ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

イントロで勝負を賭ける「ニワカ雨ニモ負ケズ」

NICO Touches the Wallsが今年2枚目となるシングル「ニワカ雨ニモ負ケズ」をリリースした。最新アルバム「Shout to the Walls!」からわずか2カ月というスパンで発表される本作の表題曲は、アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のオープニングテーマとしてオンエア中の1曲。突風が吹き抜けていくような軽やかなサウンドは、バンドの好調ぶりを表しているようだ。

ナタリーは今回、ホールツアー真っ最中の彼らにインタビュー。「ニワカ雨ニモ負ケズ」完成までの流れ、タイアップやアレンジに対する考え方、そして2013年後半の目標を聞いた。

取材・文 / 中野明子 インタビュー撮影 / 福本和洋

新パーティチューンの誕生を確信した

──「ニワカ雨ニモ負ケズ」は、すごく抜けのいい曲ですね。NICO史上もっとも痛快なサウンドなんじゃないかと。

左から古村大介(G)、坂倉心悟(B)、光村龍哉(Vo, G)、対馬祥太郎(Dr)

光村龍哉(Vo, G) そうかもしれないですね。

──エモーショナルで濃厚な「Shout to the Walls!」と比べると空気感が違う。この曲は、アルバムから切り離して届けたいという思いがあったんですか?

光村 ええ。アルバムは「Mr. ECHO」を軸に集約していく形だったんですけど、「ニワカ雨~」はアルバムとは違うモードで、バンドの“先”を示す曲にしたいと思ったんです。今までの曲に比べて抜けが抜群にあるし、「Shout to the Walls!」の世界とは違うかなって。アルバムにこの曲が入ってたら、目玉が多過ぎちゃって作品性が貫けない気がしたし。

──完成したときの感触ってどうでしたか?

光村 夏フェスに似合う、自分たちにとっての新しいパーティチューンが生まれたって感じでしたね。イントロが完成した段階でそれを確信しました。

──ちなみにこの曲は今行われてるホールツアーでも披露してますが、お客さんの反応はどうですか?

光村 みんなそれまでイスの前に整列して観てるんだけど、この曲が鳴り始めた瞬間にお行儀のよさを忘れて踊り狂ってる感じ(笑)。

古村大介(G) ライブの切り札になっていく感覚がありますね。

──確かにお客さんの歓声が、イントロの段階から大きく響いてました。

光村 アルバムがリリースされるよりも先に、「NARUTO-ナルト-疾風伝」のオープニングで流れてたからかもだけど。

坂倉心悟(B) 自分たちとしては「あれあれ? アルバムよりも先に浸透してる?」って気持ちもあったりしてね(笑)。

作詞は光村&対馬の大喜利

──抜けのよさは歌詞にもにじみ出ていて。今回は光村さんと対馬さんの共同クレジットになってますが、この組み合わせは初めてですよね。

対馬祥太郎(Dr)

対馬祥太郎(Dr) そうですね。実はこれが俺にとって初作詞曲なんですよ。「Shout to the Walls!」に入っている「紅い爪」とは世に出るタイミングが逆になったんですけど。

──どんな形で2人で歌詞を書いていったんですか?

対馬 デモの段階で、ある程度みっちゃん(光村)がサビの歌詞を入れてたんです。だからゼロから書き始めたんじゃなくて、「ちょっとやってみてもいいかな」くらいの気持ちでトライして。

──歌詞の言葉や雰囲気が「NARUTO」をイメージさせますが、そこは意識しましたか?

光村 オープニングテーマになることが決まってから、「NARUTO」好きの対馬くんが歌詞を書き始めたんで……。

対馬 意識しないわけにはいかないですよね(笑)。最初は1人で書こうと思ってたんですけど、みっちゃんが書いた「明日は雨かい?」っていうサビの言葉がすごいよかったから、そこを残して歌詞を組み立てていこうと。で、まずは1番を書いてみっちゃんに渡したら、彼がノリで2番を歌い始めて。そこで出てきたものを「いいじゃん、いいじゃん」ってそのまま採用しちゃったり。

光村 対馬くんのNARUTOに対する偏執的な愛情が端々に出てるし、僕からは出てこない言葉も入ってるんですよね。あとね、対馬くんの歌詞、替え歌しやすかったんですよ(笑)。俺と対馬くんの普段の会話のムードで、大喜利っぽく作っていったんです。

──この曲って、音も軽くて抜けがいいけど、言葉の並びやリズム感も軽やかですよね。歌詞も曲同様にセッションしながら作っていったと。

光村 そうそうそう。最初「柔よく剛を制す」ってのがあがってきたときに、俺が「パーはグーに負ける」ってのに替え歌して……対馬くんがこう来るなら、こう変えるってそういう感じで歌詞を作って。あれは面白かったね。ただ、それがそのまま本チャンでGOが出るとは思わなかったけど。

対馬 俺はいいと思ったけどね。

坂倉 俺も祥太郎さんが、最初の歌詞を持ってきた段階で「おもしろっ!」って思ったなあ。

対馬 作詞するのが初めてだったからみんなに「こんなのどう?」って見せてたんですよね。ただ元の歌詞があったんで、最悪の場合はみっちゃんが続きを書いてくれると踏んでた部分もあったんです。ある種の信頼というか、それが余裕につながってましたね。実際に書いていく中で楽しくなっていったし、自分としても自信が生まれたんです。それが「紅い爪」を作るときにもつながっていきました。

ニューシングル「ニワカ雨ニモ負ケズ」/ 2013年7月10日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤A[CD+DVD] 1600円 / KSCL-2261~2
初回限定盤B[CD+DVD] 1600円 / KSCL-2263~4
通常盤[CD] 1020円 / KSCL-2265
CD収録曲
  1. ニワカ雨ニモ負ケズ
  2. 陽のあたる場所
初回限定盤A付属DVD

NICO Touches the Walls Acoustic sessions
アコタッチと呼んでみて☆vol.3 ~本日ハ晴天ナリ。スタジオ脱出編~

  1. ニワカ雨ニモ負ケズ
  2. Diver
  3. Broken Youth
初回限定盤B付属DVD
  • ニワカ雨ニモ負ケズmusic clip
NICO Touches the Walls
(にこたっちずざうぉーるず)

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、現在の編成となる。2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表し、翌2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」、7月にシングル「手をたたけ」、12月に4thアルバム「HUMANIA」を発表し、それぞれの作品でバンドの新たな音楽性を提示する。2012年には幕張メッセイベントホールでワンマンライブを実施し、成功を収めているほか、「夏の大三角形」「夢1号」というシングルを2作発表。2013年3月にニューシングル「Mr. ECHO」、4月に5thアルバム「Shout to the Walls!」を発表。同年5月よりホールツアー「new balance presents NICO Touches the Walls TOUR 2013"Shout to the Walls!"」を開催する。7月にニューシングル「ニワカ雨ニモ負ケズ」をリリース。