音楽ナタリー Power Push - 大原櫻子
ビバ!新しい扉を開く2ndアルバム
大原櫻子が2ndアルバム「V」(ビバ)を6月29日にリリースする。
前作「HAPPY」から約1年3カ月ぶりとなる本作には、コロプラ「白猫プロジェクト」のCMソング「真夏の太陽」「大好き」、「映画ちびまる子ちゃん」の挿入歌「キミを忘れないよ」といったシングル曲を含む全13曲を収録。デビュー以来、提示してきた元気でポップなサウンドに加え、ハタチになった彼女だからこそ表現しうる大人っぽい新たな楽曲もたっぷりと注ぎ込むことで、アーティストとしての進化を感じさせる1枚に仕上がった。
本作のリリースに合わせて音楽ナタリーでは本人へのインタビューを実施。アルバム制作にまつわるエピソードをじっくりと聞いた。また、先日Twitterを通して募集したファンからの質問への回答も掲載。インタビューと合わせて楽しんでほしい。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 藤田二朗
より振れ幅のある大原櫻子らしさ
──約1年3カ月ぶりのリリースとなる2ndアルバム「V」。前作「HAPPY」に続き、実に大原さんらしいタイトルだなあと。
タイトルはレコーディング作業の最後の時期に決めたんですけど、今回はなんとなく“V”の形に縁があるなって思ったんです。今年で私はハタチになったし、アルバムは2枚目、あとはリード曲の「サイン」から「サインはV」をイメージしたりとか(笑)。
──なるほど。指を2本立てた、いわゆるピースマークからの発想なんですね。
そうです。じゃあその“V”にどんな意味を持たせようかって考えたときに、Viva(=万歳)が一番私らしいんじゃないかなっていうことになったんです。ほかにもバラエティやビタミン、ビクトリー、ビーナスとかいろいろ候補はありましたね。“V”を頭文字に持つ単語って、いい意味のものがたくさんあるんですよ。
──今出てきた単語すべてが、大原さんに似合う感じがありますよね。作品自体の仕上がりについてはどんな印象を持っていますか?
今回はハタチになって初めてのアルバムでもあったので、改めて大原櫻子のことを知ってもらいたいっていう思いで作ったんですね。なので、今までたくさん歌ってきたような“暖色系”の歌に加えて、メロディがフラットな“寒色系”の曲を入れてみたりとか、ちょっと新しい部分を意識して盛り込みました。結果、より振れ幅のある大原櫻子らしさを表現できたんじゃないかと思います。
──元気でポップなイメージの強い大原さんですけど、本作では切なさや憂いを感じさせる大人っぽい表情も見えますからね。
そうですね。その両方があるのが私らしさなんだなって、このアルバムを作り終えて自分でもわかった感じがしました。しっとりした切ない曲を歌ってみることで、元気な曲の大事さも改めてわかりました。
年齢や経験を重ねたことで歌えるようになった「サイン」
──前作は、アルバム用に用意された多数の候補曲の中からご自身が楽しめそうと思える曲をチョイスして収録曲を決めていったと話されていましたよね(参照:大原櫻子「HAPPY」インタビュー)。今回は?
今回はアルバム用にというわけではなく、今まで仮歌を入れて録りためていた曲の中から収録曲を選んでいきました。なので、前作よりは1曲1曲に対してイメージがはっきりした状態で選んでいくことができましたね。
──日頃から楽曲のストックを増やしていたんですね。
そうなんです。曲数もかなりあったので、全体のバランスを見ながら選んでいって。ちょっとひねった曲を入れたいなとか、カッコいい曲を入れたいなとか、いろんな要素を盛り込みながら。曲ごとにいただいた時期もかなりバラバラなんですよ。リード曲の「サイン」は2年以上前、「カノ嘘」(映画デビュー作「カノジョは嘘を愛しすぎてる」)の撮影が終わった頃にはもういただいてましたからね。そのときから私はこの曲のファンだったので、いつかリリースしたいと思っていました。
──曲を初めて亀田誠治さんからいただいたときに歌入れをしていたんですか?
はい。当時一度歌ってます。でも、今と比べると声がすごく幼いし、曲をいただいてすぐ録ったので感情もあまり込められてなくって。今回、改めてレコーディングしたことで、やっとこの曲の持っている大人な雰囲気をちゃんと表現できたと思います。年齢や経験を重ねて、自分自身の心も成長した今だからこそ、皆さんに聴いていただける曲にすることができたんじゃないかなって。
──この「サイン」をモチーフにしたショートムービーも作られたそうですね。
はい。私の姉に脚本を書いてもらい、それを金子修介監督に撮っていただきました。楽曲の世界観を映像にしたのではなく、この「サイン」という曲がキーになる物語になっていますね。私が演じる女の子と、もう1人の男の子のストーリーが描かれています。
──その映像は、アルバムの初回限定ミラクルミラー盤に付くDVDに収録されます。
映画のような、素晴らしい仕上がりになってますから。ほんとに自信作なので、ぜひ観てください! このショートムービーを作れたことで、私にとって「サイン」という曲がより大事な曲になりましたね。皆さんにとっても特別な1曲になってもらえたらいいなって思います。
新しい風を吹かせたい
──アルバムは、前半と後半でけっこう色が違う印象ですよね。
そうですね。前半は「ようこそ!」みたいな感じで、アルバムの世界に入ってもらいやすい曲を並べました。元気な「踊ろう」という曲を1曲目に置いて。
──シングル曲の「大好き」や「キミを忘れないよ」も前半に配置されていますしね。かと思えば、4曲目の「勇気と微笑み」では新しい表情も見せています。
この曲は、新しい風を吹かせたいっていう思いから選んだ曲です。大原櫻子の中のカッコよさを表現した曲になったと思いますね。ただ歌詞の言葉数が多いので歌うのがけっこう難しくて。リズムも難しかったし、この曲ではかなり鍛えられた気がします。
──大原さんとしてはどんな解釈で歌を乗せた感じですか?
