音楽ナタリー Power Push - ORIGINAL LOVE

はみ出し続けた25年間

まだまだ僕はいけるんじゃないかって気がしてる

──もう1曲、このシングルには「こどものなみだ」という新曲が収録されています。

新曲は2曲書くつもりだったので、「ゴールデンタイム」以外にもう1曲書いたら、こういう曲ができてきたんです。

──すごくセンチメンタルで、いい曲ですよね。

いい曲ですよね。70年代のアメリカのシンガーソングライターが作るような曲。僕はそういうのが大好きだし、自分で作ったときに「あ、僕まだこういう曲書けるんだ」って思いましたね。なんとなく「どうしようかなあ」と思いながらギター弾いてたらできちゃった。そんな感じでした。

──最近、田島さんはギターを弾くのが好きだという話を聞いたんですが。

田島貴男

ギターは、弾き語りや「ひとりソウルショー」を始めてからものすごく練習するようになりましたね。ずっとバンドでしかやったことがなかったから、それまでのギターのスタイルでは追いつかなくなったんです。それで、ブルースギターやスライドギターの練習をしたり、最近はジャズもやってますね。それをやることによって、ブルースやジャズをいっぱい聴くようになって、自分の音楽的な広がりもできてきて。ジャズをやるようになってから改めて古いジャズを聴くと、ものすごい完成度だし、どれぐらい画期的な音楽だったかを知ることができて、勉強になってます。

──そういう温故知新的な発見が曲作りにつながるということもあるんですか?

いや、そんなことないですね。知識がついていけばいくほどそれで曲を作ろうとしちゃうんですけど、作曲をするときは、そんな知識とかないほうがいいんじゃないかとも思います。知らなかった頃のほうが曲がパッと作れたというか(笑)。ただ、1個のアイデアを広げていくうえでジャズのコードとかを取り入れていくとか、そういう発展はありますね。弾き語りや「ひとりソウルショー」を始めた結果としては、あれを経てステージのやり方が変わりました。1人でやってたときの方法を今バンドでやってみてるんですよ。そうすると、よりパフォーマンスが過激になるというかさ!(笑)よりとんでもないことになるということがわかって、それが今はうれしくて。バンドのORIGINAL LOVEも盛り上がってるんです。

──あれを見ると、若いバンドも、25年経ってあそこまでやれるんだという励みにもなると思うんですよ。けっこうみんな、知識や情報量に翻弄されながら音楽をやっていると思うんですけど、そこを踏まえつつも振り切ってはみ出していけるかっていう。

田島貴男

それは僕は意図的にやってるわけじゃなく、それこそORIGINAL LOVEの前身だったTHE RED CURTAINの頃から同じで、はみ出したままなんですよ(笑)。今もそうです。こないだの「Love Jam」もそうでした。昔のほうがもっとはみ出してたかもしれない。今は逆にはみ出し方をコントロールできてて、冷静なんですよ。冷静になると、もっと余計にはみ出せるし、もっとインパクトを強くできるんです。それは「ひとりソウルショー」をやって体得できたテクニックでした。「ひとりソウルショー」って、あらゆる自分の仕事の中で一番きついんですよ。ギターも歌も自分でやんなきゃいけないし、お客さんのほうも見なくちゃいけない。体力的にも精神的にも本当にきついんです(笑)。でも、それが今やっと面白くなってきてるし、そこで得たことをバンドに持って帰れるんで、本当に楽しいんですよ。

──1人だけじゃなく、バンドも面白くなって。一挙両得ですね。

そうですね。こういう遠近感の付け方や楽しみ方ができるんだなっていうところはあります。バンドでもっと広がっていける余地が見えた。

──それを受けての「ゴールデンタイム」って新曲だったんで、これはまた何回目かの黄金時代が来るんじゃないかと思えてワクワクしました。ご自分の理想としてはこの先のORIGINAL LOVEはどうなっていくといいと思われますか?

うーん。まだまだ僕はいけるんじゃないかって気がしてるんですよ。やり方次第でもっとお客さんも増えていくんじゃないかと思うし。僕は、自分が5年後どうなりたいかとかを考えるタイプの人間じゃないんですけど、これからはちょっと目標でも立ててみようかなとも思ってるんです。

僕はまだ音楽を信じていられる

田島貴男

──若い世代のリスペクトと、ずっと聴いてきた人たちの熱い思いとがうまく回り始めているように感じます。

ここに来て実感してるのは「自分が予想したよりも音楽って変化しないな」ってことなんです。洋服とかもそうですけど、変わるところは変わりつつも、ジージャンとかジーパンとかってあんまり変わってない。若い人たちを見ても、みんなアディダス履いてるし。20~30年前の僕らはもっと未来はめちゃくちゃ進化して、2016年頃はみんなP-ファンクみたいな格好してるんじゃないか? みたいなことを思ってましたよね(笑)。

