ナタリー PowerPush - NoGoD

V系バンドの極北、原点回帰の自信作完成

縛りナシでやれたのは、バンドの力が強くなったから

──前作「現実」から1年半空きましたが、バンドの状況的にはどうですか?

Kyrie 前作は自分たちのバンドスタイルをそのまま表現した作品で。それからツアーをやって、自分たちなりにバンド活動の楽しさを見つけていく中で変わった部分はあるんじゃないかな。制作に対する取り組みもそうですけど。

Shinno(六弦団員)

団長 すごく原点回帰しましたね。それまでは作品ごとにストーリー性とか、いろいろ追求していたんですけど。やっと最近、そのへんがラフになったというか。単純にアーティストとして、もっと素直に、ライブをやりたいから曲を作ろうと思って。今回は純粋に縛りをなくそう、というコンセプトでした。とりあえず好きなものを持って来て、あとでなんとかしようと。それはバンドをやり始めたときの気持ちに近いんですよ。改めてそれができるようになったのは、バンドの力が強くなったからだと思う。今作はそれがいい形で出てるんじゃないかな。ライブは如実に変わったよね?

Kyrie うん、いろいろ雰囲気は変わったよね。

団長 よりロックなステージになってますね、ここ1、2年は。

Kyrie なんのためにライブをするのか、そこを考えるようになった。

団長 なんか、ちょっとカッコいいこと言った?

Kyrie 僕らはもともとライブの本数が多くて。バンドを始めた頃からライブをやって、それが当たり前になってきて、その当たり前に対して別に異論はなかったけど、去年ぐらいからライブの中身を考えるようになって。

団長 改めて、自分たちのライブはいいなと思いましたね。音楽的にはハードロック、ヘヴィメタルという扱いになるかもしれないけど、こんなに笑顔がこぼれるヴィジュアル系バンドも、こんなに笑顔がこぼれるメタルバンドもいないんじゃないかって。NoGoDのライブって特殊な空間だなと。今までずっと模索しながらやってきて、1つの完成形というか、ライブのスタンダードを築けた気がするんですよ。ライブの姿勢も吹っ切れた感じがするし、それがメッセージにも出ちゃってますね。

きれいに録ることがこの作品を良くする方法だと思えなかった

──先行シングル「STAND UP!」は、まさにそういう作品でしたよね。

Kyrie 自分たちのバンドとしてスタンスや、ライブをどう楽しむか、それをいろいろ考えた上で1つの区切りみたいな作品でしたね。で、バンド然としてものを追求する気持ちは「STAND UP!」で一段落したんですよ。今作はバンドの内側にあるもの、メンバーのやりたいことや好きな音楽をもっと掘り下げてみようと。

──確かに。今作はこのバンドの本質にある部分や、内側にある感情をすべてさらけ出したような仕上がりで。

団長 人間臭くなりましたね、サウンド的にも。

Kyrie あまり何も考えないんですけどね。考えることを止めた感じがする。ディレクションの仕方もちょっと変えたんですよ。レコーディングして出す作品は、鑑賞に耐えうるものじゃなきゃいけないと思ってて。でもそこを突き詰めすぎると、僕たちじゃなくてもいい、という感じになっちゃう。今回に関しては、これまでの作品よりもヒューマナイズされたものになりましたね。いかにきれいに歌えて弾けて叩けるか、そこではないところを追求した作品ですね。

──なぜそこを意識するようになったんですかね?

Kyrie つまんなくなっちゃったんですよね。きれいに録ることがこの作品をよくする方法だと思えなかった。音がほかの人とズレていても、それが気持ちよければアリじゃない?って。

華凛(五弦団員)

団長 過去にあえてアルバムの内容をバラけさせたことがあったけど、自然とバラけて、それでいてまとまった作品になったのは今回が初めてですね。アーティストたるもの設計図をきちんと組み立てることが一番と思っていたけど、今回のやり方もアリだなって。もともと、アルバム名もセルフタイトルにしようと思ってましたから。

──ずばり「NoGoD」にしようと?

団長 はい。だけど、これ1枚で全部完結できるほど、俺らは狭くないという結論になって。今作を「NoGoD」と言うこともできるけど、まだ早すぎるんじゃないかと思ったんです。それで、ちょうど5枚目だし、メンバーも5人だし、アルバム名は「V」がいいんじゃないかって。「Variety」「Various Artists」の意味も込めて。そのまま「Various Artists」にしようという案もあったんですよ。5人の表現者が個性を詰め込んだ作品だから、オムニバス盤っぽいなと。でも提案してみたら「売りづらい」と言われて。

──はははは(笑)。確実に紛らわしいですよね。

団長 却下されて。結局「V」という記号に落ち着きました。

ニューアルバム「V」 / 2013年2月6日発売 / KING RECORDS
初回限定盤 [CD+DVD] / 3780円 / KICS-91881
通常盤 [CD] / 3150円 / KICS-1881
CD収録曲
  1. 現世ホラーショー
  2. 絶望、バイバイ。
  3. 球根
  4. 空の公園
  5. Sabbath
  6. パンドラ
  7. 夢の泡 (instrumental)
  8. IV - 他者/Philosophia
  9. STAND UP!
  10. 鐘を鳴らせ
  11. 感情
  12. 闘争本能 ※通常盤のみ
初回限定盤DVD収録内容
  1. 現世ホラーショー(Video Clip)
  2. Making of 現世ホラーショー
NoGoD (のーごっど)

2005年に「新興宗教樂團NoGoD」として結成。2007年より団長(ボーカル)、Kyrie(七弦団員)、Shinno(六弦団員)、華凛(五弦団員)、K(太鼓団員)の現メンバー構成となり、2010年6月にシングル「カクセイ」でメジャーデビューを果たす。ヴィジュアル系の枠に収まらない個性的なスタイルと確かな演奏力で人気を集め、2010年8月には通算3枚目のフルアルバムとなるメジャー第1弾アルバム「欠片」、2011年8月には4thアルバム「現実」を発表。2013年2月6日に5thアルバム「V(ファイヴ)」をリリースした。