必死さを出すのではなく、ちょっと余裕な感じを出したかったんですよ。カッコよさを意識的に出すのは違うなって思ったから、けっこうナチュラルに歌いましたね。その中にちょっとだけ、いい意味でのダルさというか、気怠さみたいなものも要素として入れてみました。サビではゆったりした歌い方にもなるし、けっこういろいろな要素が入った曲でもあると思いますね。
──中盤に位置する7曲目の「こころ」も、かなり新しい景色を見せてくれます。アコースティックな雰囲気の、2分を切る短い楽曲ですね。
「こころ」も実は2年くらい前に亀田さんからいただいて、仮歌を入れていた曲なんです。そのときはかわいい曲だなあと思って歌ったんですけど、誰に向けた歌なのかはわからなくって。で、今回改めてレコーディングするときに亀田さんから「お母さんに向けて歌ってね」って言われて「なるほど!」って納得できました。対象がはっきりしたことで、よりいい曲だなって思えるようになりました。
──サウンドがシンプルな分、大原さんの繊細な歌声を堪能できますよね。
この曲は歌もシンプルにしようっていうことで、コーラスも入れないことにして。ただただまっすぐに、母親の顔を想像しながら歌いましたね。女の子はもちろん、男の人も感動できる曲になっているんじゃないかなと思うので、ぜひ皆さん、ご自身のお母さんのことを思いながら聴いてください! ほっこりした曲なので、ライブでもアコースティックスタイルでできたらいいなって思ってます。
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- ニューアルバム「V」2016年6月29日発売 / Victor Entertainment
- 初回限定“VIVA盛盤” [CD+DVD+ブックレット] 5700円 / VIZL-994
- 初回限定“ミラクルミラー盤” [CD+DVD]4200円 / VIZL-995
- 通常“VIVA盤”[CD] 3240円 / VICL-64595
CD収録曲
- 踊ろう
- 大好き
- キミを忘れないよ
- 勇気と微笑み
- メロディー
- 真夏の太陽
- こころ
- サイン
- トレモロレイン
- Dear My Dream
- 君になりたい
- September
- Scope
初回限定“VIVA盛盤”DVD収録内容
- 真夏の太陽
- My Way
- オレンジのハッピーハ口ウィン
- Glorious morning
- ちっぽけな愛のうた
- Dear My Dream
- 瞳
- Special day
- のり巻きおにぎり
- キミを忘れないよ
- 明日も
- READY GO!
- Happy Days
- おどるポンポコリン
- サンキュー。
初回限定“ミラクルミラー盤”DVD収録内容
- ショートムービー「サイン」
- ニューシングル「大好き」2016年6月1日発売 / Victor Entertainment
- 初回限定盤A [CD+DVD] 1620円 / VIZL-977
- 初回限定盤B [CD+DVD] 1620円 / VIZL-978
- 通常盤 [CD] 1296円 / VICL-37166
CD収録曲
- 大好き
- トレモロレイン
- ステップ
- 大好き(instrumental)
- トレモロレイン(instrumental)
- ステップ(instrumental)
初回限定盤A DVD 収録内容
- 「大好き」Music Video
- 「大好き」Music Videoメイキング映像
初回限定盤B DVD 収録内容
- 「トレモロレイン」Music Video
- 「トレモロレイン」Music Videoメイキング映像
大原櫻子 CONCERT TOUR 2016
~CARVIVAL~
- 2016年8月5日(金)神奈川県 厚木市文化会館
- 2016年8月12日(金)福岡県 福岡サンパレス
- 2016年8月13日(土)長崎県 長崎ブリックホール
- 2016年8月17日(水)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
- 2016年8月19日(金)北海道 ニトリ文化ホール
- 2016年8月26日(金)鳥取県 米子市公会堂
- 2016年8月31日(水)京都府 ロームシアター京都 メインホール
- 2016年9月2日(金)広島県 上野学園ホール
- 2016年9月4日(日)鹿児島県 宝山ホール
- 2016年9月9日(金)富山県 富山県民会館
- 2016年9月15日(木)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2016年9月16日(金)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
- 2016年9月21日(水)香川県 サンポートホール高松 大ホール
- 2016年9月24日(土)新潟県 新潟県民会館
- 2016年9月29日(木)大阪府 オリックス劇場
- 2016年10月4日(火)東京都 日本武道館
大原櫻子(オオハラサクラコ)
1996年1月生まれ、東京都出身。映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」に登場した3人組バンドMUSH&Co.のボーカルとして、2013年12月にシングル「明日も」でデビューする。2014年11月にソロ名義の1stシングル「サンキュー。」を発表し、2015年1月発売の2ndシングル「瞳」の表題曲は「第93回全国高校サッカー選手権大会応援歌」に採用された。同年3月に1stアルバム「HAPPY」をリリースしたのち、7月に3rdシングル「真夏の太陽」とライブDVD / Blu-ray「1st TOUR 2015 SPRING~CHERRYYYY BLOSSOOOOM!!!~」、11月にシングル「キミを忘れないよ」とリリースを重ねる。年末には「第66回NHK紅白歌合戦」に初出場した。2016年6月に2ndアルバム「V」を発表。女優としての活動も活発で、ドラマや舞台にも出演している。