題作に出演。2026年4月スタートの読売テレビ・日本テレビ系ドラマ「君が死刑になる前に」にて、地上波ドラマ初主演を務めている。