──そうですね。そういう未来予想図もありました(笑)。

価値観とか、音楽がよしとされる感覚は、そんなに変わってないですよね。例えば今の若い世代でも、スカートの澤部(渡)くんとかceroの髙城くんとか、「僕と同じ世代なんじゃないか?」って思えるくらい、めちゃくちゃ昔の曲をよく知ってる。古い音楽の捉え方は違ってても、僕が昔やってたのと同じ価値観を新しく捉えなおして音楽を作ってるようなところがある。そこがわりと予想外だった。もし、今という時代がそうであるなら、「僕はまだ音楽ができるな」と最近思うようになりました。前は「この音楽いいね」という感覚が新しい時代の人からはなくなってしまうかも、と思ってたんですけど、そういうことはなかった。カッコいいロックやポップスはずっとカッコいいし、それを若い人たちもちゃんと感づいてくれるんだなって。それがすごくうれしいし、僕まだ音楽を信じていられるって最近思えるんです。

──そう言えるのは、田島さん自身がカッコよさを信じて音楽を作り続けてきたからでもあるでしょう。

僕はねえ、そんなこと考えてないんだよ(笑)。ただじたばたやってきただけで。若い人たちを意識しながら曲を作ったことなんか1回もないし、自分にとって最良のものを作らなきゃということでやってきただけなんですよ。

──最後に1つだけいいですか? このジャケット、最高ですよね!

これね(笑)。「ゴールデンタイム」ってタイトルなんで「テレビの司会してるのとかどう?」みたいな冗談が打ち合わせで出たんだけど、デザイナーの木村(豊)くんが興味を持ってくれて、それでやりましょうかとなりました。

──田島さんは司会者に扮しているだけでなく、CDケースを開けるとレポーターのコスプレもしていて(笑)。

そう! 予想以上にハマってて。ワハハハ(笑)。けっこう大変そうだと思ってたら、撮影も30分ぐらいですぐ済みました。ハマりすぎてて、めっちゃ面白かった。この格好しただけでもう「バッチリです!」みたいな(笑)。

ニューシングル「ゴールデンタイム」 2016年6月1日発売 / [CD+DVD] / 2160円 / XQKP-1008 / WONDERFUL WORLD RECORDS
「ゴールデンタイム」
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CD収録曲
  1. ゴールデンタイム
  2. こどものなみだ
  3. 朝日のあたる道 in a tuxedo
  4. ゴールデンタイム(三浦康嗣(□□□)Remix)
DVD収録内容
  • ゴールデンタイム(MV)
  • ひとりソウルショウのテーマ~フィエスタ(Live 2015年11月29日 渋谷 TSUTAYA O-EAST 田島貴男「ひとりソウル・ツアー 2015」より)
  • Hey Space Baby!(Live 2015年11月29日 渋谷 TSUTAYA O-EAST 田島貴男「ひとりソウル・ツアー 2015」より)
ORIGINAL LOVE 25周年 アニバーサリーツアー
  • 2016年6月18日(土)宮城県 Rensa
  • 2016年6月19日(日)神奈川県 横浜関内ホール
  • 2016年6月25日(土)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2016年6月26日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2016年7月2日(土)新潟県 新潟LOTS
  • 2016年7月3日(日)岩手県 岩手県公会堂
  • 2016年7月9日(土)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
  • 2016年7月17日(日)福岡県 福岡市民会館
ORIGINAL LOVE(オリジナルラブ)

1985年結成のバンド・THE RED CURTAINを経て、1987年よりORIGINAL LOVEとしての活動を開始。1991年7月にアルバム「LOVE! LOVE! & LOVE!」でメジャーデビューを果たす。同年11月発売の2ndシングル「月の裏で会いましょう」がフジテレビ系ドラマ「BANANACHIPS LOVE」の主題歌に採用され全国的に注目を集めた。その後も「接吻 kiss」「朝日のあたる道」などのシングルでヒットを記録し、1994年6月発売の4thアルバム「風の歌を聴け」はオリコン週間アルバムランキング1位を獲得。以降もコンスタントに作品を発表し、柔軟な音楽性を発揮している。近年はバンドスタイルでのライブのみならず、田島貴男1人での「ひとりソウルツアー」や「弾き語りライブ」も恒例化している。2016年6月には、メジャーデビュー25周年記念シングル「ゴールデンタイム」をリリースした。