もっともっと貪欲に色を出せていけたら

──今作は激しいロックチューン「アオイトリ」、打ち込み主体の3曲目「脳内ポップコーン」、そしてラストの「Carnation」へとつながる変化が面白いです。NAOTOさんの言う「とっ散らかってる」ようなイメージから、こうやって混沌なく作品としてまとめ上げる手腕はすごいですね。

NAOTO　あくまで結果、ですよね。やりたい曲をやっていったらとっ散らかったから、それをうまい具合にまとめたっていうだけで。さっきも言いましたけど、いろんなことに興味があるし、やってみたいので。

──それをファンが喜んでくれるならうれしい？

NAOTO　ラッキーだなと。

──そのときどきの気持ちに素直に従っているからこそ、毎回色の違う作品になっていくと。ORANGE RANGEって捉えどころがないって言われませんか？

NAOTO　めっちゃ言われますし、自分でもそう思いますね。作ってるときは一生懸命だけど、2年後とかに聴き返すと「あれ？ なんか恥ずかしい気もするなあ」って。特に近年の作品に対してはそう感じますね。10年ぐらい経てばひと周りして面白がれるんだけど。

HIROKI　そのときそのときでモードが変わったりはしますけど、同じところを回ってるんですよね。人が喜ぶから、面白がってくれるからやる意味を持つと思える瞬間もあれば、「いや、そうじゃないな。自分が楽しまないと伝わらないな」と思ったり。そういうことの繰り返しでやってる気はします。

──今回、話を聞いてて感じたんですけど、なんだか5人とも飄々としてますよね。

HIROKI　ツアーの規模感とかフェスの出順とかにもあまりこだわりがないし、周年に関してもこれまであまり考えてなくて10周年のときは段取りを組んでできなかったところがあったから、15周年はちゃんとやろうってことで8年ぶりの武道館公演を発表したら、ファンのみんながすげえ喜んでくれたんですよ。もちろん、これまでもお客さんのことを見ながらやってきたつもりなんですけど、こんなにも愛されていたんだなっていうことに改めて気付きましたね。うちらが「ありがとう」を言うつもりで始めたツアーだったのに、逆にみんなから祝ってもらえたということはありがたかったし、これからの活動の自信にもなります。

──15周年を越えて、周りから背中を押されるような部分もあったり？

NAOTO　周りには本当に恵まれていて、これはもう財産と言うか。このチームだからこそ一緒の方向を見られているから、例えズレが生じることがあっても歩幅が一緒だから安心できるし、音楽に対して貪欲に取り組めるんですよね。

──そういう思いがあっての「UNITY」なんですね。

NAOTO　そうですね。長くかかっちゃいましたけど。

──今後、ORANGE RANGEが見据えているものは？

YAMATO　最近はアジアにもちょくちょく行かせてもらってるんですけど、まったく知らない土地でライブをやることは本当に勉強になります。日本でも47都道府県を回りましたけど、行ったことのない街もまだたくさんあるし、そこで待ってくれている人たちがいるので、そういう人たちに届けることを優先しながら、もっともっと貪欲にORANGE RANGEの色を出せていけたらなと思います。

──11月から始まるレコ発ツアーもライブ会場としては比較的珍しい場所を多く周りますけど、それはこれまでに行ったことのないところに行きたいっていう気持ちの表れなんですね。

YAMATO　そうです。東京だけでもいろんな会場があるし、東京に限らずほかの県でももっと細々と周りたいですね。細かく回るとファンだけじゃなく、その土地の人たちも来てくれるんですよ。「ORANGE RANGE、名前は聞いたことあるぞ」ぐらいの感覚の人たちも多いし、お祭りみたいな、面白い雰囲気の中でツアーをやらせてもらってます。