へんちくりんな曲なので先に出そう

──先日の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」で「SUSHI食べたい feat.ソイソース」を聴いたんですが、ものすごい破壊力というか、インパクトがある曲だなと思いました。あの場では、初めて聴く人が多かったと思いますが、盛り上がってましたね。

YAMATO（Vo）　お客さんがすごかったですね。ファンクラブツアー（「RANGE AID+ presents "RWD← SCREAM 015"」）からプレイしていて、ライブを重ねるうちに「SUSHI食べたい」の手応えを感じるようになって。そんなときに初めてフェスでやったんですよ。最初はファン以外が聴いたらどうなるだろうと思ったけど、お客さんが一体となっていたから、新曲だけどすぐに反応して歌ってもらえる曲なのかなと。

HIROKI（Vo）　まあ「寿司食べたい」では煽るというより、淡々と寿司への愛を歌っておけばいいのかなと（笑）。それでお客さんの寿司愛を確かめようと。

──寿司愛を確かめる？

HIROKI　はい（笑）。歌ってる中でウチらの“寿司愛”とオーディエンスの“寿司愛”がひとつになって、思いが重なる瞬間があるから。それで寿司愛を確かめるんですよ。ずっと「寿司食べたい」と歌ってるだけだし、シンプルだからこそすぐに歌ってもらえるのかなと。

RYO（Vo）　予想以上に盛り上がってたから、それに乗っかって騒ごうと思ったけど抑えました。

──乗ってもいいじゃないですか（笑）。

RYO　いやいや。こっちが煽るというより、お客さんが自由に踊ってくれたらいいなと思って作った曲だし。「お客さんがこう反応したらいいなあ」の最上級の形が、フェスで体感できたんですよ。

YOH（B）　自分たちの面白おかしい表現を、自由に楽しんでもらえたのはうれしいですね。真に受けないと言うんですかね。「何言ってんだろ、この歌詞」って考えながら、音に反応してくれたのもよかった。

──「寿司食べたい」は先行配信されましたが、アルバムの中で早めの時期にできた曲なんですか？

YAMATO　そうでもないかな。アルバムを制作する前の段階で20曲以上あって、その中でもへんちくりんな曲だったので、じゃあ先行で出そうかって。

──これはNAOTOさんが作った曲だそうですね。

NAOTO（G）　地方ツアー中に、本当に寿司が食べたかったんですよ。シャワーを浴びながら、「寿司食べたいー♪」と歌ったのがきっかけです（笑）。

──周りのメンバーに聴かせたときの反応は？

NAOTO　やっぱり笑われました。まあ、いろんな曲を作った中での1曲だったので、笑われたということは反応がいいんだなって。

耳が疲れるから10曲で！

──アルバム自体はどんな作風にしようと思ったんですか？

NAOTO　今回は10曲でどれだけバラエティ感を出せるかということですね。個人的な感覚になるけど、アルバムってトータルで30分から40分のほうが聴きやすいから、そうするとだいたい10曲入りになる。それで「10曲でいいですか？」と提案したら満場一致でOKでした！

YAMATO　いやいや、だいぶ揉めたでしょ（笑）。何回ミーティングしたよ？

HIROKI　NAOTOに10曲と言われたけど、作るうちに曲に対して愛情が生まれてくるから、ほかの曲も入れたくなるじゃないですか。すると、10曲も11曲も変わらないんじゃないかと思うけど、どうしてもNAOTOが折れないものだから。お告げとかあったのかなと。

YAMATO　そしたら「耳が疲れるから10曲で」と念を押されて。

──NAOTOさんはサクッと聴けるアルバムにしたかった？

NAOTO　そうですね。そのほうが1曲1曲じっくり聴いてもらえるかなと。

──この10曲は厳選に厳選を重ねた楽曲だと。

YAMATO　はい。ほんとに何度もミーティングして、「この曲は欲しい」「この曲は外そう」って意見が分かれることもありました。今作が10枚目のアルバムなので、そんな節目を踏まえた上でこの10曲を選びました。

──収録曲を選ぶ上でバラエティ感以外に意識したことは？

YAMATO　例えば、冬っぽい曲はとっておこうとか、そういう外し方ですかね。今しか出せないというか、このあとにこの曲を出したらダメなんじゃないかっていうのとか。EDMとか僕らの中での流行も踏まえて……。みんな飽き性ですからね。

──今作を1回目に聴いたときは捉えどころがないというか、バラバラな曲が詰まってる印象でした。でも1回目より2回目、2回目より3回目と聴くうちに不思議なまとまりがあるアルバムだなと感じてきて。

HIROKI　メンバーそれぞれが持ってきた曲が散りばめられているから、単純にその人のやりたいものが出てる。だけど、歌って演奏するのは5人だから、そういうことでまとまりが出ているんだと思う。あと、ほかのバンドだと散らかって聞こえるかもしれないけど、ORANGE RANGEを聴いてきた人は、変な曲に免疫がある人が多いから。「レンジらしいよね」って感じる人も多いだろうし、僕たちもそのおかげで好き勝手にやれてるところもありますね。積み重ねてきたものがこの1枚になったと思うし、無理やり感はないです。「すごいだろ？ 引き出し多いでっせ？」ってアピールするような感じではないんじゃないかな。