アレンジは勘がすべて

──今回はカップリングでMISIAさんの「陽のあたる場所」をカバーしてますね。こちらもすごく抜けがいいアレンジになってて。「夏の大三角形」以来、カップリングにカバー曲を収録するのが恒例ですが、毎回アレンジが原曲とはかけ離れた味付けになってますね。

光村　どんな曲でも、意外な方向に持ってくようにはしてますね。あと、スタジオで合わせているときに、頭使ってアレンジしたのよりは、楽しい空気感が出てるパターンが採用される傾向があって。高校時代に戻って、好きなバンドのコピーをするときのような楽しさに近いというか。当時のワクワク感に勝るものはないって思うんですよ。

──カバー曲っていかようにもアレンジできると思うんですけど、自分たちの中でルールはあるんですか？

坂倉　特にないですね。今回の場合は、話し合って煮詰まってっていうのを繰り返して。いったんバラしたら、みっちゃんが戻ってきて突然「STRAY CATS風にやってみようぜ」って言ったところから転がっていったかな。

対馬　アレンジって理屈でなんとかできるものじゃないんですよね、俺らの場合。感覚でグッとくるイメージが浮かべば、あとは一気にできあがる。それを探し当てるまでに時間がかかることが多くて。

光村　だから基本は勘ですね。長年一緒にやってるからか、その勘から生み出されるアレンジは4人全員がハマるんですよね。逆に言うと勘に頼らずに頭で考えて、例えば「ジャズをやってみよう」とか決めるとまとまらなかったりするんですよ。

──NICOってけっこう自分たちの曲もライブで大胆にアレンジしますよね。音源を再現することにはあまり興味がない？

対馬　ライブの場合はその場の空気が勝負じゃないですか。音源は音源のよさがあるんですけど、ライブでは自分も観客もよりグッとくるようにしたいんですよね。そのためにアレンジを変えるし、それが常套手段なんです。

光村　アレンジって生き物だと思うんですよ。着る服みたいな。自分が着たい服があったら、着替えるでしょ？ 俺らはメロディと歌詞がバンドの本体だと思ってるんです。いいメロディは、どういじってもいい曲になるし。だからそこさえ変えなければ、そのとき一番着たいものを着るべきだなって。

古村　まあ、俺らが飽き性ってところもあるんですけど（笑）。

光村　だから今やってるカバーシリーズは、“今自分たちが一番着てて楽しい服”っていう感じかな。「陽のあたる場所」はシックな服ではないですね。着心地がよくて楽しくて、ちょっと街に出たくなる感じというか。

──ちなみにこのカバーシリーズは今後も続いていく？

対馬　はい。まだまだ溜め込んでいるものがあるんで、お楽しみにって感じですね。

下半期は「星」「晴」「白」「伸」

──2013年は以前からリリースイヤーにすると言ってましたが、このあとはどんな予定で活動していくんですか？

光村　それは……まだ言えないっすね（笑）。でもまだまだいきますよ、今年は。相変わらずスタジオに入ってるんで。アルバム5枚出してるから自分たちのハードルも上がってるし、聴くほうも「NICOはこうあるべき」みたいなものができつつあるんだろうなって思うからプレッシャーがないわけじゃないけど、壁があったほうがいいですから。ハードルを設定して超えられた瞬間が一番楽しいんですよ、やっぱり。

──最後に、2013年も後半に突入しましたが、下半期の目標をそれぞれ漢字1文字で表現してください。

対馬　俺は「星」ですね。今年はいろいろ挑戦して、うまくいってる流れがあるんで、それを持続したいです。マリオでいう「スター」をとり続けて、無敵な状態でいたいというか（笑）。

坂倉　「晴」ですね。もう個人的なことで悩むのいやだなって……。晴れやかな気持ちで過ごしていきたい。

古村　俺は断然「白」。下半期に焼けるんですよねえ。

──えっと、それは肌の話でしょうか？

古村　もちろん！ これから夏フェスシーズンだし、焼けないようにしないと（笑）。

──光村さんはいかがですか？

光村　「伸」かな。まだまだNICOを伸ばすぞって感じで。2013年後半も守りに入る気はさらさらないです。