食欲、睡眠欲の歌

──2曲目の「チョコレイトをちょうだい」はジャニーズ感が満載だなと。

斉藤　そうですね。KinKi Kidsの「やめないで,PURE」感がありますね。でも、僕ら的にはWANDSテイストでもあるんです。「時の扉」的な。

サティフォ　歌詞はやっぱりこじらせた中学生感がありますね。僕はホントにモテなくて、中学時代のバレンタインデーはチョコをもらった経験もないんです。そういうイケてない時代のバレンタインソングを書きたくて。男性目線のバレンタイソングってあまりないなと思って、1年前くらいから曲の構想はあったんです。弾き語りでデモを作って、これをWANDSとか初期のB’z的なアレンジにしたいと思って斉藤にオーダーしました。

──3曲目の「favorite」はラップもの。純然たるヒップホップというより、まさにJ-RAPなアレンジだなと。歌詞は山崎まさよしの「One more time,One more chance」のフレーズを引用していて。

サティフォ　「欲望」をアルバムのテーマに掲げたのに、まだ食欲の曲がないなと思って作りました。で、どういう曲にするかを考えていたら、食べ物についてラップしたいなとアイデアが浮かんで。m-floとか日本のR&Bやヒップホップ感を出したいなと。

斉藤　デモの時点ではすごくスウィングしてたんですよ。それをあえて跳ねないようにアレンジしました。

──4曲目の「恋はすいみん不足」はCOMPLEXとSEKAI NO OWARIをミックスしたようなサウンドだなと（笑）。

斉藤　この曲が一番いろんなテイストが入ってますね。COMPLEXとかZIGGYとか今の4つ打ちのギターロックとか。

サティフォ　睡眠欲の曲を作ろうと思って。僕は寝てるときにいろんな夢を見るんですけど、夢に女優の方が出てくると、その人のことがめっちゃ好きになったりすることってありますよね？

──ありますね。女優に限らず。

サティフォ　そうそう。そういう「早く寝て、またあの人に会いたい！」みたいな気持ちを歌詞にしようと思って。サウンドは、僕の好きな1990年代の日本のバンド……初期のユニコーンあたりを意識しました。ギターソロはhideさんの「TELL ME」にインスパイアされています。

目指すはアイドル

──ラストの「欲望」ではJ-POPに加え、1980年代の洋楽のポップスやフュージョンなど多彩な音楽の要素を1曲に盛り込んでいます。今作を聴いて思ったのは、ONIGAWARAの音楽性は1980年代から2010年代までのテイストを網羅しているなということで。

斉藤　確かにそう言われたらそうですね（笑）。この曲のアレンジはもっとシンプルにする予定だったんですけど、アレンジ作業中にやりたいことが増えて、どんどんフュージョンっぽい要素も入ってきたんです（笑）。

──歌詞にはどういう思いを？

サティフォ　前作のリリースとそのツアーを経て、お客さんのパワーをすごく感じたんです。それに対するアンサーソングを作りたかったというか。ただ、それだけだと小さなコミュニティの歌になってしまうので、ここからさらに多くのお客さんを獲得したいという思いを歌詞に込めました。

──最後にユニットとしての今後の展望を聞かせてください。

サティフォ　僕は今年、アイドルになることを目標にしようと思っていて。それこそが究極のJ-POPだと思うので。

斉藤　世間的に評価されてる音楽って結局どこかでアイドル視されるじゃないですか。そうするとJ-POP＝アイドルという結論になるので。そのロマンを追求しながら、まだ誰も歩いていない荒野を2人で突き進んでいきたいと思います。この「欲望」がその手がかりになればなと。