進化も大事だけど、ときには振り返らないと

──幕張でのバースデーライブで特に印象に残ってる曲、印象に残ってる場面って何かありますか？

生駒　「制服のマネキン」かな。「生駒ちゃんってどんなパフォーマンスするのかな？」って思ったら、まず「制服のマネキン」を観てほしいです。

──えっ、初めてソロで歌った「水玉模様」じゃないんですか？

生駒　「水玉模様」はいまだに「大丈夫かな？」って心配なので。ライブで歌うのはバースデーライブが初めてで、あのときは本当に自信がなくて「こんなんでごめんなさい。ヘタクソでごめんなさい！」って思いながら歌ってたから。それよりは常に自信を持ってパフォーマンスしてる「制服のマネキン」かな。

──そうなんですね。桜井さんはどうですか？

桜井　私はぜひ、アンコールでの最後のMCに注目してほしいです。私はいつもライブやイベントで乃木坂を代表してしゃべることが多いんですけど、そういうときって何を言うか前もって決めてるわけじゃなくて、その場に立ってそのときに感じたことをしゃべってるんですよ。だからすごいリアルな言葉だと思うんです。たぶん今の自分が聞いたら「えっ、そんなこと考えてたんだ」ってビックリするぐらい、今の自分とは考え方も違うかもしれない。1年前の私が乃木坂のことをどう思ってたのか、そのMCに全部表れていると思うので、一度聞いてもらいたいです。でも……何を話したのか、正直あまり覚えてなくて（笑）。

──まだDVDでは確認してない？

桜井　確認したいけど、ガチでしゃべってる自分を観るのが恥ずかしいんですよ。でも、たまには見返してみるのもいいんだろうなって最近思うようになって。たぶん忘れてる気持ちっていうか、初々しさみたいなのがめっちゃ出てるんだろうな。進化し続けるのはもちろん大事だけど、ときには振り返らないとね。

生駒　うちも自分たちのライブって、恥ずかしくて映像を観られない。でもさらに上に行くためには、ちゃんと観なきゃいけないと思ってます。このDVDをちょっと観ただけでもかなり考え方とか変わったので、ちゃんと自分を見つめ直そうかなって。

──なるほど。では橋本さんは？

橋本　「指望遠鏡」のときにスタンドマイクを使ったんですけど、曲の途中でそのスタンドマイクを捌けさせなきゃいけなくて。で、すぐそばに誰かが運び忘れたマイクスタンドが1本だけ残ってたんですよ。それでハッと思って、「ふう～ん♪」ってすましながら、なんでもないですよみたいな素振りでマイクスタンドを捌けさせたんです（笑）。それをうまくできたのが、バースデーライブでの一番の仕事だと思ってます（笑）。

生駒　あははは（笑）。あれは？ 「偶然を言い訳にして」とか。

橋本　「偶然を言い訳にして」は……私、高山（一実）、松村（沙友理）、白石（麻衣）のファンの方がすごく観たがるんですよ。初期の頃から人気がある曲だから、ファンの方もすごく喜んでくださったのはよく覚えてますね。

今、ライブにおいて自分たちに足らないもの

──この1年間で乃木坂46もたくさんのライブを経験してきましたが、ライブにおいて今の自分たちに何が一番足りないと思いますか？

桜井　やっぱり、いかにお客さんに楽しんでもらえるかっていうことを考える力ですかね。見方次第でいい意見も悪い意見も出ると思うんですけど、握手会でファンの方から「あんまり……」って言っていただくこともあって。それって、その人にとっては直接言ってしまいたくなるくらいだったんだなって思うし、やっぱりライブに来てくれる人たちみんなに面白かったって言ってもらいたいし……常に楽しんでもらうっていう気持ちを一番に、もっとファンの方の目線を意識しながら上を目指していかなきゃって思います。

──自分が楽しいと思わないと相手にもその楽しさって伝えにくいし、でもただ自分が楽しいだけじゃダメだし。そのバランスって難しいですよね。

桜井　そうですね。今までは会場が大きくなるとお客さんとの距離が遠くなってしまって、よく見えないからつまんないみたいな声も耳にしたことがあって。私たちはほかのアーティストさんと比べると、握手会とかあって応援してくれる人との距離が近いと思うんです。でも距離感の問題じゃなくて、たとえ距離が遠かろうと近かろうと観てくれる人を楽しませる方法はいろいろあると思うので、そういうところをもっと追求していくべきなんじゃないかなって。せっかくこれだけ大きい会場でライブをさせてもらえるようになったんだから、もっと意識的にならなきゃダメだと思います。