とっ散らかった「UNITY」解説
──1曲目の変拍子バリバリなロックチューン「アオイトリ」のインパクトがすごいです。これはどういうところから着想を得たんですか?
NAOTO これはもともと映画のタイアップの話があって、台本を読んでみたら展開が面白くて奇抜な映画だと思ったんですよ。そこから刺激をもらってこういう曲になりました。
──歌詞も映画からインスピレーションを受けて?
HIROKI そうですね。台本を読んでイメージしていった感じです。
──従来のORANGE RANGEのイメージとは違って、かなりクールな世界観だと思いました。
HIROKI そこが僕自身も面白かった部分で。楽曲自体もこれまでにありそうでなかったタイプだし、映画もサスペンス要素があって独特な雰囲気の内容だったんで、この世界観をそのまま取り入れて作れば自ずとこのバンドにとって新しいものになるんじゃないかというのはありましたね。
──リズム隊のYOHさんとしてはどうですか?
YOH 最初の話ともつながるんですけど、このバンドは分業的な要素が強くて、NAOTOが曲を作るときは、自分はいいベースを録ることだけを考えてます。
──普段からそういうスタイルなんですね。
YOH 自分がベースを弾くときはそうだし、打ち込み主体の曲のときはライブでどういうアプローチで演奏するかを考えて、そのときどきのドラマーと共有していく感じですね。
──そう考えると、YOHさんはかなり大変なポジションにいますね。
YOH まあ、あまりスポットライトは当たらないですけど(笑)。メンバーに心配をかけたくないので、自分から「大変だ」と言うことはないんですけど、今はそれぞれのドラマーのプレイスタイルが見えてきたので楽しんでやってます。
──作品の最後を飾る「Carnation」はYOHさん制作の楽曲ですが、これは47都道府県ツアーの影響が大きかったとか。
YOH 曲を作ってたのがちょうどツアーの最中だったんですよ。お客さんが笑ってる顔、泣いてる顔、聴き入ってる顔、いろんな表情をステージから見ることができて、みんなにしっかり曲を聴いてもらえていたことを改めて実感するライブが続いたし、15周年という数字のパワーもあると思うんですけど、感謝の気持ちを曲に込めたいなっていう思いがあって。でもそれだけではなかなか曲が広がらなかったので、自分の身の回りにあった出来事から感じた要素も入れていくことにしたんです。それで、今年の頭にあった友人の結婚式で感じた友人が両親に向ける思いと、自分がファンの人たちに向ける思いとの間に重なる部分からパワーを借りました。あと、東日本大震災がいろいろと物事を考えるきっかけにもなっているので、被災地で出会った人たちとも共有できる曲にしたいと思って、そこで見た風景を思い出しながら完成させました。
──カーネーションと言うと母の日のイメージが強いですけど、花言葉は「無垢で深い愛」なんですね。
YOH それも調べました。自分のイメージからは離れてない言葉だったし、カーネーションは“贈り物”っていう印象が強いのでこの言葉を選びました。そういう要素がすごく強いツアーだったし、これまで聴いてきてくれた人たちに向けて。
──とてもストレートな歌詞で、ファンに届くことを強く意識しているのが伝わってきました。
YOH 1つひとつの言葉を選んだ理由もしっかりしていないと自分の中で腑に落ちなかったんです。NAOTOが作る曲のようなポップで明るい言葉も好きだし、表現していて楽しいからそういう詞を書くこともあるんですけど、今回はこれまでに触れてこなかった部分を歌いたくて。
──ボーカルの3人はこの曲とどう向き合ったんでしょうか?
