「#ニュー懐メロ」は青春の音色 with 櫻坂46・大園玲

「#ニュー懐メロ」とは、One Direction、アヴリル・ラヴィーン、Little Mixなど、Z世代が学生時代に親しみ、懐かしさを感じる2010年代前半の洋楽ヒット曲を“ニュー懐メロ”と定義し、これまでの“懐メロ”の概念をアップデートするプロジェクト。時節や行事に連動した継続的な施策を展開し、洋楽と邦楽の垣根を超えた“ニュー懐メロ”の拡大を目指していくという。

本特集では、もうすぐ25歳になる櫻坂46の大園玲を迎え、「#ニュー懐メロ」を通じて青春時代を振り返ってもらった。幼少期の思い出から、ポータブルプレーヤーで音楽に夢中になった日々、One Direction、テイラー・スウィフトなどが入り口になった洋楽体験、ONE OK ROCKやRADWIMPSに心を奪われた瞬間まで。彼女の成長とともにあったあの頃の音楽を振り返っていくうちに、過去の風景や感情が鮮やかによみがえったようだった。

取材・文 / 蜂須賀ちなみ撮影 / 梁瀬玉実

歌詞カードを見るのが好きだった幼少期

──大園さんは小さい頃から音楽が好きだったんでしょうか?

そうですね。両親が車の中で音楽をかけていて、その曲を一緒に歌うのがお出かけするときの定番になっていました。そんな中で歌詞カードを見るのが好きになりました。それが小学1年生の頃だったと思います。音楽を聴くことに興味を持ち始めたのは、小学校3年生のとき。さっき黒いウォークマンを持って撮影しましたけど、同じくらいのサイズのポータブルオーディオプレーヤーを誕生日プレゼントに買ってもらいました。そのプレーヤーはパソコンでCDを読み込んで曲を入れられるタイプのものだったので、気になる曲が見つかったらレンタルショップへCDを借りに行って……ということをよくやっていましたね。パソコンの操作は自分ではできなかったので、父や兄にお願いしてやってもらっていました。

大園玲

──先ほどポータブルCDプレーヤーを新鮮そうに見ていましたね。

初めて見ました! でも、このサイズだとポケットに入らないですよね。どうやって持ち歩いてたんだろう? (小脇に抱えながら)こうやって? この不便さがかわいいなと思いました。

──MDやカセットは知っていますか?

MDはちょっとだけ使ったことがあります。幼稚園の先生がお遊戯会で使う曲をMDに入れて配ってくれたんです。カセットは祖父母の車で聴いていたんですけど、入れるときにカシャッという音がするのが楽しくて。祖父母が運転を始める前に、その日に聴くカセットを私が入れるのが定番になっていました。

大園玲

──レコードはいかがでしょう?

レコードはほとんど触れたことがないです。このお仕事を始めてから、たまたまレコードショップで撮影をする機会があって、そこで初めて「ディグる」という言葉を知りました。「ジャケ買い」という言葉もありますけど、私もそのとき、どんな曲が入っているのかも知らないのに「なんか見た目が好きだな」と思えるものを自分で見つけて。女の子の絵が描いてあるかわいいジャケットに惹かれながら「これがジャケ買いか」「衝動に駆られる気持ち、わかるな」と思いました。実は今、そのレコードが家にあるんですよ。私がそのレコードをあまりにもずっと見ていたみたいで、撮影の最後にプレゼントしていただいて。だけどプレーヤーを持っていないので、まだ再生したことがないんですよね。いつか聴いてみたいです。

ONE OK ROCK、RADWIMPSに衝撃を受ける

──小学3年生でポータブルオーディオプレーヤーを手に入れて以降は、音楽を聴くことにどんどんハマっていったんでしょうか?

そうですね。特に小学6年生以降は、音楽を聴かない日はないというくらいでした。小学生の頃はテレビの音楽番組に出演されているようなアーティストさん、特に女性アイドルグループの曲をよく聴いていたんですけど、小学6年生の頃に、2つ上の兄からONE OK ROCKさんをオススメしてもらって。「完全感覚Dreamer」のミュージックビデオを初めて観たときは、「カッコいい」とかひと言で言い表せないほど大きな衝撃を受けました。「もっと聴きたい!」という気持ちになりましたね。

大園玲
大園玲

──そこからロックにハマっていったんでしょうか?

はい。YouTubeって1つ動画を観ると、レコメンド機能でどんどんオススメしてくれますよね。オススメされたほかのMVも観て、ONE OK ROCKさんにどんどんハマっていきましたし、RADWIMPSさんにハマったのもこの頃でした。最初に「億万笑者」、その次に「ふたりごと」という曲を兄から教えてもらったんですけど、最終的には兄よりも深くRADWIMPSさんにハマってました。RADWIMPSさんは言葉をたくさん詰め込んでいる曲も多いんですけど、歌詞を読んで、覚えて、歌えるようになるのが楽しくて。1番と2番の歌詞を見比べて、「ここが対になっているんだ」と発見するのも好きでした。

──いいですね。

あと、小学6年生のときに「テラスハウス」という恋愛リアリティショーの番組があって、番組中にかかっていたテイラー・スウィフトさんの「We Are Never Ever Getting Back Together」は、歌詞の意味もわからずによく歌っていました。今思うと、最初に興味を持った洋楽だったかもしれません。

One Directionをきっかけに洋楽を聴くように

──中学生になってからはどうでしたか?

自分のポータブルプレーヤーがネットにつながるタイプのものにレベルアップして、YouTubeでMVを観ることができるようになったので、聴く音楽の幅がより広がりました。寝る前に音楽を聴くのが習慣になっていたんですけど、そのまま寝落ちして、朝になったらイヤフォンから流れてくる曲に起こされて。イヤフォンが絡まって大変なことになっているのを「ああー……!」と思いながら直したりしていました(笑)。

──有線イヤフォンあるあるですね(笑)。

大園玲

大園玲

洋楽を本格的に聴くようになったのは、中学1年生の頃でした。英語の先生が授業の最初に、みんなで洋楽を歌う時間を作ってくれたんです。そこでOne Directionさんの「Story of My Life」を知って、それをきっかけにほかの曲も聴くようになりました。中学生の頃は英語の歌詞の意味もよくわからないまま、「音やメロディが好きだな」という気持ちで洋楽を聴いていたと思います。Webで歌詞カードを見ながら聴くことが多かったですね。同じ曲でもサイトによって、ちょっとニュアンスが変わっていて。その違いも調べていて面白かったです。

──そうして洋楽を楽しんでいるうちに、自然と英語を理解できるようになりそうですね。

きっと英語の先生も、そういう思いで歌う時間を作ってくれていたのかなと思います。高校生のときに流行っていたエド・シーランさんの「Shape of You」は、私にとって初めて和訳を見ずに歌詞を理解できた曲なんです。自分の英語力で曲を受け取ることができたのがめちゃくちゃうれしくて、そのときのことは思い出に残っています。高校生になって歌詞の意味を自分で理解できるようになってからは、洋楽を聴くのがさらに好きになって。ほかにはカーリー・レイ・ジェプセンさんの「Call Me Maybe」などをよく聴いていました。