ライブ後に私だけ呼ばれちゃう妄想

──新條先生の作品には魅力的なキャラクターがたくさん登場しますね。キャラクター作りのこだわりはどのようなところにありますか？

新條　男性キャラは特に魂を込めて描いてます。やっぱり女の子にとって男性キャラは憧れじゃないとダメなんで。例えば「快感▼フレーズ」の大河内咲也は絶対にギャグっぽくは描かないですし。

小野　確かに！

新條　ギャグも言わせないし、完璧なイメージを絶対に崩しちゃダメだと思って。だから変な話「快感▼フレーズ」を描いているときはお笑い番組とか一切観なかったんです。違う世界に気持ちが行くのが嫌だったので。

──すごくストイックなんですね。

新條　だから咲也が着てそうな服をわざわざ見に行ったりもしましたし。やっぱり咲也は自分の憧れでもあったので妄想しちゃうんですよ。ライブ中に私のところへ手を差し伸べて「来いよ」とかって絶対にないのに、そういう場面を考えながら描いてました。

小野　ライブが終わったあと、外で待ってたら私だけ呼ばれちゃうみたいな（笑）。おそらくみんなそういうふうに妄想してたと思います。

新條　そう、自分だけが特別なんです。そういうのをなんとかマンガにできないかと思って描いていたのが「快感▼フレーズ」でした。

「やめてやめて！ ……いや、もっと」

──マンガには“俺様系”の男性キャラがよく登場しますが、小野さんはそういうキャラクターに惹かれてましたか？

小野　新條さんの描く男性は比較的身長が高いじゃないですか。私は身長が小さいので見上げてみたいなって思ってました。

──背の高い男性で、さらに俺様で……。

小野　「どうすることもできない。私、どうすることもできないよ？」みたいなシチュエーションですね。でも「やめてやめて！ ……いや、もっと」みたいに思ってる（笑）。

新條　背が低い女の子は背が高い男の子が好きなんですよね。

小野　その通りです！

新條　だからなるべく身長差を出すようにしてました。あと手の大きさも全然違いますし。

小野　手が！ エロいんですよ!! どの作品を読んでもエロいんです。私、手フェチなのですごく気になってました。

新條　女の子は手フェチの人が多いですよね。

──大きさですか？

新條　大きさだったり、わざとガッとつかませたり。

小野　くぅーっ！（悶える）

新條　男性はやっぱりパワーなんですよ。だからグイッと引き寄せたりね。

小野　してほしいと思っちゃいますね。

負けず嫌いなので誰よりも早くできるようになりたい

──今回、小野さんが初のアルバム「ERENA」をリリースするということで、アーティストとしての小野恵令奈の印象についても伺いたいと思います。新條先生は小野さんの楽曲はお聴きになりましたか？

新條　はい。アルバムを聴かせていただきました。あまりの歌のうまさにちょっとびっくりしましたね。あと表現力が幅広い。

小野　おっ、おおっ！ 本当にありがとうございます！ すごくうれしいです。

新條　1番は女の子っぽい歌い方なのに2番になるといきなり男っぽい感じを見せたりね。声優さんとかやらないかなと思うくらい声がキュートでした。

小野　もうそんなに褒められてしまって……今日無事に帰れるかな。

新條　あははは（笑）。あと英語の発音もうまかったです。おそらく耳がすごくいいんだと思います。

小野　記憶力はよくて1回聴いたり見たりしたものを覚えるのは早いかもしれないですね。負けず嫌いなので誰よりも早くできるようになりたいと思ってるところはあります。

──歌詞も小野さん本人が書いてるものが多いんです。

新條　そうそう、歌詞もかわいい！ それでいてちゃんと世界観もあるしかわいいときは本当にかわいらしく、カッコいいときはガラッと変わって入り込ませる。あの幅の広さが素晴らしいと思いました。

小野　うれしいんですけど憧れの人にここまで絶賛されてしまうのは恐縮しちゃいます。

新條　でも本当にびっくりしたんですよ。声優とか絶対にやってほしい。

小野　よく「変わった声をしてるね」って言われて小さい頃はそれがコンプレックスだったんですけど、今は逆にそれを楽しんでるところはあります。少年の声とかもがんばったらできるかも。

新條　でもあの歌い方だったら絶対に“萌え声”のほうがハマってると思う。

小野　もしかしたら私の中に眠ってるかもしれませんね（笑）。