ナタリー PowerPush - ONE OK ROCK

Takaが語る最高傑作シングル「The Beginning」の“ツボ”

メロディは全く苦労しない

──メロディについてはどうですか? 歌詞ほど苦労はしない?

はい、メロディは全く苦労しないです。

──そう言い切れるのはすごいですね(笑)。

それだけが僕の得意技だと思ってるんです。だから1曲に対して何パターンも作ったりするんですよ。Toru(G)が作ってきたデモに対しても、Toruがいいって言うまで「これは? これは?」って感じで別のメロを乗っけていったり。

──メロディを作るときには、自分の声で歌うということありきで考えてるんですか?

いや、全く想像してないです。自分の声とか歌い方を意識しないほうが逆に広がる。あえて自分らしくないものを乗っけるように、最近は特にしてます。

──それは意外ですね。例えばこの「The Beginning」という曲は、Takaさん以外のボーカリストが歌ったら成り立たないくらい、声や歌い方ありきの曲だと感じてたんですが。

マジすか。

──歌う人を選ぶメロディだという気がします。

それはあるかもしれないですね。僕はやっぱ洋楽が好きだから、海外のボーカリストが歌ってるのをイメージして作ってるところもあって。例えばNICKELBACKに歌ってほしいとかは思う。そういう感じで作ってるかも。

──自分が憧れてるアーティストに曲を提供するみたいな……?

それ出来たら、もちろんうれしいですよ。

──なるほど。自分が歌うことを想定しないで、高いレベルに視点を置いて作っているから、いざ自分で歌うときに苦労するのかもしれないですね。

ああ! 多分そうだと思います(笑)。

とんでもなく高い頂点に登りたい

──お話を伺っているとTakaさん自身、このシングルにはかなり手応えを感じているようですね。バンドとしてのひとつの到達点というか。

はい、これが作れて良かったです。なんかね、なんていうんだろう、いつか「ONE OK ROCKって別にもう良くなくね?」って……。

──世代交代みたいなこと?

例えば今僕らの上の世代の人が「あの人すごいよ」って言う人たちのこと、僕は全てがいいとは思えないんですよ。だから僕らもいつか逆の立場になるだろうし、次の世代がさらに日本の音楽のレベルをまた上げて、そいつらが日本の音楽を引っ張っていくんだって思ってます。だからこそ、自分がカッコいいって思うものを作り続けたくて。今の自分たちが「これちょっとな……」って思いながら世の中に媚びて曲を作るんだったら、それこそ音楽やってる意味がない。そういう感覚なんですよね。

──将来後悔しないようにって? 今からそんなこと考えてるんですね。

最近めっちゃよく考えますね(笑)。あの……すごい時間短いんですよ。年齢的体力的にも30歳を超えたら今みたいなパフォーマンスは絶対多分できないし。

──なるほど。

もちろんその年齢でしかできないカッコいいことっていうのもあるだろうけど、僕らが今理想とするもの、求めてるものっていうのは、50歳、60歳になって出すようなものじゃないんです。いかに自分たちの設定した高いレベルを超えて、あとはバンドとしてどう下ってくかだと思うんです。

──もう下っていく心配を?(笑)

いや、僕はとんでもなく高い頂点に登ってから下っていきたいんですよ。残された時間が1時間しかないなら、30分で頂点に行って30分で降りてこなきゃいけないから。だから普通の人が30分で行ける頂点よりもはるか上まで登って帰ってきたい。バンドとして圧倒的なところに行きたいんですよね。

生々しい感情をしっかりと伝えたい

──それにしてもONE OK ROCKはずっと快進撃を続けてますよね。

いや、まだまだ攻めていきたいっていう気持ちはあります。海外でももっと活動していきたいし。

──Takaさんは一貫して自己評価が低いですよね(笑)。

最初はバカにされてましたからね。それが今は手のひらを返したような人たちもいるし。そんなバンドってほかにあるのかなって思うんです。でもそんなふうに変わる可能性があるんだったら、自分たちとか周りの人が「それは不可能だろう」って思うようなこともいつかできるんじゃないかってどっかで思ってるんですよね。

──それはもっと大きな会場でライブをやりたいということだったりします?

そうですね。でも同時に、デカいだけが全てじゃないっていうか。もちろんデカいところでやりたいし、それ以外にもっと大切なこともあると思うし。

──大切なことっていうのは?

自分たちの生々しい感情を来てくれた人たちにしっかり伝えるっていうことですね。そこを追及したいっていうのはすごく思います。

──でも大きな会場になるほど、全てのお客さんにきちんと伝えるのは難しくなりますよね。

バンドさんによってはデカいところでやりたがらないのもそれがあるからだと思います。「デカすぎる」とか「音が悪い」とか「伝わらない」とか。でも僕はそこを打破していきたいんです。大きい会場で音が悪くて伝わりづらいってことは確かにあるかもしれないけど、そこに勇気を持って突っ込んでいくべきだと思ってるんですよね。だから今後もどんどん大きいところでやっていきたいし。

──例えば東京ドームとか?

はい、僕たちがもっと伝えられるようになったら目指したいと思ってます。

──じゃあまずは9月から始まるライブハウスツアーですね。

そうですね。今回の「The Beginning」は、このツアーのために作ったシングルなんで。3曲ともツアーの主役にしたいって思ってます。カップリングと思わずにこれを聴いて、ツアーに遊びに来てもらえたらすごくうれしいですね。

iTunes - ミュージック - ONE OK ROCK「The Beginning - Single」

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ONE OK ROCK(わんおくろっく)

2005年結成。Taka(Vo)、Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)の4人からなるロックバンド。エモ、ロック、メタルの要素を取り入れた骨太なサウンド、激しく熱いライブパフォーマンスで若い世代を中心に支持を集める。2007年4月に1stシングル「内秘心書」を、同年11月に1stアルバム「ゼイタクビョウ」を発表。2010年11月に初の日本武道館公演を実施する。さらに2012年1月には、5thアルバム「残響リファレンス」を携えたツアーのファイナルとして横浜アリーナ2DAYS公演を大成功に収めた。同年8月に映画「るろうに剣心」の主題歌に起用されたシングル「The Beginning」をリリースし、その後台湾公演を含む全国ツアーを実施する。