音楽ナタリー PowerPush - 大原櫻子

遠慮しない妥協しない歌い手としての自覚

それぞれの曲の色に染まってみた

──本作では楽曲のバリエーションが増えた分、さまざまな歌声を堪能することができますよね。

それは自分でも感じますね。アルバム曲は特にそうですし。今回は曲の世界観に寄り添って、“大原櫻子という存在”を使って遊んでみた感覚がありました。「私はこうなんだ！」っていうことを決めつけずに、それぞれの曲が持っている色に染まってみたというか。その結果、新しい表情がたくさん出せたんじゃないかなって。

──ご自身で感じる新しい表情を、楽曲を例にとって説明していただけますでしょうか？

例えば「ただ君のことが好きです」では、つぶやくように歌うAメロから入って、サビではけっこう叫ぶような感じに変わっていくんですね。そういう歌い方は、自分としてはすごく新しかったです。フラットが多い曲なので、aikoさんや大塚愛さんの歌い方を参考にしながら、自分らしさを見つけていきました。

──いつも以上に感情がグッと前面に出たボーカルだと思います。

あと「のり巻きおにぎり」は、聴いてくださる方があったかい気持ちになれるように、ほっこりした雰囲気を意識して歌いました。途中に入ってる口笛も私が吹いたんですよ。私自身、自然と口笛が出ちゃうくらいに気楽に歌うことができたので、きっとリラックスした気分になっていただけるんじゃないかなって。

──ピュアな歌声で表現された曲の世界観に、涙腺がほんのり刺激される感じもあるんですよね。

そうなんですよ。タイトルだけ見ると「何これ!?」って感じだと思うんですけど（笑）、昔食べたお母さんの手料理なんかを思い出して、ちょっと感動するイメージもありますよね。私の同世代はもちろん、それより大人の方にもぜひ聴いてもらいたい曲になりました。

このアルバム1枚で完結したくはない

──「のり巻きおにぎり」の次の曲は攻撃的な「READY GO!」。ガラッと表情が変わります。

今までにないくらいのロックサウンドなので、ここでもすごく新しい部分が出せたなって思います。歌詞も、今までは「一緒に歌おう！」とか「側にいるよ」とか、あったかくて包容力のあるメッセージが多かったんですけど、この曲はすごく力強いんですよね。「女子のみんな、いくわよ！」「立ち上がれ！」みたいな。私自身、性格がけっこうサバサバしていて「男前だね」ってよく言われるので（笑）、そういう普段の私が出たんじゃないかなって思いますね。

──そして、先ほどから何度もお話に出てきているラストの「ワンダフル・ワールド」もすごく重要な1曲ですよね。壮大な世界観を持ったサウンドの中で響く深みのあるボーカルは、大原さんの新たな未来を照らしているようでもあって。

楽曲のイメージから、これは自分のマジメな部分を出したほうがいいんじゃないかなって思ったんですよね。だから最初はしんみりとマジメに歌ったんです。でも、亀田さんが「ありのままのさくちゃんでいいよ」って言ってくださったので、そこからはすごく自然に歌うことができて、気持ちを込められた気がしますね。今おっしゃっていただいたように、ここからがんばっていきますっていう未来へのメッセージにもなったと思うんですよ。私はこのアルバム1枚で完結したくはないですからね。そういう意味でも、自分としてすごく大切にしていきたい1曲になりました。

──本作にはそんなアルバム曲たちに加え、大原さんの原点とも言えるMUSH&Co.名義の「明日も」など、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」に関連した楽曲も収録されています。それらの楽曲を改めて聴くと、ご自身のシンガーとしての成長を感じるところもあるのでは？

「明日も」を歌ったのは17歳のときなので、もう2年近く前なんですよ。なので、改めて聴くと幼いなって思っちゃいますね（笑）。成長……っていうのは聴き手の皆さんが感じてくださればいいのかなとは思うんですけど、ここまでの期間で本当にたくさんの刺激を受けましたし、物事に対する考え方や価値観の変化はあったので、シンガーとしても変わったところはきっとあるんでしょうね。ただ、「感情をとにかく大事にする」という、歌に対する基本的な姿勢はまったく変わっていないです。うまい下手だけにはとらわれたくないなって。

──技術だけに頼る歌、単にうまいだけの歌は大原さんが求めているものではないと。

はい。私はそういう歌が大っ嫌いなんですよ（笑）。もちろんアーティストとして活動させていただいているからには技術的な部分を習得することも大事だとは思うんですけど、そこだけになるのは私はイヤだなって。それこそが、ここまでやってきて改めて見えた自分の大きな軸なのかもしれないですね。

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大原櫻子 1stアルバム「HAPPY」2015年3月25日発売 / Victor Entertainment: SPECIAL HAPPY盤 [CD+DVD] 3500円 / VIZL-816; SUPER HAPPY盤 [CD+グッズ] 3500円 / VIZL-817; HAPPY盤 [CD] 2800円 / VICL-64342

CD収録曲

Over The Rainbow
サンキュー。
瞳
無敵のガールフレンド
明日も
頑張ったっていいんじゃない
Happy Days
のり巻きおにぎり
READY GO!
ただ君のことが好きです
ちっぽけな愛のうた
ワンダフル・ワールド

SPECIAL HAPPY盤 DVD収録内容

Happy Days（Music Video）
Happy Days -Live ver.-（Music Video）
無敵のガールフレンド（Music Video）
みんなで歌おう " 瞳 " レコーディング
Making Movie（Music Video & Photo Session）

SUPER HAPPY盤特典

プレミアムチケット（イベント参加券＋プレゼント応募シリアルコード）
HAPPYギターピック
EPサイズ飛び出す! HAPPY GAME
SAKURAKO' S HAPPY STYLING BOOK
見開き型HAPPYブックレット
ピクチャーレーベル仕様

大原櫻子 1st TOUR 2015「SPRING～CHERRYYYY BLOSSÖÖÖÖM!!!～」

2015年4月20日（月）福岡県 DRUM LOGOS
2015年4月22日（水）愛知県名古屋CLUB QUATTRO
2015年4月30日（木）大阪府 BIGCAT
2015年5月7日（木）東京都 TSUTAYA O-EAST

大原櫻子（オオハラサクラコ）

映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」に登場した3人組バンドMUSH&Co.のボーカルとして、2013年12月に劇中から飛び出しデビューシングル「明日も」をリリース。2014年3月から3カ月間、ニッポン放送「大原櫻子のオールナイトニッポン0」でレギュラーパーソナリティを務めたほか、7月期のフジテレビ系ドラマ「水球ヤンキース」でヒロインを演じるなど女優としても活躍の場を広げる中、11月26日にソロ名義の1stシングル「サンキュー。」を発表。2015年1月発売の2ndシングル「瞳」は「第93回全国高校サッカー選手権大会応援歌」に採用された。同年3月、1stアルバム「HAPPY」をリリース。

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