ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

ライブを通して完成した新名盤 “人間”を歌った4thアルバム「HUMANIA」

NICO Touches the Wallsが、3rdアルバム「PASSENGER」からわずか8カ月という短いスパンで4thアルバム「HUMANIA」をリリースする。春のツアーを経て着手した今回のアルバムは、「人とのコミュニケーション」を原動力に作られた作品だ。

ナタリーは、11月中旬に行われたファン参加型のアルバム試聴会直後に、公開インタビューを実施。今回はその様子をまとめたテキストを掲載する。自信作を完成させた4人の言葉から、新作の聴きどころを感じ取ってもらいたい。

取材・文 / 中野明子

NICO Touches the Walls

音楽でコミュニケーションできた喜びを作品に

──先程はお客さんにアルバムを聴いてもらいましたが、皆さんはその様子をずっと別室のモニタで観ていたそうで。

光村龍哉(Vo, G) ええ。でも音は全く聞こえてなくて、皆さんの表情だけ見てたんですけど、ドキドキしましたね。

対馬祥太郎(Dr) 寝てないかチェックしてましたよー。

──(笑)。さて今回のアルバム「HUMANIA」は、前作「PASSENGER」から8カ月という短いスパンでリリースされるわけですが、随分驚いた方が多いと思います。

光村 去年はシングルを1枚リリースしただけだったんで「休んでるのかな?」って思ってる人もいたかと思うんです。でも、実は去年からずーっと連日スタジオに入って楽曲制作をしていて。曲がどんどん溜まっていく中で、昔だったら4つ打ちメインの曲はやらないとか、こういう曲調は俺らっぽくないとか、デビューしてからなんとなく約束事があったんですけど、今回はそれを全部忘れようと。そう決めたときに、どの曲も自分たちのものだから惜しみなく出そう、2011年は2枚アルバムを発表しようということになって。

──なるほど。

光村 まあ、僕としては「PASSENGER」を2枚組にしてもいいかなと思ってたんですよ。でも無理をするなという空気がメンバーから感じられて。

坂倉心悟(B) みっちゃん(光村の愛称)が独り言のように「2枚組はどうかな……」みたいなことを言ってたんですけど、僕らは「ふーん」ってね(笑)。

──でも短いスパンでアルバムが2枚出ると、サプライズ感があってうれしいですよね。

光村龍哉(Vo, G)

光村 そうですね。結果的には時期を分けたことで、「PASSENGER」後の自分たちの気持ちを音にも歌詞にも詰め込めたし、前作からの流れや成長を表現できたのですごくよかった。

坂倉 今回のアルバムは、ほとんど「PASSENGER」を作り終わってからの曲だから余計ね。

光村 自分たちの思いをすぐ音楽にして、リリースする感じがまた新鮮で。実は結構ボツにしてしまった曲もあるんですけど、それは男らしく捨てようかなと思ってます。その都度湧いてきた感情を曲にするのが、今は一番楽しいんで。

──鮮度を重視したと?

光村 そうですね。「PASSENGER」のリリースツアーが本当に手応えがあって、今までで一番いいツアーだったんです。僕らが衝動で作った、ありのままの感情を詰め込んだアルバムをステージで再現したときに、お客さんがすごく喜んでくれて。オーディエンスと音楽でコミュニケーションできている実感があったし、すごく楽しかったんです。「PASSENGER」の曲を演奏している瞬間はそのたびに感動して。だったら、今度は音楽で人とコミュニケーションできた喜びを作品にしたいと思った。それが「HUMANIA」を作るときの大前提でした。

満場一致で決定したアルバムテーマ

──ということは、「HUMANIA」はテーマありきでアルバムが作られたんですね。

光村 はい。タイトルも「ヒューマン」と「マニア」を組み合わせた「人間マニア」っていう造語で。「PASSENGER」ツアーの金沢公演が終わったあとにホテルに戻ったときにふと浮かんだ言葉なんですけど、ツアーが終わったあとにメンバーに伝えました。

──コンセプトを聞いたとき、ほかの皆さんはどう感じました?

坂倉 「人」をテーマにするアルバムっていいな、お互い感じてることが一緒なんだなって思って。迷いなくそのコンセプトを受け入れられましたね。造語の響きもよかったし。

古村大介(G) うん。ツアーを回りながら感じたことは、4人とも共通する部分が多かったんでしょうね。「人間を掘り下げる」というテーマをバンドで表現するのは今のNICOにはぴったりだなと。

対馬 (客席を見渡して)そうですね……。とりあえず皆さん両手を挙げてもらっていいですか?(観客全員が手を掲げる)ライブではこの何倍もの人たちが手を挙げて、手拍子をしてくれるんですよ。この人間の力ってすごいなって思って。今のはちょっと強制的でしたけど(笑)、ライブを通して、コミュニケーションから生まれる人間のパワーをお客さんから感じたんです。そうやって受け取ったものを俺も形にしたいと思ってたし、「人間」をテーマにしたいっていうのはみっちゃんのアイデアを聞く前から考えてて。実際に聞いたときは、単なる「HUMAN」ではなくて「MANIA」が付くのが彼らしいなと。

ニューアルバム「HUMANIA」 / 2011年12月7日発売 / Ki/oon Records

  • 初回限定盤 [CD+DVD] 3200円(税込) / KSCL-1884/5 / Amazon.co.jp
  • 通常盤 [CD] 2800円(税込) / KSCL-1886 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. Heim
  2. 衝突
  3. バイシクル
  4. カルーセル
  5. 極東ID
  6. 恋をしよう
  7. Endless roll
  8. 業々
  9. demon (is there?)
  10. 手をたたけ
  11. 手をたたけ (NICO edition) ※ボーナストラック
DVD収録内容
  • 手をたたけ アコースティック
  • THE BUNGY アコースティック
  • Lonesome ghost アコースティック
NICO Touches the Walls(にこたっちずざうぉーるず)

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、現在の編成となる。2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表。その後「SUMMER SONIC」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」などの夏フェスやライブイベントへの出演を経て、2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催し成功を収める。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」を、7月にシングル「手をたたけ」を発表し、それぞれの作品でバンドの新境地を提示する。12月に4thアルバム「HUMANIA」をリリース。