RYO 歌詞を作る段階からYOHとはいろいろ話し合いましたね。今YOHが話したように、どんなに時間がかかっても腑に落ちるところまでいきたかったので、そういう姿勢で曲に入っていきました。
YAMATO かなり「ああでもない」「こうでもない」って言いながら作りました。レコーディングでも「今のでOKだけど、もう1回歌ってみようか」とか。まさかこんな歌詞を書いてくるとは思ってなかったので、YOHが描いているイメージに表現を近付けようと一生懸命な自分がいましたね。
HIROKI でも、YOHが表現したいものに歩み寄ろうとしても、そこがなかなか難しくて。YOHの中でもいろんな要素がたくさん詰まった曲で、1つの限定されたイメージでもなくて。でもそれは言い換えるとみんなが共感できるような言葉がちりばめられている歌詞で、それぞれが思い描く景色が正解だと思うから、自分なりの解釈で歌っていけばいいのかなと最終的に自分の中で落とし込んでいきました。
──この曲には三線の音が入っていますね。
YOH これは最後に加えたんですけど、これまでは「沖縄のバンドだから沖縄っぽく」っていうことが自分の曲では安易にできなくて。でも、沖縄であったツアーファイナルのことを思い出して、三線を入れることを決めたんですよね。だから、あの日がなかったら、あのツアーがなかったら、こういうチョイスはしてなかったかもしれないです。
──これはORANGE RANGE15年の歴史の中でも珍しいタイプの曲なんですか?
YAMATO YOHがほとんどの楽器を弾いて歌詞を書いてというのは珍しいですね。
YOH みんなに曲を渡すまでかなりの時間がかかったかもしれないです。
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もっともっと貪欲に色を出せていけたら
- ORANGE RANGE「UNITY」
- 2017年11月1日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
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[CD]
1620円 / VICL-64866
- 収録曲
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- アオイトリ
- チラチラリズム -UNITY ver.-
- 脳内ポップコーン
- Second Hand
- Carnation
- ORANGE RANGE「LIVE TOUR 017-018」
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- 2017年11月22日(水)東京都 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
- 2017年11月24日(金)京都府 ロームシアター京都
- 2017年11月26日(日)群馬県 藤岡市みかぼみらい館
- 2017年12月1日(金)岩手県 二戸市民文化会館
- 2017年12月3日(日)秋田県 由利本荘市文化交流館 カダーレ
- 2017年12月9日(土)長崎県 長崎ブリックホール
- 2017年12月10日(日)佐賀県 鳥栖市民文化会館
- 2017年12月12日(火)鹿児島県 宝山ホール
- 2017年12月15日(金)東京都 中野サンプラザホール
- 2017年12月16日(土)東京都 中野サンプラザホール
- 2017年12月22日(金)富山県 クロスランドおやべ
- 2017年12月23日(土・祝)滋賀県 守山市民ホール
- 2018年1月7日(日)大阪府 オリックス劇場
- 2018年1月8日(月・祝)兵庫県 郷の音ホール
- 2018年1月13日(土)愛知県 アイプラザ豊橋
- 2018年1月14日(日)三重県 シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢
- 2018年1月20日(土)静岡県 裾野市民文化センター
- 2018年1月21日(日)埼玉県 東松山市民文化センター
- 2018年1月27日(土)山口県 スターピアくだまつ
- 2018年1月28日(日)岡山県 ロマン高原かよう総合会館
- 2018年2月3日(土)栃木県 小山市立文化センター
- 2018年2月4日(日)神奈川県 厚木市文化会館
- 2018年2月11日(日・祝)高知県 県民文化ホール オレンジホール
- 2018年2月12日(月・祝)愛媛県 松前総合文化センター
- ORANGE RANGE(オレンジレンジ)
- 沖縄出身・在住の5人組バンド。中学の卒業パーティをきっかけに結成される。2001年に現在のメンバーがそろい、地元・沖縄にある米軍のライブハウスを中心に活動を始める。2002年2月にミニアルバム「オレンジボール」をインディーズから発表。以後、沖縄以外でのライブも頻繁に行うようになり、2003年6月にシングル「キリキリマイ」でメジャーデビューを果たす。続く2ndシングル「上海ハニー」がオリコン週間ランキング5位を記録。その後も「ロコローション」「花」「ラヴ・パレード」「キズナ」など、数々のヒットを飛ばす。2010年7月に自主レーベル「SUPER ((ECHO)) LABEL」を設立し、10月にアルバム「orcd」を発表。2012年2月にはSPEEDSTAR RECORDSと提携を開始し4月にアルバム「NEO POP STANDARD」を、2015年8月にはニューアルバム「TEN」を発表した。2016年7月に結成15周年を記念したコラボベストアルバム「縁盤」をリリースし、9月から初の47都道府県ツアーを開催。2017年11月に5曲入りの新作「UNITY」を発表した。
2017年11月6日更新