ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

ライブを通して完成した新名盤 “人間”を歌った4thアルバム「HUMANIA」

NICOはもうなんでもあり

──それにしても、NICOはサウンドもスタイルもどんどん自由奔放になってますよね。

光村 もうなんでもありですね。とにかく4人でやりたいもの、納得したものを常に出していくべきだと思っててて。今回は全員が納得できるものを作るために、コミュニケーションをすごく取ったし、「HUMANIA」をきっかけにもっと広がっていけるという確信はあります。

──そんな気合の入ったアルバムの中で、思い入れのある曲を挙げるとしたら?

対馬祥太郎(Dr)

対馬 俺は「業々」ですね。これはものすごいヘビーな曲で、中学高校以来に叩いたってくらいの重いサウンドで。NICOを結成してからは、こういったタイプの重い曲をやることはないかなって思ってたんですけど、その機会が久しぶりにあったなと。レコーディングしてるときに、「こう叩けばいい」っていうのを体が覚えていて。

──リミッターを外して叩いてる感じですよね。

対馬 感情ではなく、完全に筋肉のみで叩きましたね(笑)。楽しかったです。

古村 僕は「衝突」かな。セッションから生まれた曲で、アルバムの中で一番NICOらしい曲だなと思ってて。みっちゃんが最初に弾いたコードに、勢いのあるギターの音を重ねていくところから始まって、続けてドラムとベースも加わって、あっと言う間に形ができたんですよ。そのときにバンドの楽しさというか、4人で音を鳴らしてる気持ちよさを感じて。そういう曲を入れることができてうれしかった。

坂倉 俺は9曲目の「demon (is there?)」を挙げますね。メロディは「PASSENGER」ツアーの頃に浮かんで、その響きがきれいだったので自然と歌詞を書きたいっていう気持ちも生まれて。歌詞をみっちゃんと一緒にレコーディングの最後の頃にセッションしながら詰めていったってこともあるし、アルバムのテーマである「人間」を総括するような内容になってるし……一番思い出がありますね。

──最後に光村さんは?

光村 僕は1曲目の「Heim」が一番お気に入りですね。この曲って、最後に作ってレコーディングしたんですよ。「人と人との関わりの中から生まれる作品にしたい」って言ってる割には、アルバムの曲を並べたときに、その原点とも言える「家族」っていう身近なものが入ってなかった気がして。家族ってどんな人にもいるもので、当たり前に存在してるじゃないですか。その存在を最後に歌いたくなって。歌詞も1分半っていう短い尺の中で、何10パターンも考えて。自分の表現方法と改めて向き合うきっかけにもなったのも印象深いです。

──音数も少ないですし、非常に静かだけど、インパクトがある曲ですよね。

光村 僕らって、ボーカルがハードロックみたいに声を張って、ずうずうしく聴き手に迫ってくるようなバンドっていうパブリックイメージがあると思うんですけど、そうではない側面もあるんだよって伝えたくて。それで僕は「Heim」を推してます(笑)。

2012年はライブイヤーを目指す

──アルバムを出したあとは、年明けからツアーを控えていますが、2012年はどんな1年にしたいですか?

光村 今年はツアーも回ったし、夏フェスも出たんですけど、スタジオにこもってる時間も長かったんで、来年はもっともっとライブをしたいですね。あと「PASSENGER」と「HUMANIA」を1回のツアーで終わらせたくはなくて。僕らの金字塔とも言える2枚のアルバムを、もっといろんな形で見せていきたいと思ってます。

──ではライブイヤーになりそう?

光村 それを目指してますね。その中でまた曲が生まれるだろうし、「HUMANIA」のツアーが終わったあとで、新しい何かが自分たちの中に宿ると思ってます。

NICO Touches the Walls

ニューアルバム「HUMANIA」 / 2011年12月7日発売 / Ki/oon Records

  • 初回限定盤 [CD+DVD] 3200円(税込) / KSCL-1884/5 / Amazon.co.jp
  • 通常盤 [CD] 2800円(税込) / KSCL-1886 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. Heim
  2. 衝突
  3. バイシクル
  4. カルーセル
  5. 極東ID
  6. 恋をしよう
  7. Endless roll
  8. 業々
  9. demon (is there?)
  10. 手をたたけ
  11. 手をたたけ (NICO edition) ※ボーナストラック
DVD収録内容
  • 手をたたけ アコースティック
  • THE BUNGY アコースティック
  • Lonesome ghost アコースティック
NICO Touches the Walls(にこたっちずざうぉーるず)

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、現在の編成となる。2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表。その後「SUMMER SONIC」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」などの夏フェスやライブイベントへの出演を経て、2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催し成功を収める。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」を、7月にシングル「手をたたけ」を発表し、それぞれの作品でバンドの新境地を提示する。12月に4thアルバム「HUMANIA」をリリース。